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市東さん農地裁判、不当な訴訟指揮に裁判官忌避たたきつける

s20120911a-1.jpg 9月10日、千葉地裁民事第3部(多見谷寿郎裁判長)で、三里塚芝山連合空港反対同盟・市東孝雄さんの農地裁判(行政訴訟と農地法裁判を併合)が開かれ、元千葉県農地課長・渡辺清一の証人尋問が行われた。
 午後1時30分に開廷し、まず成田空港会社(NAA)・千葉県側の主尋問が行われた。2006年、渡辺は成田市農業委員会から送られてきた「転用相当」(市東さんの耕作地を空港に転用してよい)とする進達書を審査し、県の農業会議に諮問した。そして9月14日に開かれた農業会議の場では、市東さんや萩原進事務局長の必死の訴えを無視抹殺し、県を代表して答弁し審議の結論を「転用相当」へと導き、市東さんの農地の解約手続きにお墨付きを与えた張本人なのだ。 

s20120911a-2.jpg だが渡辺は具体的に何をどう「書類審査」したというのか。反対同盟顧問弁護団による反対尋問で、およそまともな「審査」など行われなかったことが浮き彫りになった。
 市東さんは当初から、NAAによる耕作地の特定が誤りであることを主張し、現地調査を行うよう要求し続けてきた。だが渡辺は意図的に無視し、「NAAの資料によって対象地の特定がなされたと判断した」とまったく逆の結論を繰り返し、開き直った。また空港公団(NAAの前身)が1988年に旧地主から土地を買収しながらそれを隠して転用せず持ち続けた事実を突きつけると、「そういう事例はほかにないが……」などとつぶやきながら、自分は基本的要件を審査しただけだと責任逃れに終始した。明け渡し請求の畑の一部が空港敷地外まで及んでいること、したがって耕作者の同意のない転用手続きは違法であることを指摘すると、「NAAから空港のための具体的な転用計画が出された」と答え、「空港の用に供する土地だから(妥当だ)」と言い張った。冗談じゃない! NAAが「空港に使う」と言い張れば、いくらでも土地を分捕れるというのか! そもそもその転用計画(特殊車両や資材の置き場を造る)なるものは、手続き書類の致命的問題に気づいた農地課がNAAを促して急きょでっち上げた架空の計画なのだ。法廷ではこれが物理的に実現不可能なことが明らかにされ、農地課・渡辺とNAAが一体で勧めていた農地取り上げ策動が暴露された。さらに許しがたいのは、「離作補償として1億8千万円が提示された」ことを最大限持ち上げていることだ。金をつかんで農業を放棄し出ていけと言うのである。仮にも県の農業担当者だった人間が言うセリフか!
 弁護団に続き市東さん自身が尋問に立ち、「NAAだけを信用して、一切調査をしないのはどういうことか」「農地を取ることは私の命を奪うことだ。それを承知で言っているのか」と怒りをあらわに鋭く迫った。渡辺は内心震え上がりながら、「農地法20条にしたがって判断・審査しただけ」などと繰り返し、誠実に答える気がゼロの態度を示し続けた。NAAの手先に成り下がった渡辺証人の正体を完全に暴き、3時間を超す尋問が終了した。
 法廷の闘いはただちに多見谷裁判長との直接対決に移った。次回10月15日の石指雅啓証人(当時、運輸省成田空港課長)への尋問をあくまでテレビ会議(ビデオリンク)方式で強行しうとしていることに対し、弁護団は猛然と反対をたたきつけた。「海上保安庁の要職にあり、緊急時に備え神戸を離れられない」ことをテレビ会議方式の“理由”にしているが、千葉-神戸間は鉄道でわずか4時間だ。「神戸地裁の法廷で公開尋問を行え」との弁護団の申し入れも却下した。公開法廷の否定であり、証人隠し以外のものではない。テレビ会議方式を押し通す正当性・合理性をすべて剥ぎ取られ追いつめられた裁判長は、弁護団の異議申し立てを一切却下した。
 葉山岳夫弁護士が立ち上がり、裁判の公正さを破壊する多見谷裁判長以下3人の裁判官に対し、忌避を申し立てた。ここで裁判の手続きは一切停止し、閉廷した。
 近くの会場に移り、萩原富夫さんの司会で報告集会が開かれた。冒頭に市東さんが立ち「今日の証言を聞いて“やはりお前もか”という腹立たしさを感じた。行政は書類さえ整えればOKなのか、空港を造るためなら何でも許可するのか! ビデオリンク方式も許せない。今後も徹底的に追及します」と、力強くあいさつした。続いて長時間の尋問をやりぬいた弁護団一人ひとりが、解説と今後の闘いの見通しを語り、一層強力な傍聴・支援を訴えた。北原鉱治事務局長が立ち、間近に迫った10・7三里塚全国総決起集会への大結集を訴えた。さらに動労千葉の滝口誠さん、関実、群馬・市東さんの農地を守る会の青柳晃玄さんが連帯発言を行った。
 最後に萩原進事務局次長が立ち、「渡辺は06年の農業会議の場で、離作補償の1億8千万円について“市東さんの年収150年分だ”とぬけぬけと言い放った。この責任は必ず取らせる! 怒りを共有すれば闘いは勝てる。10・7三里塚に全力で結集しよう」と呼びかけた。この渾身の訴えに、全参加者が熱い共感の拍手で応えた。(TN)
★三里塚裁判スケジュール
団結街道裁判 9月18日(火)午前10時30分開廷 千葉地裁(傍聴券抽選のため開廷1時間前に集合)
 

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