全基地撤去へ5・15沖縄闘争
5月17~19日の3日間にわたり、改憲・戦争阻止!大行進沖縄が呼びかける「米日の中国侵略戦争阻止! 沖縄をミサイル基地にするな! トランプも石破も倒そう! 『復帰』53年5・15沖縄闘争」が闘われ、全国から駆けつけた仲間と沖縄現地の労働者・学生ら総勢300人が「日米安保粉砕・全基地撤去」の声を響かせて奮闘した。
米日帝国主義が進める沖縄のミサイル基地化・軍事要塞(ようさい)化、そのもとで相次ぐ米兵の女性暴行事件とその隠ぺい、辺野古大浦湾の軟弱地盤への砂くい打ち込み工事の強行、陸上自衛隊第15旅団と中谷元・防衛相による旧日本軍第32軍司令官・牛島満への賛美、沖縄戦の史実歪曲をもくろむ自民党参院議員・西田昌司の暴言、そして6月4、5日に予定される天皇の沖縄訪問——これらはすべて、米日帝の中国侵略戦争への突進の中で起きている事態であり、この現実に対する沖縄現地の怒りは臨界点を超えて沸き上がっている。3日間の現地闘争は、この怒りと結びつき、中国侵略戦争を阻む新たな安保・沖縄闘争を沖縄―本土が一体となってつくりあげていくための決定的な突破口を開いた。
17日には、沖縄戦で陸軍病院分室とされ、ひめゆり学徒隊が配属された南城市の糸数アブチラガマを見学後、那覇市の沖縄県青年会館での「『復帰』53年5・15集会」を開催。そして、夕方から多くの観光客や那覇市民でにぎわう国際通りをデモ行進し、沿道からは例年以上の注目と共感の声が寄せられた。
18日には、米軍普天間基地、嘉手納基地を見学後、うるま市の陸自勝連分屯地に抗議行動を行い、昨年3月に配備された第7地対艦ミサイル連隊の解消などを求める申し入れを行った。
19日には、名護市辺野古の座り込み現場を訪れ、朝からの400人もの座り込みで工事車両の搬入を実力阻止。午後からは陸自那覇駐屯地への抗議行動と申し入れを行った。
再びの沖縄戦を許すな
「復帰」53年集会 米兵の性暴力に怒り
沖縄現地闘争初日の17日、「復帰」53年5・15沖縄集会が「米日の中国侵略戦争阻止! 沖縄をミサイル基地にするな! トランプも石破も倒そう!」を掲げて那覇市で開かれ、沖縄をはじめ全国から300人が結集した。集会は沖縄戦を二度と繰り返さないという固い決意と熱気に満ち、米兵の女性暴行、沖縄戦を美化する自民党参院議員・西田昌司らの暴言そして天皇訪沖を徹底弾劾し、全基地撤去・安保粉砕へ向かって団結をうち固めた。 司会を務める沖縄コールセンター労組の仲宗根光洋委員長が「女性暴行事件が頻発しても政府は何も言えない。われわれこそが戦争を絶対に止める」と訴え、集会は始まった。
元全軍労牧港支部青年部の宮城盛光さんが主催者あいさつを行い、激しく進む沖縄の戦場化への怒りを爆発させ、「私が基地で働いていた時も米兵による女性暴行があった。許すことができない! だから闘うんだ」と声を張り上げた。
改憲・戦争阻止!大行進沖縄代表の赤嶺知晃さんが基調報告に立ち、沖縄が米日の中国侵略戦争の最前線に位置づけられているからこそ性暴力が急増していると指摘した。そして、ペテン的「復帰」から53年を経てもなお基地の島・戦争の島である現実に対し「今こそ中国侵略阻止、安保粉砕・全基地撤去を鮮明にして、トランプ・石破に渾身(こんしん)の反撃をたたきつけよう」と熱烈に訴えた。
石垣島、宮古島で体を張って軍事要塞化を阻む闘いの動画が上映され、参加者は共に闘うことを誓った。
沖縄の青年からは、反戦ストライキで闘う沖縄コールセンター労組の梶原健汰書記長が登壇、かつてない速度で進む中国侵略戦争への突入を阻止しようと訴えるとともに、運動内での女性差別と闘うからこそ米兵の女性暴行にも怒り闘うことができると確信をもって語った。
