安倍辞任表明に際し訴える
いまこそ闘う労働組合を再生し新自由主義粉砕へ立ち上がろう
安倍晋三首相は8月28日、持病の潰瘍(かいよう)性大腸炎が再発したとして辞任を表明した。だが辞任の真相は、〈コロナ×大恐慌〉情勢のもとで立ち上がる労働者人民の憤激を前に、なんの展望ももてなくなり、耐え切れず「逃亡」したということだ。新自由主義に対する生存をかけた闘い、改憲・戦争絶対反対の闘いが安倍を追い詰め、打倒したのだ。安倍を追撃して監獄へたたきこむとともに、新自由主義打倒へ、今こそ労働者が歴史の前面に立つ時がきた。労組絶滅攻撃をはね返す全日建運輸連帯労組関西地区生コン支部、動労千葉の闘いを水路に、闘う労働組合を職場からよみがえらせよう。11・1全国労働者総決起集会を、社会を変革する出発点にするために猛然と立ち上がることを訴える。
「20年新憲法」を打ち砕く
安倍は労働者人民の怒りと闘いで打倒された。それを象徴しているのが、辞任表明で改憲について述べたコメントである。「国民的な世論が十分に盛り上がらなかった」と打撃感もあらわに、「憲法改正、志半ばで職を去ることは断腸の思いだ」とうなだれた。安倍が政治生命をかけて策動した「2020年新憲法施行」は打ち砕かれた。これは労働者階級人民の決定的な勝利である。
「戦後レジームからの脱却」を掲げて登場した第一次安倍政権(06~07年)も、第二次安倍政権(12~20年)も、「戦争のできる国」への大転換をかけ、改憲に全体重をかけてきた。安倍は、60年安保闘争で打倒された戦犯にして首相の岸信介の孫であり、「日本会議」と一心同体の極右である。だからこそ、現JR東海名誉会長の葛西敬之ら日帝支配階級の「最後の切り札」としてかつぎだされた。
そのもとで、第二次安倍政権の7年8カ月は階級闘争の絶滅へ新自由主義を全面展開させてきた。アベノミクスなる「経済成長の虚構」をつくりだし大企業を救済する一方、労働者人民の命も生活もとことん踏みにじった。
一つが、改憲・戦争への突進だ。日米同盟の飛躍的強化、侵略戦争の歴史の居直りと戦争外交。解釈改憲による集団的自衛権行使の閣議決定と安保戦争法の制定。沖縄での辺野古新基地建設の暴力的な強行。東京五輪推進と福島の圧殺、原発再稼働などである。
二つに、戦争絶対反対の闘いをつぶすために、特定秘密保護法や「共謀罪」法の制定による治安弾圧の強化や、関西生コン支部への弾圧やJRを先頭にした労組なき社会をつくろうとする攻撃である。
三つに、「働き方改革」によるもう一つの改憲攻撃である。戦後労働法制を解体し、解雇自由・総非正規職化を推し進めた。辞任会見で安倍は「雇用は改善した」と言ったが、非正規職労働者が正規職の倍近く増えて、非正規職の割合は4割近くに達した。過労死を促進する高度プロフェッショナル制度(残業代ゼロ法)も強行採決した。
四つに、社会保障を解体し、生活も地域も破壊してきた。法人減税の一方で、2度にわたる消費増税の強行。医療・介護・保育・教育や水道などの全面民営化。年金制度改悪で高齢者も生きられない状況に追いやった。さらにTPP協定で農業を破壊した。
五つに、安倍独裁と政権腐敗である。安倍は内閣人事局を通じて官僚機構を掌握し、そのもとで利権をむさぼった。マスコミには恫喝をかけ、森友・加計疑獄、「桜を見る会」、黒川検事長定年延長、カジノ誘致、河井夫妻献金問題などで国家犯罪に手を染めてきたのだ。
戦争絶対反対と基地撤去の闘い
しかし、そのすべてがコロナで総破産した。GDPは年換算で27・8%下落し、経済、財政も破綻。東京五輪の展望もない。しかもこれから本格的な大失業が現実化する。安倍は、韓国・パククネ政権のように全人民的な怒りと憎しみの的となって打倒されることに恐怖した。5月には内閣支持率が29%と第二次政権下で最低を記録(朝日新聞の世論調査)。息をひそめて「歴代最長政権」になるのを待ち、タイミングを見計らって、卑劣にも逃亡したのである。
これは、労働者人民の怒りと闘いが、階級闘争絶滅の攻撃をうちやぶり、引き寄せた情勢だ。安保戦争法をめぐる攻防で示された改憲・戦争絶対反対の日本労働者階級の底力。辺野古新基地建設に対する沖縄の不屈の闘いと怒り。こうした闘いを根底で支えぬいてきた、国鉄1047名解雇撤回闘争と関生弾圧粉砕の闘い。そしてコロナ下における医療労働者のストライキをはじめとする新自由主義に対する生存をかけた闘い。これらが安倍を打倒したのだ。
11月労働者集会に結集を
だが、安倍は何も責任をとっていない。安倍の所業や国家犯罪を絶対に許さない。安倍を追撃し、監獄にたたき込もう。そして社会の崩壊をもたらした新自由主義を今こそ打倒しよう。
〈コロナ×大恐慌〉情勢のもと、全世界の労働者人民は体制そのものを問う根底的な決起を開始している。世界の支配階級がこれに追い詰められる中、安倍政権は「コロナによる政権崩壊」を初めて招いた。それほど日本帝国主義の体制は脆弱(ぜいじゃく)なのである。これは新自由主義の破産そのものだ。
9月中旬には新首相が選出されようとしている。だが、〈コロナ×大恐慌〉情勢、米中激突と世界戦争の危機の中で、日帝支配階級の延命のためには、誰が新首相になろうと、アベ政治を継続し破産した新自由主義の推進と、改憲・戦争と大失業の破局へ突き進む以外にない。
安倍は辞任までの間に、国家安全保障会議(NSC)を開き、敵基地攻撃能力の保有を推進することを公言している。安倍の取り巻きは、緊急事態条項を感染症対策にも適用すべきだと叫んでいる。政治の大混迷、分裂、大再編の中で、支配階級は必死に巻き返しを図っている。
だがそれは、さらなる階級的大激突を不可避とする。安倍打倒は革命的情勢の本格的到来だ。「コロナ危機を革命へ」、労働者階級が歴史を動かす前面に躍り出る時がきた。
職場と地域から反撃開始しよう
安倍打倒によって、これまで抑えられてきた労働者人民の怒りが一気に噴き出している。他方、安倍政権を背景にした労働者支配の崩壊も始まっている。五輪開催にすがりつく小池都政も危機に陥っている。
支配の崩壊と労働者人民の憤激——この情勢を職場からの反撃に転じた時にこそ、新自由主義を根底から覆すことができる。なぜなら、職場で働く労働者こそが社会の本当の主人公であり、社会にとって「必須不可欠」な存在であるからだ。安倍打倒に高揚する労働者はほかでもなく職場にいる。今必要なことは、職場から闘う労働組合をつくり、階級的団結を取り戻すことだ。
関西地区生コン支部は戦後最大の労働運動弾圧をはね返し、反転攻勢に入っている。動労千葉は「労組なき社会化」の攻撃をJR職場から迎え撃っている。この攻防に勝ちきることで、階級的労働運動を再生させよう。
11月労働者集会はこうした労働者人民の怒りと闘いを総結集させて、社会を根底的に変革していくための集会だ。全力を挙げて組織化に入ろう。
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