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大坂正明同志は無実

学者証人がでっち上げに断下す 大坂裁判第12、13回公判

目撃供述は信用できない
1971年11月14日の沖縄返還協定批准阻止を掲げた渋谷暴動闘争に決起し「殺人罪」などででっち上げ起訴されている大坂正明同志の裁判の第12、13回公判が2月6、7の両日、東京地裁刑事第4部(高橋康明裁判長)で行われた。
大坂同志は、面識のない群馬のデモ参加者の「目撃供述」によってでっち上げ起訴されている。その「供述」の信用性について鑑定を行った2人の心理学者がそれぞれ証言し、「目撃供述」が全く信用できないことを明らかにした。

厳島(いつくしま)行雄人間環境大学教授は目撃供述の研究者で、これまでも無罪を勝ち取った自民党本部火炎戦闘裁判など多くの事件の目撃供述の検証に関与してきた。
厳島証人は、記憶には、符号化(記銘)、貯蔵(保持)、検索の三つの段階があるとして、それぞれの過程について詳しく明らかにし、事後的に与えられた情報によって元の記憶が作り替えられることがあると証言した。
「殴打者はターゲットを見ながら殴っているから他の殴打者について注視しない」、「最も重視すべきは情動だ。デモ参加者らは興奮しており、こうした状態では記憶力が低下することが分かっている。機動隊との大規模な衝突を初めて経験する者が冷静に殴打者の行為を記憶することなど考えられない」と述べた。
そして、デモ参加者の具体的な「供述」内容について問題点を挙げ、「(取り調べによって)この事件に関しては汚染されていない記憶はない」「作られた記憶」と明快に断じた。

検察官は、厳島意見書に対する警察庁科学警察研究所(科警研)の反論意見に依拠して、ケチ付けを試みたが、ことごとくはねつけられた。
7日、原聰(さとし)駿河台大学教授が、心理学者としてARを始めとする5人の、写真を使った人物識別手続きについて証言した。原証人は、法と心理学会の「目撃供述・識別手続きのガイドライン」を提唱している。それによると、目撃者が写真選別で人物を特定するためには、「ラインアップ」という手続きを踏み、人相が似ているものを8枚そろえ、写真の形状をそろえて選ばせる、しかも同時提示ではなく順次提示で行うべきとされている。そのガイドラインを説明しつつ、単独面通しはイギリスなどでは証拠採用されないと述べた。
そして、5人の供述調書それぞれについて検討し、目撃者に用いられた識別手続きは全て単独面通しであり、公正手続きとは言えず、誤識別を起こす危険性の高い手続きであることを明らかにした。

この後、検察側証人として元公安警察官の大井邦雄と、警視庁科学捜査研究所技官の大川学が、51年前の供述調書に署名・指印がないものがあることについて弁明的な証言を行ったが、下手な言い逃れに過ぎず、弁護団は証拠たり得ないことを暴いた。大坂さんをでっち上げるために、証拠能力がないものを「署名・指印がなくても本物だ」と強弁し、証拠採用しろという検察側のふざけきった要求を許してはならない。
この2回の公判は、「目撃供述」が全くでたらめであることを明らかにした。
新年冒頭に顔面神経麻痺を発症した大坂同志は、9割ほど治った状態で元気に出廷し、2人の証言に確信を深めた。大坂同志と固く団結し、大坂救援運動を押し広げよう。大坂さんを即時保釈しろ、接見禁止を解除せよ。