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三里塚請求異議裁判、高瀬裁判長の早期結審策動と対決

20180310a-1.jpg 3月8日、千葉地裁民事第5部(高瀬順久裁判長)で市東孝雄さんの農地をめぐる請求異議裁判が開かれた。三里塚芝山連合空港反対同盟と顧問弁護団、支援の労働者・農民・学生・市民120人は、市東さんの耕す農地を絶対に守る決意でこの日を闘いぬいた。
 午前9時、降りしきる雨の中を千葉中央公園に結集し、太郎良陽一さんの司会で決起集会が開かれた。
 最初に、東峰の萩原富夫さんが発言に立ち、成田空港機能強化案への周辺住民の怒りが「4者協議会」開催を阻止したことを報告し、市東さんの農地を死守する意気込みを表した。
 続いて動労千葉の田中康宏委員長が、JR総連からの組合員大量脱退という事態のもとで、国鉄労働運動の飛躍と前進をかけて闘う気概を示し、3・25改憲阻止集会(日比谷)、4・1三里塚全国集会(成田市)への大結集を呼びかけた。
 関西実行委、「市東さんの農地取り上げに反対する会」の発言を受けて、意気高くシュプレヒコールを上げ、デモに出発した。横断幕や旗は雨を吸って重くなるばかりだが、みなぎる闘志で悪天候をはねのけ、千葉地裁に迫るデモを貫徹した。

20180310a-2.jpg 直ちに地裁前に再集合して署名提出行動に移った。全国から寄せられた農地取り上げ強制執行に反対する署名は、今回第4次提出分として2944筆(通算1万3643筆)。署名の合冊を携えて地裁に入っていく市東さんをはじめ反対同盟を、拍手と声援で送り出した。4階の民事第5部の書記官室に赴き、萩原さんが申入書を読み上げて受け取らせた。
 2月から実施されている入庁者全員に対する所持品検査で、この日も裁判所は激しい抗議の声で満たされた。大量動員された職員によって、カバン・バッグなどを中まで見せろと要求され、金属探知機をくぐることを強制される。まるで犯罪者扱いだ。警察の職務質問や所持品検査要求に応じるかどうかが任意であることからすれば、悪質さは警察以上だ。地裁全体に人民の怒りが充満する中で、10時30分に開廷した。
 所持品検査に対する弁護団の抗議に対し高瀬裁判長は、まるで他人事のように「申し伝えておく」と述べるのみで、自身の責任を問われると「お答えできない」と居直った。暴力的な所持品検査を受けた傍聴者も怒りの声を次々と発する中で、弁論が進められた。
 被告NAA(成田空港会社)はこの日までに、「強制執行は判決で確定したことだから当然。権利濫用や信義則違反には当たらない」とする準備書面を提出していた。農地法裁判一審の極悪の多見谷判決を頼みの綱とした、とんでもない暴論だ!
 弁護団はこれに徹底的に反論する弁論をたたきつけた。1993年に空港公団(NAAの前身)は、「あらゆる意味で強制的手段が用いられてはならない」ことを公的に確認し、土地収用法に基づく収用採決申請を取り下げた。それは民事訴訟における強制執行による用地取得の放棄も当然意味する。そして多見谷判決は確かに極悪でずさんだが、判決確定後の強制執行にまで言及し容認したものではない。またNAAは、「強制執行の必要性を明らかにする必要を認めない」と居直っている。とどのつまり強制執行で土地を確保する具体的必要性も緊急性もないということだ。
 農地強奪の強制執行が行われれば、市東さんの全営農・全生活が破壊される。1971年強制代執行の流血の事態を繰り返すというのか。絶対に許されない! それを実行するなら、原告と反対同盟は、実力闘争で反撃し粉砕するのみだ!
 この気迫に満ちた主張に傍聴席から大きな拍手が起こった。
 ここで裁判長は早期結審の意図を隠そうともせず、今後2回の期日で小泉英政氏、加瀬勉氏、反対同盟の萩原富夫さん、市東孝雄さん本人、計4人の人証調べを行い、あとは弁論を1期日だけ入れるというスケジュールを示した。
 弁護団はこれに対し、すでに申請してある憲法や経済学の学者・専門家の証人調べを行うよう、ねばり強く要求した。裁判長は「ご要望は承ったが、約束はできない」と事実上はねつけた。この裁判における国家意思との最大の対決局面が訪れたと、誰もが実感した。
 次回5月24日に小泉氏、加瀬氏の証人尋問、次々回6月28日に萩原さん、市東さんの尋問が行われることを確認し閉廷した。
 千葉県弁護士会館において、伊藤信晴さんの司会で報告集会が開かれた。
20180310a-3.jpg 最初に市東さんが、3・4芝山縦断デモと、悪天候を突いてのこの日のデモと傍聴参加にお礼を述べ、「多くの人びとの決起が裁判所への圧力となります」と述べ、変わらぬ支援を要請した。
 続いて葉山岳夫弁護士が発言し、「人証調べを市東さん、萩原さんだけで打ち切ろうとした裁判所の意図を押し返し、小泉氏、加瀬氏の証人採用をかちとった。だが7月最終口頭弁論で結審しようとしている。4・1全国闘争の大結集による反撃でこれを打ち砕こう」と訴えた。続いて弁護団全員が、結審策動への怒りと勝利への決意を表した。
 傍聴に参加した動労水戸副委員長の辻川真一さん、福島の椎名千恵子さん、全国農民会議共同代表の小川浩さんが連帯発言を行った。小川さんは、種子法廃止、減反政策廃止に表れた安倍政権の農業切り捨て政策への怒りを表し、「農民が生きるために三里塚と連帯し安倍政権を倒す時だ」と訴えた。
 最後に婦人行動隊の木内敦子さんが、3・24天神峰カフェ、4・1全国集会(成田市栗山公園)への参加を訴え、「市東さんの農地を絶対に守ろう」と呼びかけ締めくくった。(TN)

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