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結審強行に激しい怒り/動労千葉鉄建公団訴訟控訴審

20130510a-1.jpg 国鉄1047名解雇撤回と強制出向無効確認の二つの裁判が5月8日、それぞれ東京高裁、東京地裁で開かれた。
 動労千葉鉄建公団訴訟では、東京高裁第12民事部の難波孝一裁判長が、原告側の証人調べの請求をまさに問答無用に却下し審理終結を宣言した。国鉄分割・民営化と1047名解雇は、当時の首相・中曽根康弘を先頭とする希代の国家的不当労働行為だ。その真実を握りつぶし、一方的に結審を強行した暴挙を絶対に許すことはできない。
 

20130510a-2.jpg●高裁に1万7千筆の署名を提出
 裁判に先立って、午前中に「解雇撤回・JR復帰要求署名」の提出行動が行われた。昨年6月の動労千葉鉄建公団訴訟一審判決以来、広範な呼びかけ人陣形でスタートした署名運動は、前日までの集約で1万6958筆に達した。動労千葉顧問弁護団長の葉山岳夫弁護士、動労千葉争議団の高石正博さん、中村仁さんらが全国の労働者の思いがこもった署名を東京高裁第12民事部に届けた。
 午後2時半から開かれた動労千葉鉄建公団訴訟控訴審第3回口頭弁論では、まず原告代理人が提出した準備書面の要旨を陳述した。被告の鉄道運輸機構が援用してきた秋田闘争団・小玉忠憲さんの鉄道運輸機構訴訟で昨年10月11日に出された控訴審判決(設楽判決)を全面的に批判し、さらに東京地裁での原判決(白石判決)にも批判を加え「原告らをJR採用候補者名簿から排除した不採用基準策定が、不当労働行為意思に基づくものであると原判決は認定した。名簿不記載と1990年の清算事業団からの解雇は明らかに一連の過程であり、90年解雇を有効とした原判決は誤りだ」と明快に述べた。
 原告側はさらに、「国鉄改革前後の労務政策の内幕」なる座談会(2000年9月)で、設立委員会の斎藤英四郎委員長(当時の経団連会長)が、国鉄職員局の葛西敬之次長(現JR東海会長)らに職員の不採用基準作成を命じた事実が明らかにされていることを突きつけた。JRの設立委員会トップが基準作成に関与していたのであり「国鉄とJRは別」という国鉄改革法の虚構を根底から覆す事実だ。名簿からの排除と不当解雇の責任がJRに及ぶことは明らかだ。
 原告側はこの事実をも踏まえ、「不採用基準を誰が、どういう意図と経過で作ったのかはいまだに明らかにされていない」と述べ、あらためて葛西敬之ら3人の証人採用を強く要求した。
 しかし、難波裁判長は「前回予告した通り証人は採用しない」と理由すら説明せずに証人採用を却下した。法廷は怒号に包まれ、代理人が激しく裁判長を追及した。難波裁判長は顔を引きつらせながら審理終結を一方的に宣言したが、その声は徹底弾劾の声にかき消された。難波裁判長は、最後には無言のまま背後の扉から逃げ、被告代理人も廷吏に守られてまさに脱兎(だっと)のごとく法廷から逃げ去った。
 判決言い渡しは9月25日午後2時から東京高裁824号法廷。

●「委託契約書を出せ!」居直るJRを追及/強制出向無効確認訴訟
 5月8日午後1時5分から、動労総連合の出向無効確認訴訟第2回口頭弁論が、東京地裁民事第11部(団藤丈士裁判長)で開かれた。
 まず前任の白石哲裁判官からの裁判長交代に伴う弁論更新が行われ、原告代理人の森川文人弁護士が意見を述べ、この裁判の争点と本質を簡潔に明らかにした。被告・JR東日本の代理人は「本件出向は就業規則に基づくものであり、その目的と必要性は明らかだ。原告にも特段の不利益はない」と言い放った。傍聴席から「ふざけるな!」と怒りの声が上がった。
 続いて強制出向の当該である動労水戸の石井真一委員長が意見表明を行った。石井委員長は「本人の承諾もなく別会社に出向させられたことに本当に怒りを覚えている」と切り出した。そして「動労総連合は結成以来、国鉄分割・民営化と業務外注化に一貫して反対し、出向協定の締結も拒否してきた。動労千葉が外注化と一体のシニア協定の締結を拒否する中で、多くの仲間が定年後の再雇用を拒否され職場を去らざるをえなかった。しかし今回は、協定がなくても就業規則で出向を強制した。なぜこんなダブルスタンダードが許されるのか」と会社側の姿勢をただした。そして、出向から戻る職場はなく実質的な転籍であること、一から十までJRが作業指示を行っている偽装請負の実態などを怒りを込めて暴露した。
 さらに原告側は、今回の外注化に関する委託契約書を提出するよう会社側に求めた。JR東日本は団交の場も含めて、一貫して委託契約書の開示を拒否している。被告代理人は「原告側の主張に沿って検討する」と言を左右にしながら提出拒否の姿勢をあらわにした。原告代理人が再度、「業務委託契約書は出すのか出さないのか。出さない理由は何か」と問いただしたが被告は答えない。
 会社側の不誠実な態度に原告組合員と傍聴者の怒りが爆発した。閉廷後も「契約書見せろ! 都合悪いことでもあるのか!」と被告代理人を激しく弾劾した。被告代理人は顔面蒼白(そうはく)になりながら法廷から逃げ去った。
 次回は7月3日午後2時から、東京地裁527号法廷で開かれる。
20130510a-3.jpg20130510a-4.jpg 二つの裁判終了後、代理人弁護士と原告組合員、支援が一堂に会して総括集会が開かれた。
 鉄建公団訴訟での結審強行について動労千葉争議団の高石さんは「怒りでいっぱいだ。難波裁判長はもう頭の中で判決ができている感じだ。これをひっくり返すために、最後まであきらめず頑張る」と述べ、同じく中村仁さんも「外注化で出向に出された仲間とともに必ずJRに戻る」と揺るがぬ決意を示した。
 強制出向の当該、代理人の弁護士、支援がそれぞれ発言。最後に動労水戸の石井委員長と動労千葉の田中委員長があいさつし、職場闘争の一層の強化と組織拡大、解雇撤回・JR復帰署名運動の拡大、そして国鉄闘争全国運動6・9全国集会へのこれまでを大きく越える結集を強く訴え、この日の行動をまとめた。(東京O・K)
 

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