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大飯原発再稼働に対し、エテコンが日本政府弾劾の声明発表

s20120709c.jpg 6月24日から同30日にかけてドイツの環境保護団体エテコンの6人の仲間が日本を訪問し、NAZENや新橋アクションなどと共同闘争を闘いました。
彼らの目的は、2011年世界環境に最悪の影響を与えた企業として、東電の株主総会に登場して「ブラックプラネット賞」を「授与」することでした。東電はこれを拒否しようとしましたが、6月28日の新橋アクションによる東電直撃デモの際に、250人の隊列を背景に気迫で圧倒してそれを受け取らせたのです。そのエテコンの仲間たちが今回、大飯原発再稼働を厳しく弾劾し、福島の診療所建設を熱く訴えて日本の一般報道機関にコメントを寄せました。以下、紹介します。

<大事故から何も学ばず> エテコン、大飯原発再稼動を糾弾
 

 2012年7月5日(木曜日)以降、日本は再び原子力発電を再稼動している。2ヶ月間にわたる全50基の原子炉停止から、大飯原子力発電所がその内の一番目の再稼動原発となった。6月末、国際エテコンブラックプラネット賞2011を東京で東電責任者に授与したエテコン倫理&経済基金は、この再稼動を徹底して糾弾する。
 「日本の政府、行政そして電力会社は大事故からまったく何も学んでいない。彼らは、福島県及び周辺汚染地域の住民の避難・保護の責務を全うせず、ひたすら自分達の利権利潤の確保に専念し、国民の願いをまったく無視している」。今回、東電宛<弾劾賞>授与の為に訪日し、また福島も訪れた基金メンバーの一人である基金執行部役員のLydia Will(リュディア・ヴィル)氏の言。――アンケート調査による再稼動反対の国民の声が約70%に達しているにもかかわらずである。――6月29日、東京の野田首相官邸前抗議デモに約15万人が参加し、最後の土壇場まで大飯原発再稼動反対を訴えたにもかかわらずである。
 福島原発と同じく海岸に立つ大飯原発はまさに活断層の上にあり、地震発生の危険性の詳しい調査すら現時点ではまだ終わっていない(情報源:弾劾賞授与についてのドイツZDF放送)。その意味で、同原発は福島原発よりさらに大きな破局的事故を起こしてもおかしくない状況にある。福島においても地震と津波の危険性が以前から明白に認知されていたにもかかわらず、それが故意に過小ないし無視され続けてきた実態が、日本の国会事故調査委員会による報告で全面的に検証された。即ち、この大事故は事故前からあらかじめ推定可能であったし、回避可能であったが、結局のところ、政府そして<原子力村>の官僚達、さらには電力企業の三者癒着の構造により引き起されてしまった人災であることがはっきりしたのである。なかでも言語道断なことに、この三者癒着の構造が原子力村の官僚をしてTEPCOに原発安全対策の手抜きの指導までさせていたのである(情報源:2012年7月5日付ドイツ日刊紙TAZ報道)。また同時に、災害時における適切な対応の訓練すら同社従業員に充分行わせていなかった実態も明らかになり、その結果として、大事故に直面させられた住民に対する迅速かつ充分な情報伝達も避難処置も行われなかった。
 そして日本政府は、今日なお福島県の75%を占める極めて危険な汚染区域の中に約36万の子供を住まわせ、毎日屋外で遊ばせ(情報源:福島診療所建設委員会)、危険地域住民全員を避難させる代わりに、原発大事故収束宣言を行い、制限ないし閉鎖区域を縮小し、事故現場地域の平常化を進めている。そういった状況下、大事故の発生した原子炉1号機ではまさに現時点で、毎時10シーベルト以上の値が測定されたばかりである。そのような測定値は一年間に許される許容限度最高被曝量をたった20秒間で到達してしまう値である(情報源:2012年6月29日付ジャパンタイムズ)。さらには、著しい損傷をうけた原子炉第4号機の上の階にある冷却貯蔵プールの中には依然として1500の核燃料棒が留められたままである。建屋の壁は傾き、部分的には外に向かって突き出ている(情報源:2012年6月27日付ニューヨークタイムズ)。もしこの原子炉がさらなる地震によって崩壊すれば、その災害規模は昨年3月の大事故をもはるかに超えることが予測されている。
 「福島の女たち」を始めとする市民組織は、せめてこの危険地域に住む住民達の、特に乳幼児及び子供達を中心に、健康上の不安や疑問に答えられる健康相談窓口を設置する目的で、行政の差し金をうけていない中立な立場をとる医師による診療所建設のための募金活動を行っている。この診療所は政府の差し金によって動き、真実を歪曲した情報を流しつづける山下俊一らに対する対抗処置としての意味も持つ。山下俊一福島医大副学長らは再三にわたり、「年間100ミリシーベルトまでは安全」「内部被曝は心配ない」などと暴言を吐いている(情報源:福島診療所建設委員会)。エテコン基金訪日グループは福島訪問後、同診療所建設の募金運動に先ずは自ら応える意味で、500ユ-ロを寄付した。エテコンは、ここに世界中の志を同じくする仲間の人達に対し、この運動を支えるために協力を呼びかけます。福島原発の大事故による被害規模とその終息の目途は、未だまったく立っていません。このような状況下において、日本国内の停止中の原発を再稼動させることはまったくの暴挙と言うほかありません。

 国際ブラックプラネット賞2011の授与についての詳しい解説は、web上 www.ethecon.org のダウンロードエリア、TEPCO責任者に関する(関連ファイル) Dossier の中にあります。また、短くまとめたものは、ドイツ語版、英語版、スペイン語版及び日本語版による(公開状) Open Letter in Japanese の中にあります。その中でエテコンはこの電力大手企業の主要株主及び決定権をもつ上層部の法的責任の追及を要求しています。まさにこの人達の利益追求最優先の誤った決断さえなければ、このような破局的な大事故にはならなかったのです。このことは既述の日本国国会事故調査委員会による報告によっても既に検証済みです。
 エテコン基金は、特にベルリンにおいて毎年の行事として行っている国際エテコンブルー及びブラックプラネット賞の授与によって有名です。エテコンの過去におけるポジティブ賞の受賞者は、Diane Wilson/USA (2006), Vandana Shiva/India (2007), JoseAbreu 及びHugo Chavez/Venezuela (2008), Uri Avnery/Israel (2009), Elias Bierdel/Austria(2010), Angela Davis/USA (2011). また弾劾に値するネガティブ賞の受賞者は、以下の企業(コンツェルン)の所有者、株主及び経営管理責任者全員です。即ち、Monsanto/USA(2006), Nestle/Switzerland (2007), Blackwater (Xe)/USA (2008), Formosa Plastics Group/Taiwan (2009), BP/Great Britain (2010) 並びに東京電力/日本(2011).
 エテコンは企業、ファミリ-、教会、政党並びに国家による基金とは対照的に、一般層からなる数少ない法人組織であり、現在30の基金提供者と共に、その中心となる理念として、未来へ続く世代の為の、略奪や弾圧の無い世界の実現を責務と考えています。このまだ新しい基金は、寄付金や支援金、支援団体並びに会員によって運営されています。

日本での窓口
織田陽介、NAZEN(すべての原発いますぐなくそう!全国会議)事務局長

お問合せ窓口:
Bettina Schneider(ベッティ-ナ シュナイダ-)

 人間社会と自然環境を脅かす破局的大災害を回避する唯一の道は、環境に配慮し、人を大切にする社会・経済構造モデルの開発と実現です。エテコン倫理&経済基金は遥か先の世代にまで及ぶビジョンと視点をもって活動しています。
 

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