ベルギーのゼネストが政府と資本家に強力な打撃をくらわす
10月6日、ベルギーでゼネストが闘われ、全土で国鉄(SNCB)をはじめあらゆる交通機関が止まった。国内の電車やバス、首都の地下鉄が止まったほか、自治体・学校・郵便局・病院・ゴミ収集などで強力なストライキが闘われた。ベルギー国内発着の国際列車、TGV、ユーロスター、タリスもストップした。国営ラジオも放送されず、スーパーマーケットもストだ。全国各地でバリケードを築いてのピケも闘われ、それがまた交通をぶっ止めた。ゼネストは、労働者階級の間で闘う気運が圧倒的に高まる中で、3大労組(社会党系、キリスト教系、リベラル系)の主導で行われた。労組側は、賃上げと賃金の物価スライド制を要求するとともに、生活費が高騰していることと政府がインフレ抑制策を実行していないことに抗議してストライキに入った。
写真は「フォーティスやデクシアには数十億も投入。では私たちには?」と書かれたプラカード
労組は、最低賃金引き上げや若者の待遇向上のほか、金融取引への課税なども要求している。ベルギーでは大企業の法人税が引き下げられる一方で、電気・ガスの付加価値税率の引き下げ要求(21%から6%へ)が無視され、しかも6月から食料品が約8%、電気が20%、ガスが50%、暖房用燃料が約60%と軒並み値上がりしている。しかも、賃金労働者の75%が月々手取り1600ユーロ(22万円弱/1ユーロ=約136・5円)しかもらっていない。他方で9月から10月にかけて、ベルギー ・オランダ・ルクセンブルクの3カ国政府は大手金融グループのフォルティスを国有化し、金融大手デクシアには公的資金と民間資金を64億ユーロ資本注入して救済した。大もうけしてきた大銀行が救済され、かつかつの生活をしている労働者には賃上げや減税などがまったく行われないのはあまりにも不当だ。大銀行に投入される公的資金はもちろん民間資金も、すべて労働者から剰余労働を搾取したお金が元だ。
3大労組は昨年12月以来、「購買力向上」を要求してストライキなどで闘ってきた。5月にも国鉄ストと10万人規模のデモを行って首都を埋め尽くした。ベルギーはこの15カ月間、フランス語住民とオランダ語系住民との分裂という政治的危機にある。それに加えて世界金融大恐慌の渦中にある。そこに労働者の怒りの賃上げゼネストが直撃した。政府はぐらぐらだ。ベルギーでも、労働者階級が資本家階級とその政府を打倒し、権力を握るときが近づいている。〔か〕
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