名古屋高裁の不当判決に上告決意/池田自衛隊裁判
2月25日、名古屋高裁の大法廷内外は、怒りの声で包まれました。
イラク派兵中の2006年、クウェートで米軍関係車両に追突されて負傷した池田頼将元3等空曹が、自衛隊の安全配慮義務違反と闘ってきた国家賠償裁判控訴審で、名古屋高裁の萩本修裁判長は、名古屋地裁判決を踏襲して「国の違法行為、安全配慮義務違反は認められない」と、損害賠償請求をことごとく否定し、「控訴棄却」の反動判決を出しました。高裁で証拠採用された元自衛官の陳述書の内容を「客観的裏付けがあるわけではない」と切り捨て、国・自衛隊を免罪したのです。
反動判決に対して、「これでも裁判か」「司法は死んだ」「国の違法行為をなぜ裁かない」と糾弾の声がたたきつけられ、報告会を兼ねた池田さん激励会では次の闘いに向かって力強い訴えが続きました。
池田さんは、「怒りでいっぱいです。自衛隊の先輩は本当のことを言ってくれました。これを法廷にも出せましたから、本当に良かったと思います。しかし、尋問しないで判決を出したことには納得できません。上告します」と不当判決をきっぱり突き返しました。
「復興支援が目的」「戦闘地域への派遣はしない」「石ころにつまずいても公務災害」として中東に隊員を送り出しながら、全てがうそでした。池田さんの裁判は、国が隠しておきたいこうした真実に触れ、隊員や家族の側に立ってうそをついた国の責任を追及する裁判です。
しかし、名古屋高裁判決では、だまされた側の被害は救済せず、使用者である国・自衛隊の責任は裁きませんでした。この判決は反動判決ですが、「国は約束を守らない」「自衛隊員を利用して使い捨てにする」ことを認めたということでは墓穴を掘った判決です。
国も、自衛隊・防衛省も、池田さんが隊内から「国は平気でうそをつく」「隊員は将棋の駒ではない」と人生をかけた闘いに立ち上がったことに完全に追い詰められています。池田さんに続く隊内からの決起として裁判への支持が広がり、上官や国の命令への不安や不信が広がっています。
池田さんの訴える国賠裁判は、裁判所の判決で決着がつくものではありません。戦争国家へと国の在り方を変えようという国に対し、改憲と戦争絶対阻止の闘いの中で労働者と自衛隊・家族の団結が広がることをめざすものです。ともに闘いましょう。(池田自衛隊裁判をともに闘う会)
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