イギリスで学費値上げ反対闘争が爆発
11月10日、イギリスで学費の3倍化に反対する学生5万人がロンドン市内での抗議デモに決起した。この値上げで公立大学の学費は年間9000ポンド(約119万円)となり、現在公立大学にいる学生のほとんどが大学をあきらめざるをえなくなる。これは、政府が教育予算を2014年までに71億ポンドから42億ポンドに削減し、不足分を学費の値上げで補おうとした結果である。
これに対して、全国学生組合(NUS)と大学・高校職員組合の呼びかけにこたえて全国から、呼びかけ人の予想をはるかに上回る5万人の学生がロンドンにが結集した。
当日のデモが保守党本部前にさしかかると、学生の一部がガラスを破って保守党本部に突入し、機動隊と激しく衝突した。50人の学生が保守党本部の屋上に駆け上り、そこから消火器や卵などを機動隊に投げつけた。地上では1000人の学生が棒や石を機動隊に投げつけ、激しい怒りと抗議の気持ちを表明するためにプラカードや旗に火をつけた。保守党本部の1階のホールは突入した学生に占拠された。この衝突で16人が負傷し、うち8人が病院に運ばれた。また学生32人が逮捕された。
屋上を占拠した学生たちは屋上から、次のような声明を出した。「われわれはあらゆる公共サービス削減に反対する。われわれは公共部門の労働者やすべての貧しい人々、障害者、高齢者、労働者と連帯して立ち上がる。われわれは連立政府によって行われた教育の商業化に反対して、また、金持ちを支援し、貧困層を攻撃する制度に反対して屋上を占拠している。われわれはこのような公共サービスの削減に反対し直接行動を訴える。これはまだ、教育制度と公共サービスの破壊に対する抵抗闘争の始まりにすぎない。」
このデモの主催団体のNUSは、学生たちの激しい抗議行動を「一部のアナーキストの行動」「ならず者のデモ参加者の暴力的行動」と批判し、このようなことが起きる可能性があればもうデモはしないとさえ言い出している。そして今後は、選挙の際に学費値上げに反対するという公約をしたリベラルと民主党の連合の議員を弾劾する闘争にとどめるという方向性を出そうとしている。 NUSは穏健な既成の学生組織であり、学生の怒りを階級的に組織し、政府の新自由主義的政策に真正面から対決しようとする組織ではない。当日デモに参加した5万人の学生たちの怒りを真に代表するのは、保守党本部に突入した学生たちであり、その周辺で抗議の闘いを断固として貫徹した数千人の学生である。学生の怒りをガス抜き的に組織するNUSのやり方を許さず、真に闘う学生が登場したこの日の闘いは、イギリス学生運動の転換点となるであろう。
この闘いの1週間前には、アイルランドでも4万人の学生の学費値上げに抗議するデモが行われており、ヨーロッパ全域で学生の闘いが新たな高揚局面に突入している。イギリス、アイルランド、ヨーロッパの闘う学生と連帯する闘いに決起しよう。(TZ)
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