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三里塚一坪共有地裁判、最終局面へ

20160830b-1.JPG 8月25日午後、千葉地裁民事第5部(鹿子木康裁判長)で、一坪共有地裁判の弁論が開かれた。この裁判は、三里塚芝山連合空港反対同盟の鈴木幸司さん(故人)、いとさん夫妻が共有権を持つ駒井野の一坪共有地について、2006年に千葉県が明け渡しを求めて起こした訴訟だ。この悪辣な土地強奪攻撃に対して反対同盟、顧問弁護団、支援の労働者・学生は一丸となって闘ってきた。10年に及ぶ裁判はこの日実質的弁論を終了し、次回に最終弁論となる。
 原告・千葉県は、「成田国際物流複合基地」なる貨物施設整備計画のために、一坪共有地を奪い、一帯を造成して成田空港会社(NAA)に売り渡すという。だがこの計画自体、「債務130億円が残る」と新聞報道されたような破綻した代物だ。

20160830b-2.JPG 今回、原告・千葉県は既存の貨物施設、貨物用駐機場、一坪共有地と本件の事業予定地などの位置関係と貨物移動の経路・距離・時間を記した〈図面〉と、成田の貨物施設が繁忙で手狭になっていることを示すという〈写真〉を提出した。〈図面〉は明らかにインターネットの航空写真を加工したものだが、原告・県の代理人弁護士はこれを「実写だ」と言い張り、〈写真〉の撮影場所・日時については「わからない。イメージのようなものと考えてほしい」などと答えた。成田かどうかさえ不明の写真に、何の意味があるというのか。
 また、弁護団が「成田空港では2011年に天浪の貨物上屋を取り壊して駐機場にしたが、以後支障なくやっているのではないか」と問いただすと、つじつまを合わせることもできず県代理人はしどろもどろになってしまった。
 一坪共有地は「三里塚地区周辺に土地を持つ会」の組合所有(合有)であり、共有者個人が勝手に分割し売り払うことはできない。そして鈴木さんは当然にも売り渡すことを拒絶している。県は「全面的価格賠償方式」で、すなわち持分を金に換算して強制的に金銭補償で一坪共有地を取得しようと本件裁判に訴えた。だが事業の破綻的現実の進展につれて、県側の主張は二転三転しながら一層ずさんで無責任の度合いを深めていく。それがこの10年だった。
 裁判所は「これでは判決が書けない」と危機感を燃やし、この終盤で県へのテコ入れの意味で今回の期日を設定したのだが、一片の道理もない県の悪あがきを浮き彫りにしただけだった。
 次回11月10日に最終弁論・結審となることを確認し、閉廷した。
 閉廷後に千葉県弁護士会館で、報告集会が開かれた。葉山岳夫弁護士は「最終準備書面で、地上げ屋不動産にまで堕した県の主張を完全に粉砕する」と勝利の意気込みを表した。司会の伊藤信晴さんは、「一坪共有地は反対同盟の”空港絶対反対・農地死守”の闘いの原点。絶対にこれに勝利し、市東さんの農地を守り抜こう」とまとめ、9・7最高裁包囲デモ・署名提出行動――10・9全国総決起集会への結集を呼びかけた。(TN)

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