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チリ この体制をひっくり返せ! 新自由主義に歴史的反撃

 全国で怒りが爆発APEC開催阻む

地下鉄運賃の値上げに反対し、武装した国家憲兵による暴力的弾圧に立ち向かう学生たち(10月18日 チリ)

「アメリカ(合衆国)の裏庭」として新自由主義の実験場とされてきた南米チリで、30年以上にわたる新自由主義攻撃に対する歴史的な反撃が始まった。
闘いに火をつけたのは、政府が発表した地下鉄運賃の値上げだ。10月18日、高校生や大学生を中心とした無賃乗車デモが行われ、放火も含めた暴動が全国に拡大。21日には鉱山や港湾、医療、教育労働者などを中心にゼネラルストライキが闘われた。25日のデモは1990年の民主化以降最多の120万人にまで膨れ上がり、首都サンティアゴには「私たちは奴隷じゃない!」という叫びがこだました。11月12日のゼネストには、サンティアゴだけで30万人以上が参加した。
ピニェラは直ちに非常事態宣言と夜間外出禁止令を出し、軍による弾圧に打って出た。軍隊がデモ参加者に暴力をふるう動画がSNSを通じて拡散し、闘いはいっそう拡大。29日までに少なくとも20人が死亡し、3千人以上が拘束されたとされる。しかし労働者民衆の怒りは深く、子どもから高齢者まであらゆる世代の人々が街頭に飛び出し、催涙ガスや散弾銃で襲いかかる軍隊と対決している。
 恐怖した政府は方針を転換し、地下鉄運賃値上げを凍結。最低賃金や年金支給額のわずかな増額を決定した。非常事態宣言と夜間外出禁止令も解除したが、怒りは収束などしていない。労働者民衆が求めているのは、体制の根底的変革だ。
そしてこの闘いはついに、それぞれ11月と12月にサンティアゴで開催される予定だったアジア太平洋経済協力会議(APEC)首脳会議と、国連気候変動枠組み条約締約国会議(COP25)を粉砕するに至った。これは、チリが日帝と共に先頭に立って推進してきた米帝離脱後の環太平洋経済連携協定(TPP)=「TPP11」の破産を示すものでもある。
 軍事独裁政権以来の社会を覆す闘い
現在までチリの労働者民衆を苦しめている社会体制と経済モデルは、軍事独裁政権時代につくられた。
73年に米帝の全面的な支援を受けた陸軍司令官ピノチェトがアジェンデ政権に対する反革命クーデターで実権を掌握し、74年に大統領に就任。「チリを経営者のための国にする」と宣言した。そのために真っ先に行ったのが、戒厳令下での軍による労働組合員や活動家らの大量虐殺だった。逮捕・拷問された人数は少なくとも3万8千人、死者・行方不明者は3千人以上に上る。
こうした血の弾圧の上にピノチェトは国営企業を民営化し、労働者人民の財産を資本家に投げ与えた。この「ショック・ドクトリン」の結果、格差は極限まで拡大し、1%の資本家が国家の富の33%を所有する現状がもたらされた。多くの人々が高等教育や福祉のための借金を余儀なくされた。教育や医療、社会保障制度など、社会のあらゆる部門が民営化された。軍事独裁政権時代に制定された憲法は現在に至るまで改正されておらず、ストライキ権を極度に制限する労働法や教育制度もそのままだ。
こうして政治的・経済的な「安定」を実現したチリは「南米の優等生」と呼ばれ、94年にはAPECに、2010年には南米で初めてOECD(経済協力開発機構)に加盟した。
今回の闘いは、文字通り血塗られたチリの現代史においてついに訪れた歴史的転換点だ。デモに参加する20代の女性労働者は「祖父は軍事独裁政権と闘った。今度は私の番」「人々が奴隷や犯罪者扱いされるのはもうたくさんだ」と語る。学生たちは「一握りの富裕層に服従させられてきた状況を今こそ終わらせる」「より安価な教育、公正な地下鉄料金、そしてより尊厳ある生のために闘う」と決意を固めている。
この怒りは今や全世界を覆っている。何よりも香港で、そして南米エクアドル、さらに中東のイラクやレバノンなど、全世界で既存の社会体制を変革するための闘いが始まっている。
資本家の金もうけのために労働者民衆がすべてを奪われる社会を終わらせる時だ。国際連帯の旗を高く掲げ、労働組合を先頭とした闘いで未来を変えよう。

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