動労千葉の佐藤正和副委員長は、中国侵略戦争に向けた労働政策の歴史的大転換攻撃と対決し、反戦闘争に立ち上がる決意を表明。
大坂正明さん救援会事務局は、安保・沖縄闘争の爆発で大坂さんを奪還しようと訴えた。
カンパアピールの後、東京の青年労働者と全学連が決意表明に立った。まず洞口朋子杉並区議が「目の前の戦争を止めることなくして性暴力をなくすことはできない」と発言。アブチラガマを見学したという青年は、凄惨(せいさん)な沖縄戦を二度と繰り返さないことを決意し東京で沖縄と連帯して闘うことを表明した。硫黄島で遺骨を収集している青年は、中国侵略戦争のために硫黄島に続き沖縄、広島、長崎を天皇が訪問することを弾劾した。全学連の亀井陽慧副委員長は全基地撤去・安保粉砕、中国侵略戦争阻止の闘いのみが沖縄の怒りと結びつくことができると訴えた。
まとめを沖縄労組交流センターの松本未土さんが行い、5・15沖縄闘争から6月4、5日の天皇訪沖阻止を闘い、6・14全国闘争に攻め上ろうと訴えた。
怒り解き放つデモ
集会後、右翼の街宣車による妨害をけちらし、国際通りのデモにうって出た。出発地点の沖縄県庁前では全学連や青年労働者が次々とマイクを握り、トランプ・石破への怒りをたたきつけた。デモは「沖縄を戦場にするな」「すべての基地を撤去するぞ」「米軍の性暴力を許さないぞ」などと訴え、にぎわう国際通りを前進。次々と沿道からの合流があり、高校生の一団も加わった。手を振りデモ隊と握手を交わす〝オバー〟の姿もあった。デモは沖縄の怒りを解き放ち、戦闘的にうち抜かれた。
ミサイル連隊解散を
勝連分屯地に申し入れ
- 大行進沖縄を先頭に、中国侵略戦争のミサイル攻撃拠点となる勝連分屯地に「沖縄を戦場にするな!」「すべての基地を撤去するぞ!」と弾劾の声をたたきつけた(5月18日 うるま市)
- 「侵略の銃を握るのか!」と自衛隊員に詰め寄る赤嶺さん(中央)
5月18日午後、改憲・戦争阻止!大行進沖縄の主催で、うるま市の陸上自衛隊勝連分屯地に対する申し入れ行動が行われた。陸自勝連分屯地には昨年3月に第7地対艦ミサイル連隊が発足し、奄美大島、宮古島、石垣島に配備されている地対艦ミサイル部隊の指揮統制と管理を担う連隊本部もおかれている。文字通りの中国侵略戦争司令部だ。
ゲート前に集まった参加者の前には、基地内で模擬銃を構える隊員の姿が。沖縄労組交流センターの松本未土さんが隊員に「私たちやアジアの民衆に向けている銃を帝国主義者らに向けろ」と呼びかけ、行動が始まった。まず「沖縄を戦場にするな!」「沖縄戦を繰り返すな!」「すべての基地を撤去するぞ!」とシュプレヒコールをたたきつけた。
続いて、地元うるま市の沖縄コールセンター労組書記長の梶原健汰さんが申し入れを行った。冒頭に、日米防衛相会談で防衛相の中谷元が提案した「ワンシアター構想」や日米共同図上演習「キーン・エッジ24」での中国に対するミサイル攻撃の想定が示すように、日本帝国主義自身が積極的に中国侵略戦争にのめり込んでいることを弾劾。石破政権が中国本土を攻撃できる長射程ミサイルを九州・沖縄に配備しようと狙う中、第7地対艦ミサイル連隊は侵略の中軸を担い沖縄を火の海にする部隊であることを暴露・断罪した。
そして、増加する米兵の性暴力について「基地と侵略軍隊がある限り、こうした現実は決してなくならない」「アジア民衆を殺戮(さつりく)・強姦(ごうかん)した歴史を再び繰り返すのかが、全自衛隊員に問われている」と突きつけた。結論として、①陸自勝連分屯地第7地対艦ミサイル連隊を解散・解消すること、②琉球弧、沖縄の軍事要塞(ようさい)化を中止すること、③自衛官は侵略の銃をとるな。中国侵略戦争への参加を拒否しよう。労働者民衆と共に侵略戦争反対の声をあげよう、と要求し、申入書を手渡した。
