三里塚団結街道裁判、証人の全員採用を求める
9月1日、千葉地裁民事第3部(阪本勝裁判長)で、団結街道裁判の弁論が開かれた。三里塚芝山連合空港反対同盟と顧問弁護団、支援の労働者・学生は、天神峰・市東孝雄さんに対する農地強奪攻撃に怒りをかき立て、この日の裁判闘争を闘った。
原告・反対同盟側はすでに10人の証人を申請している。原告本人の市東さんと萩原富夫さん、不動産鑑定士の富田隆史さん、元成田市議会議員の足立満智子さん、経済学者の鎌倉孝夫さん、そして「敵性証人」として成田市の道路行政担当者として廃道処分に直接携わった今泉彰夫、中村壽孝、大山健一郎の3人、NAA幹部の木村雅一、そして小泉一成・現成田市長だ。
これに対し被告・成田市は今回、元土木部長の中村だけを証人申請し、「その他は必要なし」とうそぶいている。市は2010年、市東さんが営農のために日々使用していた市道を暴力的に封鎖し廃道にして、その土地をNAAに格安で譲渡した。この前例のない違法性を押し隠そうというのだ。
弁護団はあらためて、証人全員の採用、特に今泉の証人尋問が必要不可欠であることを強力に主張した。今泉は、乙1として証拠採用されている「報告書」の執筆者だ。廃道の経緯が書かれたこの報告書をもとに、市は「廃道手続きは適法」と言い張ってきた。今泉を証人として出さないというなら、市は乙1を撤回しろ!
ところが阪本裁判長は全力で被告の肩を持ち、「直接の執筆者でなくても、中村証人の証言があれば十分かもしれない。中村証人の陳述書を10月末までに出させて、その内容を見て判断する」と言い出した。結局は「中村のみ採用」の結論に至ることはあまりにも明らかだ。
弁護団はこの訴訟指揮に猛然と抗議した。傍聴席からも「不公平だ」「まじめに審理しろ!」と怒声が次々と上がり廷内は騒然となった。市とNAAの代理人弁護士は苦虫をかみつぶしたような顔で、卑劣な沈黙を続けている。
裁判長は弁護団と傍聴者の怒りに直面しうろたえながらも、「とにかくこの場では決められない」と結論を先送りした。
次回期日、12月12日においては、鎌倉孝夫・埼玉大学名誉教授(経済学)の証人尋問を行うことを確認して閉廷した。
近くの会場で、伊藤信晴さんの司会で報告集会が開かれた。最初に弁護団事務局長の葉山岳夫弁護士があいさつに立った。「証人採用をめぐり1年以上粘り強く闘いぬいてきた。本件は請求異議裁判ともつながる重大な裁判だ。成田空港の〈公共性〉の虚偽を暴くために鎌倉先生の証人採用をかちとったことは重要だ。農民の命である農地を収奪する強制執行を絶対に阻止する」
さらに弁護団全員が発言し、被告と結託して証人採用を制限する裁判長を鋭く批判した。特に乙1「報告書」は内容が空疎なだけに、執筆者・今泉の証人調べが不可欠であり、証人全員採用へ向けて奮闘することを誓い合った。
動労千葉の滝口誠さんが連帯発言に立ち、「鎌倉さんは動労千葉労働学校の講師でもあり、次回には大挙して傍聴に駆けつけたい。9~10日の動労千葉定期大会で、三里塚への取り組みの方針をしっかりと確立する。10・8三里塚全国集会を朝鮮戦争反対の総決起の場にしよう」と訴えた。
市東さんの農地取り上げに反対する会の発言に続き、最後に決戦本部長の太郎良陽一さんが、周辺地域での「空港機能強化案反対」の声の高まりを報告し、「10・8集会では今までと画然と違う大結集を実現したい。ぜひあと1カ月、各団体が取り組みの強化を!」と熱く訴えた。
午後に反対同盟と支援連は、千葉市街頭に繰り出し、農地強奪強制執行阻止署名に全力で取り組み、千葉の労働者市民と合流した。(TN)
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