中国・珠江デルタ地帯で労働争議が爆発的に増大
中国では今年1月の「労働契約法」「労働争議調停仲裁法」の実施以来、多くの隠れていた違法な労働実態が露わになり、労働争議が急増している。とくに広東省・珠江デルタ地帯での労働争議は昨年同時期の2倍以上に達した。その6割以上が委託加工企業と外資系企業で起きている。
(写真は3月6日ストに突入、機動隊に街頭進出を阻まれ工場に戻る広州市の日系カシオ工場の労働者)
広東省高等法院の調査報告によると、今年の第一四半期に珠江デルタ地帯の裁判所が受理した労働争議案件は爆発的な増大で、深センで4347件(前年同時期の2・26倍)、東莞で3559件(同2・32倍)、広州で2280件(同1・92倍)となり、特に深セン市の労働争議仲裁院が受理した案件は昨年の3・5倍以上となった。現在、広東省での労働争議の件数は全国総数の4分の1を占めている。
珠江デルタ地帯の外資系企業の多くが労働集約型の伝統的な製造業であり、安い賃金で長時間働かせることで利潤をかせいでいたが、新労働法の施行前後にリスクを避けるため突然の首切りや、それまでの労働契約を無効にするなどの行動に出た。しかし、決意した労働者がこの新法を利用して残業代や社会保障費や経済補償金などの権利を公然と要求し始めた。コスト増を嫌った企業が工場を閉鎖して他へ移転する中で、放り出された労働者の未払い賃金問題も多発しており、珠江デルタ地帯の労資の矛盾は最高に達している。
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