星野国賠 獄中医療を徹底追及
医師意見書めぐり山場
12月12日に東京地裁民事第14部(村主隆行裁判長)で開かれた星野国賠訴訟第13回口頭弁論で、被告・国から東日本成人矯正医療センターに関する医師の意見書が提出された。なんと作成者は、10月に出された徳島刑務所の医療問題についての意見書と同じ高松刑務所医務部医療第4課長の池田正行だった!
1971年11・14沖縄返還協定批准阻止を掲げた渋谷闘争を闘い、徳島刑務所から無実を訴えて再審闘争を行っていた星野文昭さんが、2019年5月30日に獄死したのは、医療センターで14㌢×11㌢の巨大な肝細胞がん切除の手術を受けた2日後だった。
前年8月、腹痛を訴えた星野さんに対し原因究明のための血液検査・エコー検査も行わず放置した徳島刑務所、さらに手術後のケアを怠り、星野さんを死に至らしめた医療センターをめぐる問題が星野国賠の2大争点だ。
原告・弁護団は昨年12月、肝臓の専門医ら3人の医師の意見書を提出した。国は、それに対する反論の医師の意見書を「出す、出す」と言いながら出すことができなかった。ようやく10月に1通、12月に2通目を出してきたのだ。
裁判では原告側は、1通目の池田意見書を徹底的に弾劾する「第7準備書面」を提出した。
その要旨を岩井信弁護士が陳述した。「根本的な、最も重要な疑問に答えていない。それは、2018年秋になぜ、医師ならば誰でも原因究明のために行う血液検査や腹部エコー検査を行わなかったのかということだ」と指摘した。この年の3月から星野さんは疲れやすいと訴え、8月から食欲不振と体重減少が続いた。心配した家族や弁護団が繰り返し、検査と治療を要求したが、徳島刑務所の医師は検査を行わなかった。岩井弁護士は「ここで腫瘍を発見していればもっと安全な手術を行えた」と鋭く追及した。
被告・国は、原告側医師の意見書に全く反論できず、開き直りの池田医師の意見書しか提出できなかった。どんなに非合理で医学的知見に反してもそれを貫き、裁判所を屈服させようとしている。国賠訴訟は、医師の意見書をめぐる重大な決戦に入った。
裁判後の報告集会で原告の星野暁子さんは、2通目の池田意見書を怒りもあらわに弾劾した。「1年もかかって被告・国は、第3者の外科医師、権力サイドの医師すら池田以外に依頼できなかった。再開腹して止血していれば文昭は助かったことを否定することは、医師であれば誰もできないことなのです。そんなレベルのことで文昭は殺されたのだと、今さらながら怒りがわきます」「肝臓専門医の反論の意見書が重要です。医師や学者の力も得て、勢いある運動の広がりで裁判所を動かしたい。池田意見書によって逆に勝利が見えた気がします」
報告集会を終えて昼休みの法務省弾劾デモに出発した。「星野国賠に勝利するぞ」「大坂正明さんは無実だ」「市東孝雄さんの農地強奪を許さないぞ」とシュプレヒコールを上げ、霞が関を進んだ。
次回は、来年2月16日(木)午前10時30分、東京地裁411号法廷。傍聴闘争に結集しよう。無実・無罪を争う大坂裁判と共に、裁判所を包囲する大運動で勝利をかちとろう。
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