中国ホンダスト、トヨタストの背景にあるもの
本田の中国工場でのストライキは終わったと発表されながら、実はゲリラ的にストライキは続いている。天津にあるトヨタの工場でもストライキが起きており、日系企業から始まった労働者のストライキが他の外資系企業や国有企業などにも次々と広まっている。この背景にあるのは、日米を超える形で広がった新自由主義的な格差社会への怒りであり、だからこそ今、中国スターリン主義もこの事態への対応に汲々として追いつめられている。
しかしなぜ、日本企業からストライキの波が始まったのか? それには理由がある。あの本田の(そしてトヨタの)ストライキを闘った多くの若者たちは、実は身分は学生であり、「実習生」なのである。
これはどういうことか? 実は本田もトヨタも、中国の労働法などの法律をくぐるために、農民工で都市に入ってきた若者たちを、工場と関連のある「学校」に入学させて「学生」にし、実習生として働かせている。つまり彼らは労働者ではなく学生であるから、労働法の対象外になるというわけである。そして労働者としての権利を奪われた労働を強制されていた。しかも彼らは、「サボタージュやストライキ、(抗議)集会などをしない。もしした場合は、会社による退学処分を自ら受け入れます」という誓約書を書かされており、本田経営の悪質さを示して余りある。
彼らが受け取っていた平均1500元という賃金は、そもそも高い賃金とはいえない上に、結局は寮の入居費などでピンはねされ、本来の金額以下の、およそ生活できない状況に追い込まれていた。
日本でしばしば中国から来た労働者が「研修生」として、企業によって低賃金での奴隷労働を強制され、寮費などをピンはねされている。この日本国内でやっていた違法労働を、本田もトヨタも、中国の工場で大規模に展開していたのだ。この日帝資本の悪らつさは絶対に許すことはできない。しかもこの手法は、中国の外資系大企業では一般的な手法になっているという。これに対する青年労働者の怒りが爆発したのである。
こうして、青年労働者が、中国スターリン主義の御用労働組合である総工会の統制がきかない形で闘いに立ち上がり、資本から中国の体制まで揺るがす事態を生み出してしまったのである。労働者支配の機関である総工会は、彼らの反乱に対して結局は暴力的に襲いかかるしかないという破産を、満天下に示してしまった。そしてこの悪らつ極まる日帝資本の工場で火がついた、青年の農民工をはじめとする中国労働者階級の怒りが、今、中国労働運動の新たな高揚につながろうとしているのである。
中国スターリン主義は、温家宝首相が農民工と座談会をするとか、賃上げ政策に舵を切るとか、対応に必死である。しかし、一度火のついた中国労働者階級の怒りは決してやむことはない。この怒りは、スターリン主義官僚による労働者支配の要をなす総工会の職場支配をも打ち破って、中国スターリン主義と侵略資本を打倒する闘いに発展していこうとしている。それは中国の労働者がまさに、全世界の労働者とともに世界革命に向って進むことを意味している。求められているのは、反帝国主義・スターリン主義プロレタリア世界革命の思想と国際団結の闘いだ! 中国の闘う労働者との連帯をかちとるためにも、新たな国鉄決戦を爆発させ、8月反戦反核闘争に突き進もう!(G)
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