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三里塚第3誘導路裁判―「基本計画」を無視した空港拡張を追及

20181111a-1.jpg 11月9日、千葉地裁民事第3部(阪本勝裁判長)で第3誘導路裁判が開かれた。三里塚芝山連合空港反対同盟と顧問弁護団、支援の労働者・学生・市民は、成田空港拡張と騒音の強制に対する怒りをかきたてて闘った。
 この裁判では、国と成田空港会社(NAA)を相手に、B滑走路の2500メートルへの延長(2006年)、第3誘導路建設(2010年)という二つの変更許可処分の違法性を追及し、B滑走路の使用禁止、飛行の差し止めを求めている。
 開廷後直ちに弁護団は、裁判所に敷かれた異様な警備態勢に対し猛然と抗議した。裁判所では今年初めから、一般の入庁者全員に対する金属探知機を使った手荷物検査を行っている。その上さらにこの日は、インカムを付けた裁判所職員が別室に待機させた公安警察と無線で連絡を密に取り合いながら、弁護団の入庁を監視していることが発覚した。これは裁判の公正性を疑わせる事態だ。弁護団の猛抗議に対し、「答える立場にない」などと言を左右に逃げ回る阪本裁判長に対し、傍聴席からも激しい弾劾の声が飛んだ。
 手続きに入り、弁護団が内藤光博・専修大学教授(憲法学)の意見書を提出し、その要旨を陳述した。天神峰の市東孝雄さんが農業を続ける権利を「営農権」と位置づけ、農作物=食糧の生産が個人の尊厳と生物学的生存を支え、社会の平和に寄与していることの意義を強調した。市東さんの営農権には重要な憲法的価値がある。これを直接脅かしているのがB滑走路と第3誘導路だ。

 この日、被告の国とNAAは、反対同盟側からの「B滑走路に関する本件許可処分は基本計画(1966年)に適合していない」との追及に対する「反論」の文書を提出した。
 実際、B滑走路の建設は成田空港の当初の基本計画からの逸脱を次々と積み重ねてきた歴史だった。南側を東峰地区の存在に阻まれて、短い2180メートルの「暫定滑走路」として無理やりに造られて02年に供用開始し、その後北に1100メートルもずらして2500メートルに延長された。しかも着陸帯は基本計画の半分の150メートルしかない。いずれも、当初の基本計画を無視したものだ。さらにNAAは今日、「空港機能強化」として、敷地面積を1000ヘクタールも広げ、2倍にも拡張しようとしている。B滑走路も再再度北に延長し、3500メートルにするという。こんなやり方を続ければ、住民の立ち退き強制や騒音被害は、歯止めなく拡大されていく。
 ところが今回、国から出されてきた反論は、「基本計画は完成されるべき成田空港の概要を定めたもので、滑走路の具体的な位置は定めていない」と主張するものだ。自らのやりたい放題の空港拡張を居直る暴論だ! 弁護団はこれを今後も徹底的に追及する姿勢を表した。
 さらに弁護団は、NAAが「騒音健康影響調査報告」の全データを提出することを求めて、文書提出命令を申し立てた。この調査報告はNAAが2014年に一般財団法人「小林理学研究所」に空港周辺住民へのアンケート調査を行わせて作らせたもので、その概要だけが発表されて、「騒音と住民の健康影響の関連は認められなかった」と結論付けている。最初から結論ありきではないのか。調査結果すべてが明らかにされねばならない。
 次回期日は来年2月8日、次々回は4月23日と確認して閉廷した。
 千葉県弁護士会館で、伊藤信晴さんが司会を務めて報告集会が開かれた。葉山岳夫弁護士をはじめ弁護団全員が発言し、裁判所が三里塚裁判に限って警察を引き入れた特別な監視・弾圧態勢を敷いていることを強く弾劾した。さらに、この第3誘導路裁判も市東さんの農地を守る闘いの重要な一環として、全力を尽くすことを確認した。
 市東さんの農地取り上げに反対する会とユニオン習志野が連帯発言を行った。
 最後に太郎良陽一決戦本部長が、12月20日の請求異議裁判の判決日に向けての反対同盟の行動方針を提起した。11月18日の反対する会主催のシンポジウム(東京・文京区民センター)、翌19日の耕作権裁判・千葉地裁包囲行動(人間の鎖)を連日の闘いとして位置づけ、地裁に提出する「強制執行するな」の要望書を職場・学園・地域で集めることを熱烈に訴えた。(TN)

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