さらに大行進沖縄代表の赤嶺知晃さんが「あなた自身が侵略の銃を握るんですか」と追及すると、対応した当直の隊員は「個人として答える立場にない」と繰り返した。赤嶺さんが「あなたの行動は周辺住民の命にかかわる」と訴えると「私自身も命をかけてしっかり皆さんを守っていく」などと述べたことに、参加者から怒りの声が飛んだ。
続いて大行進東京、全学連の京大生、大行進兵庫の仲間が口々に、「住民を守る」という建前とは裏腹に中国侵略戦争のためにこそ基地や部隊の設置・増強が行われていることに怒りをたたきつけ、沖縄の闘いと連帯して本土で闘いを爆発させる決意を表明した。
最後に赤嶺さんが、今回の対応が、隊員が所属や名前すら述べなかった昨年の申し入れ行動の際とは異なることについて、「天皇の沖縄訪問の地ならしを狙った参院議員・西田昌司の発言に対して燃え上がる沖縄県民の怒りに包囲され、話を聞いているかのようなパフォーマンスをしているにすぎない」と喝破し、全体で改めてシュプレヒコールをたたきつけた。
工事車両を実力阻止
辺野古 新基地建設 絶対阻む
「工事車両の搬入を実力阻止したぞ!」——名護市辺野古の米軍キャンプ・シュワブの工事用資材搬入ゲート前で5月19日、新基地建設を阻止すべく集まった400人が勝利宣言を高らかに発した。
午前8時、改憲・戦争阻止!大行進沖縄をはじめとした沖縄や全国の闘う仲間がゲート前に結集し、座り込み闘争を開始した。最初にシュプレヒコールを行い、「辺野古新基地建設を阻止するぞ」「米兵の女性暴行を許さないぞ」「中国侵略戦争を止めるぞ」と声を上げた。
大行進沖縄の赤嶺知晃さんがマイクを握り、「普天間基地の辺野古移設案」が日米政府によって合意された1997年以降、沖縄の労働者民衆の不屈の闘いで四半世紀にわたって基地建設を阻止し続けていることの意義を強調した。また埋め立て海域にはマヨネーズ状の軟弱地盤があり、アメリカの有力シンクタンクも完成の可能性は低いと言及している、それにもかかわらず工事を強行しているのは「沖縄の『戦意』をくじく」ためだと暴き、不屈に闘うことが勝利の道だと訴えた。そして米兵による度重なる性暴力と、それを隠ぺいする日米政府を徹底弾劾し、「女性の尊厳を踏みにじって成り立っているのが日米安保です。沖縄をなめるな! 全基地撤去・安保粉砕へ闘おう」と呼びかけた。
初めて沖縄闘争に参加した全学連の学生は「中国侵略戦争を実力で絶対に阻止するという決意で沖縄に来ました。我々学生こそが先頭で闘い抜き、日本帝国主義・石破政権を打倒し、階級支配を終わらせよう」と鮮明に訴えた。また新入生や青年、矢嶋尋全学連委員長も次々と発言し、基地建設への怒りを表明した。
婦人民主クラブ全国協議会の川添望さんの発言に続き、大行進埼玉で活動する長崎の被爆者の高木美佐子さんが「沖縄の皆さんの闘いに敬意を表するとともに、琉球弧を戦場にしないために、私たちは本土で石破を倒すために闘いたい」と訴えた。福島から駆けつけた女性は「これは沖縄だけの問題ではない。本土が問われている」と熱を込めて訴えた。動労千葉の佐藤正和副委員長は、労働組合の第一の課題は戦争を止めることだと訴え、沖縄コールセンター労組の梶原健汰書記長は、この3日間の闘いの意義を確認し、さらに仲間を組織したいと語った。
「今日は勝利した」
普段は9時に現れる資材を乗せた車両が、この日は時間を過ぎても現れなかった。現地で闘っている仲間が「本日1回目の搬入を止めました! 座り込みを強制排除するための機動隊も来ていません。みなさんの力が搬入を止めました!」と宣言。さらに、座り込みに参加していた沖教組の退職者と「命ある限り闘います」とエールを交わし、現地から「今日は勝利した! ありがとう!」「全国の皆さんの団結を見せて頂いた。本当に感謝します」などの発言が相次いだ。
