米UTLA3万人がスト 「闘って公教育を守り抜く」
限りなく明るく活気にあふれて
1月14日、ロサンゼルス統一教組(UTLA)の3万人を超える教職員が、ロサンゼルス統一学区の全校で、賃上げと教育環境の改善を求め、30年ぶりの大ストライキに立ち上がった。
ストは豪雨の早朝から始まった。7時30分、教師たちがそれぞれの学校の前でピケットラインを張り、保護者や生徒たちが支援に駆けつけた。高校生は独自に教師支援のストライキに立ち「私たちの先生を支援し自分たちの教育環境を改善するため、ピケッティングを行っている」と語った。
10時30分には各地区から教育労働者と支援者が結集し、ロサンゼルス市街のグランドパークが5万人を超える人びとであふれた。ILWU(国際港湾倉庫労組)、SEIU(統一サービス労組)、大学教職員協会などのカリフォルニアの他の労組も支援に加わって、マスコミ各社もレポーターを派遣して大きく報道した。CNNのレポーターは、「25年間ロサンゼルスに住んでいるが、こんなに多くの人が集まっている様子は初めて見る」と報道している。
2日目の15日は、各校のピケットの後、カリフォルニア・チャータースクール協会(CCA)の前で全員が結集する団体行動を行った。UTLA傘下のチャータースクール(公設民営校)の組合員たちも学校を挙げて参加し、昨年12月にシカゴで貫徹された全米初のチャータースクールのストライキに続くものとなった。ラテンアメリカ音楽のトップバンド「オゾマトリ」がUTLAの音楽教師たちとジャムセッションを行い、「僕たちもロサンゼルスの公立学校で音楽の先生から音楽のすばらしさを教えてもらった。ここ数十年で公立学校への資金が大幅に減らされて、音楽教育が打撃を受けているのは悲しい」と語った。
民営化との闘いに全世界が注目
公教育の民営化は、カリフォルニアだけではなく全米の問題であり、全世界が公設民営化の方向へ動いている。「今ここで闘わなければ、公教育は5年間で完全に衰退させられる」と、準備万端にストライキに突入したUTLAの動向を世界中が見守っている。
学区当局もこれを無視できなくなり、ストライキ3日目の16日、ロサンゼルス市長エリック・ガルセッティが仲裁に入り協約交渉が再開されることとなった。交渉は17日の正午にロサンゼルス市庁舎で始まり、組合員や支援者はロサンゼルスの街をデモ行進して要求獲得を訴えた。交渉は12時間に及び夜中の午前0時まで続いたが、翌日へと持ち越された。
6万人大集会で「必ず勝利する」
だが、悲壮感はみじんもない。ストライキが開始された週の最終日の18日は、協約交渉が続く市庁舎の前で集会が行われ、6万人を超える参加者が結集した。その参加者を前に、委員長のアレックス・カプートパールは語る。
「私たちは今、歴史的な偉業を成し遂げようとしています。UTLAの団結力はすばらしい。私たちのストライキに誇りを持って、来週はもっと強く、さらに団結を深めて頑張りましょう。私たちは必ず勝利します!」(高村涼子)
〔写真〕上:ロサンゼルスの街頭にスト支援の音楽響く バンド「オゾマトリ」とUTLAの音楽教師たちとのジャムセッションが繰り広げられた
下:6万人が結集した5日目のロサンゼルス市庁舎前集会(1月18日)
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