第3誘導路裁判、東峰での貨物機超低空飛行を弾劾
10月24日、千葉地裁民事第3部(
弁護団は最初に、7月15日に成田市東峰で発生したジャンボ貨物機オーバーランを怒りに燃えて弾劾した。
この日10時40分、B滑走路から離陸した米貨物航空会社ポーラーエアカーゴのボーイング747―8F型ジャンボ貨物機が、異常な低空で飛行するという大事故寸前の事態を起こした。
同機は通常の離陸地点から大きくはみ出し、滑走路南端の手前わずか85メートルの地点まで滑走した後に離陸し、超低空飛行で東峰神社上を通過し、空港フェンスの警報機が風圧で切れ警報機が作動した。住民の通報によって国土交通省はオーバーラン事故に準ずる「重大インシデント」に該当すると認めた。一歩間違えば、燃料を満載した離陸機が東峰の民家や神社に激突して大惨事となっていた。
だがNAAは、当該貨物会社に対し、「安全飛行の徹底」を申し入れただけで、実質上なんの対策も行っていない。
B滑走路南側に位置する東峰の住民は、毎日頭上40メートルを航空機がすさまじい騒音を伴って離陸しており、恐怖にさらされている。NAAは本件裁判原告の市東孝雄さんに対して、「騒音を承知で住んでいる方が悪い」と主張している。こんなNAAにまかせて安全な運行が行われたり、周辺住民の生命・健康が守られることはありえない。B滑走路の供用を差し止めよ!
続いて弁護団は、B滑走路と第3誘導路建設の変更許可処分の担当者、関係者が誰なのか、氏名を明かすことを被告らに命じるようあらためて裁判長に要求した。裁判長はこの当然の要求をはねつけた。被告と一蓮托生で、そうした当事者の証人喚問をさせないということだ。こんな不公平な訴訟指揮があるか! 即座に弁護団が猛抗議を行い、傍聴席からも怒りがたたきつけられた。騒然たる状況の中、NAAと国の代理人は二桁の人数を並べ、机に資料を山のように積み上げながら、すべてを裁判長にゆだねて強ばった表情で成り行きを見ているだけだ。
さらに弁護団は、市東さん、萩原さんが行っている有機農業・産地直送運動の意義と日本農政の問題点について論じた、石原健二・元立教大学教授(農学博士)の補充意見書を提出した。
次回期日を来年の1月30日、次々回を4月24日としてこの日は閉廷した。
千葉県弁護士会館で報告集会が開かれた。
最初に葉山岳夫弁護士が発言し、大事故寸前の東峰オーバーランを反省するどころか、NAAは住民の生活を一層脅かす第3滑走路建設、夜間飛行時間延長の強行へと走っていることを弾劾した。さらに弁護団それぞれが法廷の解説と勝利への決意を述べ、質疑応答が行われた。
「市東さんの農地取り上げに反対する会」のあいさつに続き、千葉県原発訴訟(福島県から千葉県に避難した18世帯45人が、東電と国に損害賠償を請求)を支援するAさんがあいさつに立ち、9月22日に国の責任を否定する不当判決を下した阪本勝裁判長を強く批判し、今後も三里塚裁判にも駆けつけることを明らかにして大きな拍手を受けた。
最後に太郎良陽一さんが反対同盟の決意として、現地攻防を軸にしながら、芝山町での空港機能強化案「説明会」弾劾闘争、11・6請求異議裁判をはじめとした裁判闘争、農地取り上げ強制執行を許さない署名運動への取り組みを熱く訴え、この日を締めくくった。(TN)
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