三里塚団結街道裁判―小泉市長の陳述書を弾劾

団結街道裁判閉廷後の報告集会（３月１日　千葉県弁護士会館）

千葉地裁民事第３部（岡山忠広裁判長）で３月１日、団結街道裁判が開かれた。三里塚芝山連合空港反対同盟と顧問弁護団、支援の労働者・学生はこの日も、「農地死守」の決意で一つになって闘いぬいた。
団結街道（成田市道・天神峰―十余三線）は、天神峰の農家・市東孝雄さんにとって、自宅と南台の耕作地を直線で結ぶ、日々の農作業に必要不可欠の道路であった。市東さんだけでなく、一般的にも利用者が多い重要な交通路であった。その団結街道を成田市は、２０１０年６月に夜陰に乗じて暴力的に封鎖・廃止し、土地を格安で成田空港会社（ＮＡＡ）に売り飛ばすという暴挙に及んだ。その違法性を徹底的に追及し、廃道処分の無効を明らかにするのがこの裁判だ。
この廃道決定の最高責任者である小泉一成成田市長の証人としての次回期日での出廷が決まっているが、その証言に先立つ市長の陳述書が、２月２２日付で裁判所に提出された。
だが、これがあまりにもひどい。書き並べられているのは、ＮＡＡとの協議や市議会にかける上での手続きの無味乾燥な経過ばかりだ。道路廃止という住民にとって重大な決定をなぜ行ったのか、道路法第１０条における廃道の要件に適しているかどうかについて責任者としていかに判断したのかという肝心なことに、まったく触れていない。そして許しがたいことに、「１９７０年当時の成田市長と空港公団総裁との間で廃道を決めていた」ことを持ち出して「廃止は前提」と居直り、空港の利害を代弁して「容量拡大へ向けた誘導路の整備」の必要を押し出している。

団結街道は、市東さんの自宅と南台農地を直線で結ぶ道路だった

成田市民である市東さんの営農にどれだけ大きなダメージを与えているかについて、まるで言及なし。これではかつて証人としてまったく用をなさなかった、市の元土木部長中村壽孝の証言と似たり寄ったりだ。
この日の法廷で弁護団は小泉陳述書を弾劾し、補充の陳述書の提出を被告・成田市に強く要求した。裁判長も「４月までに出せるなら出して」と促すが、市の代理人は気のなさそうな返事をするのみ。この代理人らが市長を「肝心なところは書かずに」と誘導したことが容易にうかがわれる。
小泉市長の証人尋問は、次回５月１０日（金）午後１時３０分開廷で行われる。さらに次々回７月１６日には、萩原富夫さん、市東孝雄さんの原告本人尋問が行われる。
閉廷後、千葉県弁護士会館で伊藤信晴さんの司会で報告集会が開かれた。
弁護団が市長尋問で真実を究明する意欲と決意を明らかにした。

小泉一成成田市長。成田空港との蜜月を続けて５期目

連帯発言で全学連の今井治郎君は、昨年８・６広島闘争に対する２・２８弾圧、５人逮捕を怒りを込めて弾劾した。「実力闘争を禁圧する弾圧であり、絶対に許さない。昨年の２・１５天神峰強制執行に対し私たちは実力で闘ったが、その闘いを知って立ち上がった学生が全学連に合流している。自らの体を張って闘うことに訴求力がある。三里塚に学び三里塚とともに闘う。３・１８耕作権裁判、３・３１芝山現地闘争、５・１０小泉市長尋問に学生は大挙して結集します」。この決意に参加者全員が大きな拍手を送った。（ＴＮ）

スケジュール
◎耕作権裁判　３月１８日（月）耕作権裁判　正午　千葉市中央公園集合→市内デモ　午後１時４５分開廷　千葉地裁（現闘員・岸本豊和さん証人尋問、市東孝雄さん本人尋問）
◎芝山現地闘争　３月３１日（日）午後１時開場　芝山文化センター（千葉県山武郡芝山町小池９７３）主催／三里塚芝山連合空港反対同盟