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三里塚請求異議裁判で2人の学識者が陳述、「強制執行は違憲・違法だ」

20180717b-1.jpg 7月17日、千葉地裁民事第5部(高瀬順久裁判長)で請求異議裁判が開かれた。結審策動を押し返し、成田空港会社(NAA)が求める市東孝雄さんに対する農地取り上げを弾劾し、強制執行が許しがたい違憲・違法であることを立証する学識者の意見陳述が実現した。三里塚芝山連合空港反対同盟を先頭に、労働者・農民・学生など120人が結集し共に闘い抜いた。
 正午過ぎ、千葉市中央公園で太郎良陽一さんの司会で決起集会が開かれた。最初に伊藤信晴さんが「反対同盟が営々と貫いてきた軍事空港反対の闘いが求められる時が来た。全人民とつながり戦争を阻止しよう。市東さんの農地を死守しよう」と訴えた。
 動労千葉の川崎昌浩書記長を始め、全国の仲間が闘う決意を述べた。産直の出荷作業を終えて市東孝雄さん、萩原富夫さんが駆けつけ、炎天下にデモが出発。「千葉地裁は農地強奪をするな!」「市東さんの農地を守りぬくぞ!」
 宣伝カーからは婦人行動隊の宮本麻子さんが、農地を守るアピールを響かせ、デモは千葉地裁に肉薄した。

20180717b-2.jpg 午後2時に開廷。補佐人として法廷に立ったのは農業経済学者の石原健二さん、憲法学者の内藤光博さんの2人。それぞれ1時間を超える熱弁をふるった。
 石原さんは、「日本は食料自給率37%。農業の現状はかつてない危機にある。今日の朝日新聞に『日欧EPA(経済連携協定)産地は警戒/10府県TPP11超える打撃』と出ている」と指摘した。「61年に農業基本法ができ、自立経営農家の育成、農業構造改革が進められた。その中で三里塚にもシルクコンビナート構想が出てきたが、空港問題が発生し、専業農家は激減した。その後も農業政策は変転し、一般予算における農業予算は2%。ついに日本の農政はなくなった」と批判した。「この中で、無農薬・有機栽培、路地栽培で安全な食物を供給するという市東さんの農業こそ、手本にすべき農業だ」と称え、「市東さんは6月28日の法廷で、自分の農業の姿勢を『うそをつかない』ことと言った。うそをつかない農業を生きる道だと確信している市東さんがうらやましい。市東さんの農地を、強制的に奪ってはならない」と断じた。
20180717b-3.jpg 続いて内藤さんが、「農業はどのように憲法に位置づいているのか」という視点から、「営農権」を主張した。「農業および営農が人類の生存と平和を支える基本的条件であり、高度の憲法的価値、憲法的公共性を有することから考えると、農民には強い憲法的保障、すなわち『営農権』と呼ぶべき基本的権利が保障されねばならない」
 さらに1971年の土地収用法による大木(小泉)よねさんの土地・家屋の強制収用について言及し、「暴力的な強制執行の手法は、まさに生存の基盤である農地や住居を奪い去る『過酷執行』であり、生存権的財産権の侵害だった」と弾劾した。「市東さんの場合、適用される法律が土地収用法ではなく農地法であっても、小泉よね事件の強制代執行と本質的には変わりはない」と指摘した。
 結論として内藤さんは、「市東さんの魂とも言える生存権的財産としての農地を奪うことは、憲法13条の人間の尊厳を真っ向から否定する憲法違反だ。土地収用法に代わって農地法をもってする憲法違反だ。それでも恥ずかしくないのか!」と一喝した。2人の論理的で迫力ある意見陳述は傍聴者の大きな拍手に包まれた。「裁判官、わかったか!」の声も飛ぶ。
 さらに弁護団全員が次々に立って1時間あまり、最終弁論の骨子を陳述した。次回9月27日、市東さんの意見陳述と弁護団の最終弁論が行われる。
 閉廷後に場所を移し、石原さんと内藤さんを囲んで報告集会が開かれた。拍手で迎えられた市東さんが、「石原さんと内藤さんのお話を聞いているうちに、空港会社のやり方のひどさ、自分たちの正義性を強く感じた。次回には自分の思いのたけを話せるように頑張っていきたい」と決意を語った。葉山岳夫弁護士を始め弁護団が最終弁論への意気込みを語り、全員で勝利を誓い合った。(YK)

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