赤嶺さんはこの勝利について「昨年に続き今年も資材搬入を阻止できた。これを1日だけの闘いにしてはならない。沖縄・本土で、中国侵略戦争阻止・全基地撤去の巨大な反戦闘争を爆発させよう。6・14全国闘争に3千人を結集させよう」と訴えた。
沖縄闘争に初めて参加したという首都圏の学生は「現地闘争に参加した私たちが、東京や大阪など全国に持ち帰って、沖縄の闘争をどれだけ拡大できるかが問われていると思います。中国侵略戦争を阻止し、トランプ・石破を倒す6・14闘争に学生を大挙結集させ、首都を揺るがす戦闘的な大闘争を巻き起こしていきたい」と語った。同じく初参加の首都圏の青年は「全国の仲間とともに闘争をできてすごい有意義な時間になったと思います。沖縄の怒りに直接触れることもできて、本土に持ち帰って私も新たな闘いを巻き起こしたいと思います」と決意をみなぎらせた。
ちなみに機動隊という「防衛隊」がいないせいか、右翼は辺野古現地には現れなかった。
那覇駐屯地に抗議行動
牛島「辞世の句」賛美を許すな
大行進沖縄の赤嶺知晃さんが「①第15旅団の師団への改編を直ちに中止すること、②琉球弧、沖縄のミサイル基地化=軍事要塞(ようさい)化を中止すること、③自衛官は侵略の銃をとるな。中国侵略戦争への参加を阻止しよう。労働者民衆と共に侵略戦争反対の声を上げよう」の3点を申し入れた。
3月30日の日米防衛相会談で、中谷元・防衛相が「ワンシアター(一つの戦域)」構想をぶち上げ、ヘグセス米国防長官も「日本は西太平洋で発生する有事で最前線に立つことになる」と言い放った。中でも、陸自勝連分屯地のミサイル部隊とともに、中国侵略戦争における自衛隊の中核部隊に位置づけられているのが那覇駐屯地だ。
〝玉砕して全員死に絶えても天皇の世はよみがえる〟という牛島の「辞世の句」を、中谷は「平和を願う歌」などと賛美した。中国侵略戦争に向かって自衛隊をかつての「皇軍」と同様の侵略軍隊に転化させ、再びの沖縄戦を準備するという宣言だ。自衛隊が再び「天皇の軍隊」として中国・アジアを侵略し、殺りく・強姦(ごうかん)・略奪の限りを尽くすことを許してはならない。
申入書を受け取った自衛官は、名前と所属を問われたのに対し「渉外担当」を名乗るだけで回答を拒否。第15旅団が牛島の句をサイトに掲載していることについても「答える立場にない」と言い放ち、逃亡した。住民の戦争動員を狙う自衛隊の中でも、中国侵略戦争の最前線を担う同旅団はとりわけ住民敵視の姿勢をむき出しにしているのだ。
「第15旅団を解体しろ!」「中国侵略戦争を許さないぞ!」「沖縄を戦場にするな!」「自衛隊は県民を殺すな!」と怒りのシュプレヒコールを上げ、各地の仲間が次々とマイクでアピール。全学連の学生は「自衛官自身が国のために死ぬことを絶対に拒否してほしい。一緒に反戦闘争に立とう」と渾身(こんしん)の訴えを行った。大行進東京に続き、横須賀・佐世保でそれぞれ反基地闘争を闘う大行進神奈川・九州の仲間が発言した。最後に再びシュプレヒコールを上げ、3日間の沖縄闘争を締めくくった。
右翼の街宣車が妨害に来ていたが、罵声を発するだけで何もできずに退散していった。また、警察権力は「車の出入り」を口実に弾圧を狙い、駐屯地前に割って入ってきたが、全体の団結で抗議行動を貫徹した。
大坂さんを取り戻そう!
「今こそ安保・沖縄闘争を闘い、無実の大坂正明さんを取り戻そう」。大坂正明さん奪還の訴えが沖縄県庁前交差点に響いた。大坂救援会が呼びかけた40人を超える大街宣は、大きな注目を集め、多くの署名が集まった(5月18日 那覇市)
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