中国湖南省、浙江省で数万人が武装警官と衝突
9月4日、中国の湖南省と浙江省で、数万人規模の暴動が発生した。湖南省吉首市では、不動産会社に出資金の返済を求める市民の怒りの爆発を引き金に数万人が街頭に繰り出し、幹線道路や鉄道の駅を封鎖、数時間にわたって列車を止めた(写真)。軍と警察5千人以上が鎮圧に出動し、最低でも50人以上が負傷、20人以上が拘束された。また浙江省寧波市の衣料品工場でも、14歳の少年労働者の転落事故をきっかけに、出稼ぎ労働者ら1万人が工場に投石する暴動に発展。特殊警察部隊と衝突した。さらに5日には河南省鄭州市で数千人の高校生が県政府庁舎を包囲するなど、各地で一斉に暴動的闘いが起きている。
湖南省の暴動の背景にあるのは、不動産企業などの現地民間企業が当局の黙認のもとに、年利50~80%もの高利を提示して違法な資金集めを行っていたことにある。そのため市の人口の半数を超える15万人が出資し、自宅を抵当に入れてまで出資している市民もいたとされる。しかし今年の6月以降、不動産バブルの崩壊にともない、元利返済も一部滞る事態となっていた。これに対する市民の怒りがついに、4日の暴動となって爆発した。浙江省の場合は、窓から転落して負傷した少年の親族を先頭に500人が工場に押しかけ説明を求めたところ、逆に治安関係者に殴られた。これをきっかけに投石が始まり、多数の出稼ぎ労働者が加わって1万人を超す暴動に発展。20人以上が負傷し、10人以上が拘束された。 5日の河南省では、地元開発業者が高校の運動場の強制収用に着手しようとしたことに生徒4千人が「人間の鎖」を作って阻止行動に立ち上がった。公安当局が女子生徒を殴り負傷させたのをきっかけに、怒った生徒が県庁舎に押しかけ、緊急出動した武装警官隊との衝突に発展した。高校生による当局への暴動的決起はきわめて異例とされる。北京五輪の終了と同時に、中国人民の抑え込まれてきた怒りの爆発が、中国全土で一斉に始まった。(千)
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