フランス国鉄労働者が世界金融恐慌爆発以後初めての全国スト
フランス国鉄労働者が、9月の世界金融恐慌爆発以後初めての全国ストに決起し、その階級的実力を誇示した。CGT(仏労働総同盟)とSUD(団結・統一・民主)-Rail(鉄道)の2労組の呼びかけで、貨物部門の労働条件改悪反対を掲げて貨物と旅客の運転士がともに決起した。ストは6日午前8時から7日午前8時までだが、実際にはスト準備として5日の晩からスト状態に入り、事実上36時間ストとなった。CFDT(仏民主労働同盟)とFgaac(運転士自治総連合)もストに同調した。組合側によると運転士の55%以上がストに参加した。ストでTGV(仏新幹線)の3分の2、TER(パリ以外の地域圏急行輸送鉄道)、RER(首都圏高速鉄道網)、Corail=コラーユ(都市間高速鉄道)の2分の1から3分の1が止まった(写真は11月6日、駅に入ったまま動かない列車)。
ストに入った運転士たちは、貨物運転士の労働時間改定に反対している。最大連続運転時間、夜間連続運転本数、休憩時間などに関する改定だ。Fgaacの書記長は特に、当局が夜間の最大労働時間を現行の6時間から最大7時間半まで延長しようとしていることに反対を表明、「夜間における7時間半もの運転は鉄道労働者の肉体的限界を超え、安全を脅かす」と指摘している。実際、労働条件改悪し運転保安を脅かす重大な踏み込みだ。
ギヨーム・ペピ仏国鉄総裁は「国鉄労働者が私鉄労働者と同じくらい能率よく働き競争力をもつようになることが肝要だ」と公言している。当局は、組合側との春の交渉が不調に終わったので、自発的協力者を募るアピールを発していた。当局によれば800人が新しい労働条件に応じたという。分断・切り崩し攻撃だ(仏国鉄は16万、うち運転士は1万6000人、そのうち4000人余りが貨物に配置されている)。
国鉄当局は赤字の貨物輸送部門を再建することを目標の一つにしている。貨物輸送市場は2003年に国際市場に開放され、2006年に国内交通市場に開放された。新自由主義政策としての規制緩和・市場開放だ。国鉄の貨物輸送を国際競争、私的資本との競争にたたきこみ、国鉄労働者の労働を強化し、能率・生産性を上げさせることで、貨物輸送の赤字を解消しようとしている。その最深の狙いは労働者の階級意識の破壊、競争・分断、すなわち労組破壊=団結破壊だ。11月5―7日の国鉄労働者の全国ストライキは、世界金融大恐慌―大不況過程にたたき込まれ苦しみあえぐフランス帝国主義・サルコジ政権に対して強力な打撃となった。(か)
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