8・6ヒロシマ大行動実行委 オバマ広島訪問反対記者会見と市長・県知事に申し入れ
5月19日、8・6ヒロシマ大行動実行委員会がオバマ米大統領の広島訪問反対の記者会見を行い、広島市長(市)と湯崎知事(県)への申し入れを行った。
記者会見には7社が参加し、記者の注目の中、「オバマ米大統領の広島訪問に反対する声明」(下記)を読み上げ、実行委員会共同代表の中島健さん、室本けい子さんらがヒロシマの怒りを表明。会見後、広島市長と広島県知事に申し入れを行いました。
オバマ米大統領の広島訪問に反対する声明
被爆71周年8・6ヒロシマ大行動実行委員会
広島市中区幟町14-3-705 電話・FAX082-221-7631
メールhiro-100@cronos.ocn.ne.jp
(1)私たちは、5月27日、伊勢志摩サミット終了後に行われるオバマ米大統領の広島訪問に反対します。
サミットは、G7と呼ばれるわずか7カ国の金融的・軍事的大国の支配者たちが、世界の市場・資源・勢力圏をどのように分け合い、支配するかを話し合う「強盗戦争会議」です。そこでは北朝鮮の体制を転覆する新たな朝鮮戦争=核戦争が主要議題になろうとしています。世界最大の核軍事力をもつオバマは、この戦争会議の主導者です。このオバマの広島訪問には、被爆者をはじめとする労働者民衆の戦争絶対反対の声を踏みにじって安保戦争法を施行し、「核兵器の保有も使用も合憲」とする政府答弁書を閣議決定(4月1日)した安倍首相も同行します。安倍は「核兵器のない世界の実現に向けて大きな力になる」などと言っていますが、これほどの欺瞞はありません。
(2)「核のボタン」を抱えて平和公園に足を踏み入れることを絶対に許さない!
世界最大の核軍事大国であるアメリカ、中東などで空爆による殺戮と破壊を繰り返し、沖縄を基地の島にし続け、朝鮮半島で新たな戦争・核戦争を準備しているアメリカの最高戦争司令官が、どうして「核廃絶の希望」なのか?「平和の使者」なのか? しかもオバマは「核のボタン」(核攻撃指令装置)を抱えて広島に来るのです。絶対に許せません!
オバマと米政府は、「原爆投下について謝罪しない」と繰り返し言明しています。それはヒロシマ・ナガサキへの原爆投下を戦争犯罪とは追及させないということです。そして安倍もこのオバマといっしょになって侵略戦争責任を最後的に開き直ろうとしています。それは新たな侵略戦争と核戦争を許す道です。
(3)オバマがプラハ演説で実際に言ったことは核独占と核戦争遂行能力の維持です。
「核兵器が存在する限り、米国は敵国を抑止するために安全でしっかりした、効果的な(核ミサイルの)保有量を維持する。……幻想を持ってはならない。いくつかの国はルールを破る。だから、どんな国がそうしても、例外なく代償に直面する構造が必要だ」――これが2009年4月プラハ演説の核心です。
実際、オバマ政権は実際には核戦力を維持・進化させてきました。30年で1兆ドル(100兆円以上)もの費用をかける核兵器近代化計画を推進し、そのために2010年11月から2014年までに12回も臨界前核実験、新型核実験を繰り返しています。また、「核兵器禁止決議」にはことごとく反対しています。このアメリカの姿勢を強力に支持しているのが「唯一の被爆国」を標ぼうしながら核抑止力の必要性を認め、原発とロケット開発で「潜在的核保有国」となり、ついに「核兵器の保有も使用も合憲」とする閣議決定で核武装の意志をあらわにした安倍政権です。
「アメリカが核を独占する」「逆らう国には「代償」(ヒロシマ・ナガサキの再現です!)に直面させる」、この核独占と核戦争を正当化する論理は、核と戦争に絶対反対の被爆者をはじめとする労働者民衆の立場とはまったく相いれません。
(4)オバマは「核なき世界」などといいながら、新たな核戦争をやろうとしています。
今年1月、北朝鮮の核実験に対して、オバマは朝鮮半島上空に戦略核爆撃機B52を飛ばし、核戦争を実際に行う構えをみせて威嚇し、3-4月には核戦争をも想定した史上最大級の米韓合同軍事演習を強行しました。2月24日、在韓米軍司令官は米下院軍事委員会聴聞会で「朝鮮半島で衝突が起きれば、第2次世界大戦に匹敵する事態になる。兵力と兵器の規模は朝鮮戦争や第2次大戦に酷似しており、またさらに複雑であるため、おそらく多くの死傷者が出るだろう」と述べています。最高司令官・オバマの下で米軍は、ヒロシマ・ナガサキをはるかに超える朝鮮戦争=核戦争の計画を練り上げ、実行しようとしているのです。
ようするにオバマは、広島を訪問して核廃絶のために努力しているかのように被爆者と世界の労働者民衆をあざむき、北朝鮮への核攻撃をヒロシマに認めさせようとしているのです。このオバマと、「核と戦争は絶対反対」と闘ってきたヒロシマの私たちは、絶対に相いれません。
(5)核をなくすのは労働者民衆の国際連帯と団結の力です。
「オバマが広島に来て、平和資料館を見学すれば、核廃絶のために真剣になるのでは…」というのは、まったくの幻想です。G7外相会合で原爆資料館を「じっくり」見学したケリー米国務長官は何と記帳したでしょうか? 「戦争は最初ではなく最後の手段にしなければならない」と書いたのです! あの資料館を見て、なおも戦争=核戦争を最後の手段としてとっておく必要性を説くのがケリーやオバマなのです。そもそもアメリカの支配者たちはABCCなどを通して、内部被曝問題を含めて「被爆の実相」を調べ上げ、知り尽くし、その資料を隠し持ち、だからこそ最終兵器としての核を絶対に手放さないのです。
核と戦争は、1%の資本家、支配権力者たちが、99%の労働者民衆を支配し、分断し、対立させあい、殺し合いをさせて生き延び続けるために必要とするものです。労働者を解雇・非正規化・超低賃金・過重労働で「殺す」政治、反戦・反核・反基地・反原発のたたかいを弾圧する政治、この政治の延長に侵略戦争があり、核戦争があります。そしてこのような政治をやっているのがオバマであり、安倍です。
彼らに「お願いする」のではなく、北朝鮮や中国の支配権力者らのように核で対抗するのでもなく、99%の労働者民衆が団結し、国際連帯をつらぬいてオバマや安倍ら1%の支配者たちに絶対反対でたたかうこと――これだけが核と戦争をなくす道です。私たちは何よりも、「韓米日軍事同盟」による朝鮮戦争に反対し、ゼネストで闘う韓国民主労総と連帯して闘います。
核と戦争に絶対反対を貫いてきた被爆者と闘う労働組合、学生自治会を先頭に、5・26-27オバマ広島訪問反対のデモに立ちあがることを呼びかけます。
2016年5月19日
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