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カリブ海の仏海外県グアドループで6週間のゼネスト

 カリブ海にあるフランスの海外県グアドループで生活費高騰(仏本土の1.5倍)に怒った労働者人民が賃上げや雇用を求めて6週間にわたってゼネスト、デモを闘っている。
 ゼネストの主要な要求は、同県の労働者の現在の平均月給約900ユーロ(約10万5000円)を200ユーロ上げることだ。
 ゼネストを呼びかけたのは労働組合や反植民地主義の政治団体、社会・文化団体など50の組織で構成する統一戦線LKP(「高搾取反対連合」)だ。LKPの基本理念は「労働者は自分の未来を自分の意思で決める」だ。LKPを主導しているのはUGTG、CGTG、CTU、SPEG、FSUなどの労働組合組織だ。統一綱領のもとあらゆる部門の労働者、諸階層が結集し、団結を強化している。


 最初の闘争は昨年12月16日に行われ、1万人がポワンタ・ピートル市の街頭をデモし、生活状況改善を求め、27%もの高失業率、就職差別に抗議した。このデモをきっかけに結成されたLKPが152の要求項目をまとめた綱領を作り、1月20日からの無期限ストライキ突入を決め、実行した。
 ゼネストには4人に1人を超える人々が参加している。6週間のゼネストというのはフランスのこの25年間で最長だ。商店、学校、ガソリンスタンドや公共サービスなど、すべてが止まっている。毎日集会、毎日街頭デモが行われ、団結を拡大している。
 1月30日には6万人が街頭に出てデモ行進した。2月14日――1952年の賃上げ闘争でフランス帝国主義がさとうきび労働者を虐殺した記念日――には5万人のデモが行われた。2月17日のデモは暴動に発展。15の商店が襲われ、21台の車が放火され、警官6人が軽傷を負った。デモ参加者14人が警察に身柄を拘束された。このデモで参加者の発砲により、ストを車で応援に来た1人が撃たれて死亡する事故が起きた。政府は、これにつけこんで18日夜に警官隊を増強、弾圧態勢を強化した。しかし弾圧強化に怒る労働者人民は隊列を強化してゼネストを続けている。LKPに結集する農業労働者が安い「LKP価格」で農産物を直接販売し、好評を博している。
 仏本土でも連帯闘争が行われている。2月19日には本土にも連帯でソルボンヌ大学を占拠した学生たちが連帯を表明した「2つの海外県」とはこのグアドループ県と同じアンティーユ諸島のマルティニーク県のことだ。2月28日にもパリで2県の闘う人民を支持するデモが行われ、4000人が参加した。
 2月初め、ジェゴ海外相が現地に乗り込んで交渉、①200ユーロの賃上げ②生活必需品100種の10%価格引き下げ③最低賃金1.6倍に引き上げ④ガソリン価格20%引き下げ――などの協定案を示したが、Medef(仏経団連)のグアドループ支部は拒否し、合意に至らなかった。アリヨマリ内相はMedefに「責任ある態度」をとるように圧力をかけている。
 フランス帝国主義・サルコジ政権は、世界大恐慌が本格化するなか、労働者の闘いが本土―海外で爆発して追いつめられている。この際、LKPの要求を飲んででもゼネストを抑え込まなければ闘いが仏全土のプロレタリア革命に発展しかねないと恐れ、機動隊を増派する一方で資本に譲歩を求めているのだ。
 グアドループは、カリブ海のアンティーユ諸島(小アンティル諸島)北部の2つの小島を中心としたフランスの海外県で、総面積は1628平方キロ、人口約45万人。1493年にコロンブスが上陸、1635年仏領となり、1946年から海外県。主要産業は農業・農産物加工業(バナナと砂糖、ラム酒)と観光業だが、地元寡占資本家が牛耳り、労働者を二重に搾取している。失業率は27%に上り、とりわけ15―24歳の若者の失業率が55.7%にも達し、貧困が広がっている。水や米などの輸入品はフランス本土の2倍にもなる。ガソリンは1.5倍だ。カルフール(スーパーマーケット)やトタル(石油)などの本土大資本と結ぶ寡占資本家による独占価格のためであり、また船で島に商品を運び入れても帰りに積む商品がなく輸送料がかさむためであり、関税、港湾税、通行税などが加えられるためだ。
 長年の新植民地主義的支配の結果、フランスの海外県では本土との経済格差、海外県内部での階級間格差が一層拡大している。グアドループでは、支配階級は白人で、かつての奴隷商人の子孫や仏本土から来た植民者の子孫だ。「ベケ」と呼ばれる彼らが寡占資本家層をなし、グアドループの政治・経済を牛耳り、労働者を搾取・抑圧してきた。グアドループでは1950年代、1960年代に大闘争が闘われ、1980年代には独立運動が激化、「カリブ革命同盟」が爆弾闘争などで闘った。
 グアドループと同様にかつて本土に奴隷を供給したカリブ海のマルティニーク県でも4週間にわたってストとデモが続けられている。光熱費の値下げ、賃上げなどを要求し、実力闘争が闘われている。闘争組織「2月5日連合」は月200―250ユーロの賃上げを要求している。さらに、南米のギアナ、インド洋のレユニオンにも同様の闘いが広がっている。(川)

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