市東さん農地裁判、NAAの苦し紛れの開き直りに怒り高まる
2月20日、千葉地裁で、市東孝雄さんの農地裁判(行政訴訟と農地法裁判を併合)の弁論が行われ、市東さんを先頭に三里塚芝山連合空港反対同盟と顧問弁護団、傍聴の労働者・学生・市民が全力で闘いぬいた。数々の重大な争点をめぐり、成田空港会社(NAA)と千葉県の違法がいよいよ明らかになってきた。
①「同意書」「境界確認書」に書かれた市東東市さん(孝雄さんの父・故人)の署名が偽造であったことを弁護団が鑑定書で明らかにしたことに対し、NAAは対抗する鑑定書を提出した。ところがその鑑定人は警察官OBで現職は「株式会社日本シークレット・サービス」(警備会社)社員であり、およそ専門家としての知見や客観性を欠いて「同一だ」と強引に主張するだけのデタラメなものだ。
②NAAが証人尋問についてのとんでもない「意見書」を出してきた。すでに証人採用されている石指雅啓(当時の国交省成田空港課長)について、神戸地裁での尋問かビデオリンク方式を求めるとし、認められなければ「代わりの証人を申請する」などと言う。理由は「現在、海上保安庁第5管区海上保安本部長の要職にあるから」。ふざけるにもほどがある! 石指は2005年に暫定滑走路北延伸を立案した張本人だ。裁判所の証人採用そのものを覆そうとする暴論だ。
③明け渡し対象の市東さんの畑は空港敷地の外にまたがっている。ところがNAAはこの敷地外にはみ出た部分について今回、「空港の敷地は告示区域に限る必要はない。一体的に運用するものだから違法ではない」という主張を前面に掲げてきた。土地泥棒の居直りの極致だ! 要するに空港に必要な土地は、違法か適法か関係なく巻き上げる、と言うのだ。
④旧地主・藤﨑政吉の証人尋問をかちとらねばならない。NAAの偽造文書に「自分は関与していない」と言う藤﨑を法廷に呼んで、NAA=空港公団の土地略取の悪徳を全面的に暴く必要がある。
ところが多見谷裁判長はこれらを質すのではなく容認し、自分が決めた証人尋問のスケジュールを予定通り進めることにのみ腐心するのだ。弁護団は怒りをたぎらせ、証人尋問への妨害を容認する裁判長を鋭く弾劾した。また敷地内外の別なく農地の強奪をはかる暴論を厳しく追及し、藤﨑の証人採用をあらためて強く求めた。弁護団と一体で傍聴席の怒りの声も一層高まり、通常の閉廷時間を超えて最後まで裁判所とNAA・千葉県を追いつめた。次回期日は3月26日(月)。
近くの会場で記者会見と報告会が、伊藤信晴さんの司会で開かれた。冒頭に市東さんがあいさつに立った。「裁判長はまったくわかってない。NAAは居直り、自分たちの起こした裁判なのに法廷では答えもせず、ずるずるやって裁判所に判決をゆだねる。そんなやり方をぶっつぶしてやりましょう!」と語気鋭く訴え、大きな拍手で迎えられた。続いて葉山岳夫弁護士を先頭に弁護団一人ひとりが法廷を振り返り、NAA・県と裁判所を追いつめた手応えと、一層の追及の決意を語った。北原鉱治事務局長は、筆跡偽造の大罪に強い怒りを表し、3・25三里塚への大結集を訴えた。さらに群馬・市東さんの農地を守る会の青柳晃玄さん、動労千葉の滝口誠さん、関実が連帯発言を行った。
最後に萩原進事務局次長がまとめの発言に立った。前日のPKO派兵弾劾闘争の意義を確認し、「なにが国策か、なにが国益か! それらを打ち破り闘ってきたわれわれこそ正しかった。そう胸を張って言える時代に、今まで以上の人びとを結集し、今まで以上の力を発揮することが必要じゃないか。3・11福島から3・25三里塚全国総決起集会を大高揚させよう」と情熱を込めて訴えた。(TN)
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