米ボーイングの労働者が57日間の戦闘的ストを貫徹
すでにこの速報版で報道したように、アメリカの航空宇宙・軍事企業のボーイングで9月初めから2か月近くにわたるストが闘われた(写真はスト突入第一日目)。この闘いは、10月28日になって妥結案の合意を見、11月2日までに批准投票が行われ、74%の多数で受諾が決定された。ボーイング労働者の闘いは所期の目標をすべてかちとったわけではないが、企業と政府、そして体制内指導部に、労働者がいったん決起したときの階級的実力のすごさを思い知らせた。
9月6日、ボーイング社の2万7000人の労働者は、主力のシアトル・エベレット工場のあるワシントン州、そしてオレゴン州、カンザス州の3州にわたる数か所の工場で、無期限ストに立ち上がった。工場前にはストライキ労働者によってピケットラインが張られた。そして、「ボーイング資本に、今までにないおれたちの姿をみせてやる」と労働者たちが、こぶしを突き上げた。積もりに積もった怒りが、地軸を揺るがすような数千の大喊声となって爆発する。これが57日間にわたる大ストライキの第一日目であった。
ストを打ち抜いて妥結した内容は次のとおりである。
①協約期間は、3年ではなく4年とする
②この期間の賃上げを15%とする
③医療手当、年金支給は従来どおりとする。会社側はその撤廃・削減を求めていたが撤回せざるをえなかった。
④下請企業の労働者(非組合員)が、外注部品を工場内に持ち込むことは、従来どおり認められる。しかし、機体への取り付け作業はできない。この結果、当初会社が意図した2000人の首切りは阻止された。
⑤組合(IAM=国際機械工組合)は、ボーイング社が、外注しようとしている仕事について、下請企業とのあいだで、競争入札をする権利を獲得する。
この闘いは、世界大恐慌下における米戦略企業中枢を撃つ威力十分なストであった。しかも体制内組合であるIAM指導部の制動をぶっ飛ばしてランク&ファイルが実力でもぎり取ったストであった。この闘いは、これから大爆発する30年代的な荒々しい米労働運動の偉大な前ぶれである。(Kw)
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