ドイツのゴアレーベン核処分場反対同盟が8・6ヒロシマ参加、上関・祝島へ
ドイツの反核・反原発運動の総本山であるゴアレーベン核廃棄物処分場反対同盟が訪日し、8・5~6ヒロシマ闘争を皮切りに精力的に行動している。
ゴアレーベンはドイツ・ニーダーザクセン州リュヒョー・ダネンベルク郡にある小さな村だ。ゴアレーベン反対同盟は1977年以来35年間にわたって同村への核燃料廃棄物処分場などの建設と闘い、1995年以来13回、実力で核廃棄物搬入阻止闘争を闘っている。今回訪日したのはマーティン・ドナート委員長、ケアスティン・ルーデック前委員長、広報担当のレナート・ミュラーさんの3人。3人は8・5~6ヒロシマ闘争に参加し、「すべての核と原発をなくすため、ともに闘おう」と熱くアピールした。
翌7日は、中国電力・上関(かみのせき)原発の建設予定地である山口県熊毛郡上関町大字長島(ながしま)を訪問した。上関をめぐっては、長島の西端の田ノ浦(たのうら)の山林を切り開いて14万平方メートルの海面を埋め立て、その埋め立て地の上に原発2基を建設しようという計画が1982年に決定された。しかし建設予定地の対岸・祝島(いわいしま)住民を先頭にした闘いが30年間、着工を阻み続けている。2009年9月には中国電力が埋め立て準備作業としてブイの敷設を始めようとしたが、反対派の漁船やシーカヤックが実力でこれを阻止。昨年3・11福島原発事故を受けて工事は完全にストップしている。
自動車で車道の終着点まで行き着いた後、ジャングルのような森林の中、道なき道を30分ほど海岸線まで下ると、建設予定地の砂浜に着く。途中、中国電力の「工事関係者以外の立ち入りは禁止」などと記した立て看板が何カ所も立てられているが、反対派も団結小屋を建ててねばり強い抵抗を続けている。
森を抜けると、突然目の前が明るく開け、穏やかで美しい砂浜が広がった。この美しい海を14万平方メートルにわたって埋め立て、原発を建設しようというのだ。海の対岸には原発建設に反対して闘う島民が多く住む祝島がぽっかりと浮かぶ。
この現実を目の当たりにしたドナート委員長、ルーデック前委員長らは、服を脱ぎ捨てて海に飛び込んだ。穏やかな波の音に乗せて「ゲンパツハンタイ! ゲンパツハンタイ!」の声が飛び交う。すると、無人の海岸線に設置されたスピーカーから突然、音が流れ始めた。「中国電力からお知らせします。田浦海岸に立ち入っている人はただちに退出してください。田浦湾内においてカヤック等で航行する、船舶を侵入・停船させる、投錨する等の行為は一切禁止です。田浦湾にいる方はすみやかに退出してください」。ゴアレーベンの仲間たちは放送に怒りを募らせ、さらに大きな声で「ゲンパツハンタイ! ゲンパツハンタイ!」と叫んだ。
一行はその後、祝島を訪問した。島にわたる交通手段は1日3便の定期船のみ。原発建設予定地に最も近い四代(しだい)の港からは約15分だ。祝島に上陸すると、港のそばの道沿いに「原発絶対反対」の看板や、原発反対の思いを豊かにつづった歌の看板などが立ち並ぶ。
ゴアレーベンの仲間たちは、島民の「島のこの生活を守り続けたいから原発建設には反対」「福島原発事故を見て、けっして繰り返させてはならないと思った」などの声に耳を傾けた。また豊かな自然や夕焼けに輝く美しい海、島で採れたばかりの魚や海草などでつくった味わい深い料理、穏やかな海に降りそそぐ月光などに深く心を揺さぶられ、「祝島のみなさん、福島のみなさん、日本全国のみなさんと私たちの思いは一つ。原発も核廃棄物処分場もなくすためにともに闘い続ける」と熱く語った。(I)
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