「入管収容所で何が起きているのか」講演集会
「強制送還拒否罪」許すな
外国人労働者と団結しよう
牛久の会・田中喜美子さんが講演
9月13日、「入管収容所で何が起きているのか」をメインテーマに第31回外登法・入管法と民族差別を撃つ全国交流集会(全国実行委員会主催)が横浜市鶴見公会堂ホールで開かれ、約130人(コロナ対策で参加者数を定員の3分の1に制限された)が集まった。入管収容施設での外国人への差別・迫害が大問題となる中、その実態、求められている取り組みなどについて牛久入管収容所問題を考える会・田中喜美子さんの講演を受け、学ぶ場となった。
1990年から毎年春に関東・関西で開催されてきた集会だが、今年はコロナ情勢のため中止、集会予定の4月25日には東京入管包囲デモが闘われた。集会は、映画「棘(とげ)」の杉浦弘子監督制作の「4・25東京入管デモ」の上映で始まった。
今春コロナ感染防止対策として入管収容施設からの仮放免が進んだが、いまだ全国で519人(6月末時点)の外国人が収容されたままだ。どのような基準で仮放免か収容継続かが決まるのかもわからない。このような究極の分断が残された人々を苦しめている。一方、仮放免になった人々も働くことを禁止され、何の補償も得られず生活に困窮しているのが現実だ。
田中さんは、「戦後75年、牛久入管収容所で何が起きているのか」と題した講演の冒頭、コロナ情勢で噴き出している社会の全矛盾は、実はコロナ以前から新自由主義による社会的な崩壊が進行していた結果だと語り、戦後75年の今も戦前の朝鮮・台湾植民地支配とアジア侵略戦争の歴史の上に、日本軍慰安婦制度や徴用工問題など何も解決することなく現在に続く外国人支配の要として、入管体制があると指摘した。
牛久の会は、茨城県牛久市にある東日本入国管理センター(牛久入管、1993年12月開所)で毎週水曜日、面会活動を続けている。「2020東京オリンピック」に向けた治安管理強化として、仮放免が極端に抑制された結果、牛久では昨年6月末時点で被収容者316中301人が6カ月以上の長期収容、うち49人が3年以上の超長期収容だった。
「一体何?と思うでしょ。成田空港に着いて難民申請をした、日本の地を踏んだこともない人が延々と収容されている。おかしいでしょ」と田中さん。長期収容に抗議して昨年5月に牛久で始まったハンガーストライキは夏には100人規模に広がった。
コロナ対策で多くの人が仮放免され、現在、牛久の被収容者は100人を切った。しかし、現状はよくなったのか? 田中さんから驚くべき報告が続いた。9月9日朝から8人と面会した田中さん、「うち3人が車椅子です。1〜2カ月前までは元気でしたが、今は水も飲めない摂食障害で命の危険すらあると心配しています。彼らはこういう状況をメディアや多くの人に知らせてほしいと言っています」というのだ。
最後に「昨年10月1日、法務省は記者会見し、6月24日に大村収容所(長崎県)での被収容者の『飢餓死』を認めたが、それを機に『収容・送還に関する専門部会』を立ち上げました。専門部会がまとめた提言に基づき、強制退去拒否罪や仮放免逃亡罪などの創設を盛り込んだ入管法の改悪が狙われています。憲法改悪と一体のものであり、秋の国会での入管法改悪を許さない運動をつくり出そう! 難民申請者、仮放免者、技能実習生、留学生を含む全ての外国人労働者と連帯・団結した運動をつくり出そう」と呼びかけた。
集会後半は、難民申請中の仮放免者をはじめ入管問題に取り組む人々からの報告が続いた。さいたまユニオン、湘北合同労組からはコロナ解雇との闘いが報告され、動労千葉国際連帯委員会が11月労働者集会に向けた国際連帯をアピール。最後に全国実行委員会が、行動方針として東京入管デモを続けること、国会での入管法改悪を絶対阻止することを呼びかけた。
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