東海第二原発(茨城県東海村)から半径30㌔圏内には約96万人が居住
現在、東海第二原発(茨城県東海村)の30㌔圏内では、日本原子力発電株式会社(原電)による「状況説明会」が開催されている。4月から6月まで20カ所予定のうち15カ所が終了した。各回ほぼ60人くらいの方が参加している。
昨年末、原電は原子力規制委員会の新基準適合審査合格を得て、今年2月に再稼働の意思を発表した。今回、一連の説明会で「住民に理解を得る努力は果たしている。十分納得して頂いた」と打ち出そうとしている。意図的な再稼働賛成発言も組織しているようだ。5月24日の水戸市説明会では年配男性が「原発はCO2を出さないから堅持すべき」と発言。これに対して、会場から「原発のほうが危ないだろう」「廃棄物の処理はどうする」などのヤジが飛び白熱した。
再稼働のために原電の対応も高圧的だ。「状況説明」の無内容化が激しい。会場からの質問は地元の人に限り、1人1問で、再質問は認めないなど許し難い。当然にも出てくる原発事故に対する不安に「絶対事故は起こさない意思で対策は万全にする」「もし、万が一、事故になった時に事故原因の調査結果が出て、わが社が原因と決まれば、責任はわが社が取る」と断言。「責任などとれるのか」と参加者の怒りを引き起こした。主な質疑として、「避難計画に協力とは?」の質問に「事故が起きた時のチェックポイントでの線量測定」と回答、「再稼働する意義が不明だ」の質問には「電力自給率は食料自給率より低い。風力、太陽光は不安定で高価」と回答、「借金で工事費用を賄うのはおかしい」の質問には「全額調達はまだ決定していないが、工事しながら工事の規模分を調達する」と回答するなどデタラメだ。
毎回の60人近くの住民はほとんどが「再稼働絶対反対」で、この存在はすごい力だと思う。水戸の北部に隣接する那珂(なか)市の説明会では会場でヤジが飛びかい、終了しても解散しない人々が多く存在した。私はその人たちに会場内でチラシをまき、今後も連絡してもよいという40代女性から「常磐線延伸反対」の署名をもらった。原電のアリバイ作りのための説明会だが、集まってくる人々の怒り、熱気はすごい。絶対反対派が強固に形成されていることを知った。
今秋11月労働者集会に向けてあらゆる行動を東海第二原発再稼働を止めるための闘いとしても捉えて、怒れる県民と結合し共に闘っていきたい。
(茨城県労組交流センター・辻川あつ子)
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