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団結街道裁判で鎌倉教授が成田空港を根底的に批判

20171215a-1.jpg  12月12日、千葉地裁民事第3部(阪本勝裁判長)で団結街道裁判が開かれた。三里塚芝山連合空港反対同盟と顧問弁護団、支援の労働者・学生・市民は、市東孝雄さんの農地を絶対に守りぬく気概でこの日も法廷に臨んだ。
 成田市は2010年6月、市東さんの自宅と畑を結び営農に欠かすことのできない「団結街道」を、夜陰に乗じて暴力的に封鎖・廃止し、その土地を成田空港会社(NAA)に格安で売り飛ばすという暴挙に及んだ。この裁判は廃道処分の取り消しを求めて闘われ、いよいよ立証段階に入った。今回は最初の証人として、経済学者で埼玉大学名誉教授の鎌倉孝夫さんが証言した。
 弁護団の質問に答えて、鎌倉さんは、マルクス経済学の立場から、成田空港に対する根底的な批判を展開した。
 NAAはことあるごとに、「増大する航空需要に対応して第3誘導路建設が必要」と主張するが、現実には成田空港の旅客数は漸増、貨物取り扱い量は伸び悩んでおり、「増大」という漠然とした予測は、空港の容量拡大・機能強化を進めるための口実に過ぎない。
 成田の年間発着実績は慢性的に容量(処理能力)をはるかに下回っている。これはとんでもない過剰設備、過剰投資だ。

20171215a-2.jpg 成田空港は躍起になって航空会社への着陸料の割引・無償化や種々の優遇措置を行っているが、それはコスト上昇要因となり、今や空港の収入の半分以上をショッピングセンターなどの非航空系が占めている。
 「航空自由化」と呼ばれる規制緩和のもと、成田は仁川空港に競り負けて地盤沈下している。この激化する空港間競争に勝つために、空港機能強化が必要だと叫ばれているが、結局それはNAAと空港関連企業の私的な営利追求のためであり、公共的なものは何もない。
 むしろ住民の生活を侵害し蹂躙するのが機能強化だ。騒音被害、落下物……。そして、市東さんから生活道路を奪い、営農活動に打撃を与えているのは、その最たるものだ。市東さんは団結街道の廃止によって、自宅と南台農地を最短で結ぶ通行手段を奪われ、移動時間は4倍に増加した。なぜ市東さんの営農がNAAの私的利益追求の犠牲にならねばならないのか! 農業は人間の生存を支える社会的生産だ。
 成田市は本来市民の平和的生活に必要な社会的・地域的基盤を維持しなければならないのに、市東さんに対する一方的な通告のみで、一日に200台近くの車両が利用していた道路を廃止した。地方自治の執行者としてあるまじき暴挙だ! そこには成田市の固定資産税収入の6割、歳入全体の2割が成田空港関連であるという、おぞましい空港依存体質の問題がある。
 「増大する航空需要」を口実として機能強化を求める成田の拡張には終わりはない。そうした成田空港「完成」へのあがきは、地獄への道を舗装するものだ。世界的に吹き荒れる新自由主義のもとで、今や資本の存在そのものが人間を破壊している。生産活動の主体的な担い手である労働者・農民が、社会の主人公としての実力を今こそ発揮しなければならない。だから市東さんの闘いは絶対に負けるわけにはいかないのだ――。
 鎌倉証人の明快で圧倒的な論旨に傍聴席から大きな拍手がわいた。被告のNAA・成田市は、反対尋問も放棄し沈黙した。
 次回2月27日には成田市の元土木部長・中村壽孝の証人尋問が行われる(午後1時30分開廷)ことを確認し、閉廷した。
  近くの会場で伊藤信晴さんの司会で報告集会が開かれた。1時間半を超す圧倒的な証言を終えた鎌倉さんが、勝利感を湛えてあいさつした。続いて、葉山岳夫弁護士はじめ弁護団一人ひとりが発言した。NAAの錦の御旗である「空港の公共性」を、鎌倉証言が完膚なきまでに粉砕した勝利を確認し、今後証人全員の採用をかちとる決意を表した。
 動労千葉の滝口誠さんが連帯発言に立ち、動労千葉組合員も空港周辺の地元住民として空港機能強化案説明会を糾弾する闘いに立ち上がっていることを報告した。
 最後に太郎良陽一さんが反対同盟の闘いの決意と、1・8現地デモ&新年団結旗開き、4・1全国総決起集会の闘争方針を明らかにし、参加者全員が熱い拍手で応えた。(TN)

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