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フランスの教育労働者がゼネスト決行、学生も合流

 

 11月20日、幼稚園から大学まで、公立も私立も、フランスの教育労働者が全国で1日ストライキに立ち上がった。小学校の教員の69%をはじめフランス教育労働者の半数にあたる40万人がストに決起し、パリの4万をはじめ全国の48都市で20万人以上の教育労働者・大学生・高校生・保護者がデモに立ち上がった(写真)。この2か月で4度目の教育ストだ。参加者は前回10月7日よりもずっと多い。10人中7人が参加した小学校教員のストは2003年の年金改革反対スト以来の高い参加率だ。

 




 ストライキの目的は、ダルコス国民教育相とペクレス高等・研究教育相による「教育改革」を阻止することだ。「教育改革」は、国の教員定数を2009年度に1万3500人削減しようとしている(すでに07年度に8500人、08年度に1万1200人が削減されている)。中でもRASED(学業困難生徒特別援助網)の特別指導員3000人削減に怒りの声が上がっている。また、中高校改革として「経済」など一部の科目を選択制にし、数学・フランス語の「基礎」科目を新たに導入しようとしている。さらに、1クラスの生徒数を30人から35人に増やそうとしている。
 教育労働者の最大労組のFSU(統一労組連盟)のアシアン書記長は、大半の小学校でストライキが行われ、全国各地でデモが行われたことをもってストライキは「成功した」と総括した。また、主要3大労組は「今日、教員労組が全一体となって伝えたメッセージは力強く明確で決定的だ」と述べた。しかし、この既成労組の姿勢には大きな問題がある。それは、巨大な闘争力をもつフランスの労働者階級が全一体となって闘いに立ち上がることに決定的なブレーキをかけているということだ。11月17日はエール・フランスのパイロットらのスト、同21日には鉄道運転士のスト、同22日には郵便労働者のストというように、いずれもサルコジ政権に痛打を浴びせる音の出る闘いが闘われた。しかしそれらは労組指導部の制動によって、ゼネストとして闘うことを避けるなかで分散させられている。20日の教育ゼネストにしても、ランク&ファイルの労働者が幅広く支持し、青年・学生が圧倒的に街頭に進出したことによって巨大な高揚となったのである。体制内労組指導部の裏切りと制動をはねのけて労働者階級の闘いを爆発させる――それはヨーロッパでも日本でも焦眉の課題だ。(か)
 写真上は「教員の定数削減反対!RASEDの存続を!」の横断幕を先頭にデモする教育労働者(パリ)
 写真下は「先生は服喪中」と書いたボードを掲げて教育改革反対の意思を表明するRASEDの特別指導教員たち(リヨン。リヨンはフランス第3の都市で約1万人がデモに参加した)

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