市東さん行政訴訟・農地法裁判、NAA擁護の裁判長を追及
4月23日、千葉地裁民事第3部(多見谷寿郎裁判長)で三里塚芝山連合空港反対同盟・市東孝雄さんの行政訴訟・農地法裁判が開かれた。この日で口頭弁論を打ち切り、次回から証人調べに入る。法廷は証人尋問のあり方をめぐる緊迫した攻防となり、NAAと千葉県に肩入れする裁判長の偏った訴訟指揮が浮き彫りになった。
冒頭、陪席裁判官の交代に伴う更新意見を反対同盟顧問弁護団の葉山岳夫弁護士が陳述し、成田空港会社(NAA)による署名偽造問題、違法な買収による農地取得が無効であることなどをあらためて突きつけ、「NAAの主張は根拠を失っている」と断じた。そして最重要証人である藤﨑政吉(旧地主)を証人採用するよう重ねて求めた。
土地取り上げの唯一の根拠として出してきた「同意書」「境界確認書」と添付図面の偽造という大問題が露見した中、NAAはカギを握る藤﨑証人隠しに必死だ。裁判長は立証責任を放棄するNAAを擁護し、とにかく日程を「予定通り」に消化して、早期に判決を下そうという姿勢を露骨に示した。「NAA側が反論はしない、文書も出さないと言っているのだからそれでいいじゃないか」と繰り返す裁判長を、弁護団は徹底追及した。
さらに裁判長は、総論的調べとして最初にやるべき重要証人・石指雅啓(当時国交省成田空港課長)の尋問を理由なく10月に先送りした。弁護団の激しい追及にもかかわらず強引に押し通そうとする裁判長に対して、市東さんが鋭い一言を発した。「ここ(千葉地裁のこの法廷)でやるのは間違いないですね」。実はこれがこの攻防の核心だ。NAAは公開法廷ではなくビデオリンクを不当に要求している。裁判長は「それについては検討してから……」などと言葉を濁した。証人隠しの姿勢が露骨だ。絶対に許してはならない。
次回5月28日から、いよいよ証人尋問に入る。最初の証人は農地取り上げの手続きを進めていたNAAの戸井健司だ。
閉廷後、弁護士会館で報告集会が開かれた。司会は伊藤信晴さん。
最初に市東さんがあいさつに立ち、「NAAはこちらの問いに10分の1も答えず、裁判長がそれを擁護する、こんなひどい裁判を絶対に許せない。今日は弁護士の先生方が頑張ってくれたので裁判長もしどろもどろでしたが、裁判をよりこちらの側のものにするためにはみなさんの傍聴の力が必要です。よろしくお願いします」と、支援の労働者・学生に訴え、大きな拍手を浴びた。
さらに弁護団一人ひとりが発言し、NAA・県と裁判所をさらに追いつめる決意を語った。最後に北原鉱治事務局長がまとめのあいさつに立った。「今日の弁護団の追及は鋭く、向こうは防戦一方だった。正しいものは正しいと証明し、真実を守るために、みなさんとともに闘います」。47年間の不屈の闘いを担った北原さんの一語一語を受けとめ、全員が大きな拍手で応え、農地死守の決意を新たにした。(TN)
【5月の三里塚裁判スケジュール】
◎第3誘導路許可処分取り消し訴訟/5月1日(火)千葉地裁、午前10時30分開廷
◎団結街道裁判/5月8日(火)千葉地裁、午前10時30分開廷
◎市東さん行政訴訟・農地法裁判/5月28日(月)千葉地裁、午後1時30分開廷
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