「これは殺人だ」「子どもたちを救え!」――福島の訴え霞が関にとどろく
9月7日、首相官邸・国会前、文科省前などの各所で野田政権の原発推進攻撃を弾劾する行動が大規模に行われた。野田首相は原子力規制委員会の人事を国会の同意なしで近日中にも決定するつもりだ。官邸前では「野田は独裁者だ!」の声が飛んだ。福島の人たちの「子どもたちを救って!」の訴えが霞が関に響いた。大飯原発が、いつ大地震を起こすかもしれない危険な活断層の上に存在することが明らかになった。にも関わらず野田と原子力安全・保安院は大飯原発を稼働し続けるつもりだ。これらの現実に対する深く激しい怒りが野田と全原発推進勢力にたたきつけられた。
文科省前では午後5時から、ふくしま集団疎開裁判を闘う人たちが中心となって「福島の子どもたちを今すぐ避難させろ!」と抗議し、周辺の人たちに訴えた。行動は、裁判弁護団長の柳原敏夫さんや原発いらない福島の女たちの武藤類子さんを軸に、若い人が先頭を担って展開された。怒りに溢れた発言を中心に、かんしょ踊り・紙芝居・寸劇と、福島の子どもたちの置かれた現状を知らせるための工夫をこらした企画が次つぎと登場。多くの参加者もひとつになって文科省を弾劾した。
若い女性や男性などが次つぎにマイクを握った。「福島の子どもは避難先で出身地が分かると診察してもらえない。山下俊一の指示で、『診療すると福島医大の研究のじゃまになる』ということだ。福島県民は人間モルモットじゃない。人間だ!」「レントゲン技師の妊婦の女性は職場では1ミリシーベルトまでしか許されていない。ところが家に帰ると20ミリシーベルトに跳ね上がる。福島県民は被害者なのに、人間として扱われていない。福島の現状を知って下さい!」と声を振り絞って訴えた。
紙芝居では、福島の小学校ではモニタリングポストがふたつ並んで立っていると紹介。国際標準のものが高い数値を出したので、日立系の低い数値が出るものに換え、低い方を郡山市の値として公表していると弾劾した。柳原さんは「日本政府は集団疎開をタブーにした。それが行われると、誰もが原発はあってはならないと確信するからだ」と言い切り、今すぐ集団疎開を実行しろと声を張り上げた。
「子どもを逃がせ!」「親も逃がせ!」「子どもを殺すな!」「福島殺すな!」「集団疎開!」。文科省の建物に向かって激しいシュプレヒコールをたたきつけた。
首相官邸前では武藤類子さん、森園かずえさんなどが発言。武藤さんは「人びとが分断され、人間関係が引き裂かれています。ひたひたと安全キャンペーンが形を変えて広がっています。もう人の命を犠牲にすることを止めてください。この国を変えていくのは私たち一人ひとりです。皆さん、頑張ってこの国を変えましょう」と訴えた。森園さんは「昨日の新聞では、子どもたちの血液から遺伝子を調べるという発表がされていました。このような状態が許されて良いのでしょうか。日本国は犯罪的な行為が続いています。再稼働反対です。皆さん、一緒に力を合わせて、原発反対の声を伝えていきましょう」と呼びかけた。
国会正門前では、福島から初めて参加した若者などが発言。国会議員も何人かマイクを握ったが、「脱原発基本法案を出した。8~13年後に全廃……」と語ったとたん、「今すぐだ!」「選挙目当てだ!」の野次の嵐に包まれた。(H)
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