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三里塚耕作権裁判、墨塗り文書全面開示を勧告

201805151-a.jpg 5月14日、千葉地裁民事第2部(内田博久裁判長)で耕作権裁判が開かれた。三里塚芝山連合空港反対同盟と顧問弁護団、支援の労働者・学生・市民60人は、国家権力と成田空港会社(NAA)による天神峰の市東孝雄さんに対する農地強奪攻撃に対し、怒りを燃やして全力でこの日を闘った。
 午前9時、千葉市中央公園に結集し、太郎良陽一さんの司会で決起集会を行った。最初に東峰の萩原富夫さんが訴えた。「NAAは市東さんを”不法耕作者”と決めつけ、農地を奪おうとしている。こんな裁判を許さない。第3滑走路建設と飛行時間延長の策動に対し、住民の反対の声が次々と上がっている。沖縄・辺野古の闘いと連帯し、戦争と農業破壊を許さず闘おう」
 動労千葉の川崎昌浩書記長は、危機にあえぐ安倍政権の改憲・戦争の攻撃に怒りを表し、7・1国鉄全国集会への結集を呼びかけた。
 さらに関西実行委、市東さんの農地取り上げに反対する会の発言を受けて、意気高くシュプレヒコールを上げ、反対同盟を先頭に千葉市内デモに出発した。宣伝カーからは「農地死守」の訴えが市街に響き、デモは千葉地裁に力強く迫った。その気迫で、この日も地裁ロビーで入場者に対して行われている不当な所持品検査・検問を弾劾・突破し、傍聴に臨んだ。

201805151-b.jpg 10時30分に開廷。弁護団はあらためて、空港公団(NAAの前身)による文書偽造という犯罪の経緯を暴露し断罪した。
 1980年代の終わりに公団は、天神峰の耕作現況を描いた地図入りの「土地調書」を付けて、収用採決申請書を千葉県収用委員会に提出した。この土地調書には、関係人(小作者)の一人である市東東市さん(孝雄さんの父)の署名・押印はなかった。当然だ。反対同盟の先頭で闘っていた東市さんが、土地収用を狙う調書に応じるはずもない。だが関係人の署名・押印のない土地調書は、無効である。
 それで公団は「市東家の同意があった」と称して、「同意書」「境界確認書」をでっち上げ、東市さんの署名・印鑑を偽造して収用委に提出したのだ。
 「同意書」「確認書」は、この耕作権裁判では市東さんの耕作地の場所を特定するものとして提出された唯一の”証拠”だ。だがまったくの偽造文書であり、しかも誤っている。
 そして弁護団は、NAA側が出してきた筆跡・印鑑の鑑定について、特に「類似分析」のインチキな手法を、科学的かつ壊滅的に批判し、偽造であることを一層鋭く突きつけた。
 さらに、NAAが隠し続ける文書についてすべて開示するように強く求めた。
 ここで内田裁判長は原告NAAに向けて、墨塗りされた証拠「乙84~86」について全面的に「任意開示」するよう勧告した。証拠の評価として不十分になるから、その墨塗りを取ってすべて開示せよということだ。
 乙84~86は、2012年に下された文書提出命令でNAAに開示させた書証で、1970年当時の南台の農地について、小作者である根本、石橋、市東の3軒の耕作状況の調査などが記されている。だが、かなりの部分が黒く塗りつぶされた「部分開示」だった。弁護団はその全面開示をこれまで強く求めていたが、裁判長もそれを認めたことになる。
 NAA代理人の二人は当惑と失望の表情を隠せないまま、この勧告に応じるか否かを1カ月後までに回答することを約束させられた。
 次回期日を9月3日、次々回を11月19日として閉廷した。
 千葉県弁護士会館で、伊藤信晴さんの司会で報告集会が開かれた。最初に市東さんがあいさつに立ち、「今日は三里塚らしくない、裁判らしい裁判でした」と一同を笑わせ、5月24日の請求異議裁判への大結集を呼びかけた。
 葉山岳夫弁護士をはじめ弁護団が法廷を解説し、裁判長の「全面開示」勧告について、全員の粘り強い闘いでかちとった前進として確認した。実際、数カ月前までは裁判長はNAAの肩を持ち、「全面開示必要なし」との頑なな姿勢で弁護団と衝突していた。しかし、弁護団の真っ当で強い要求を毎回突きつけられ、「この問題で争い続けると裁判は永遠に終わらない」との危機感を抱いたことは疑いない。
 最後に伊藤さんは、空港機能強化策への地元住民の怒りがますます高まっていることを報告し、小泉英政氏、加瀬勉氏の証人尋問が行われる5・24請求異議裁判、7・8天神峰樫の木まつりへの参加を訴え、集会を閉じた。
 午後には反対同盟と支援連は千葉市繁華街に出て情宣活動を行い、市東さん農地への強制執行を許さない署名を集め、労働者市民と交流した。(TN)

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