中曽根の地元で、熱気あふれ「NAZENぐんま」を結成
「原発をなくしたい!」その気持ちをひとつに集めて5月12日、群馬県庁昭和庁舎で、「なくそう原発!つながろう福島! 5・12ぐんま集会」が熱気あふれる50名の参加で勝ち取られ、その場でNAZENぐんま結成が宣言されました。
司会のお母さんから、前日の高崎での女性デモを実現した高揚感に満ちた開会宣言を受けてさっそく登壇した、福島のお母さんの話は福島の心そのものでした。涙なしには聞けませんでした。
「行政も教育委員会も、3・8までは大丈夫だと言って、毎時3.1マイクロシーベルトの高校の校庭で、雨の日もラグビーなんかは泥んこになって部活をさせています。女の子が、先輩からトイレに呼び出されて『なんであんたはいつもマスクをしているんだ』と脅かされる。そういうことを学校がさせている」「給食の牛乳も福島の牛乳と会津のそれを混ぜて、線量が低くなっているから大丈夫と出す。それを拒否して子どもに水筒に水をいれてもって行かせたら、先生から『学校に水筒を持ってくるのは禁止です』といわれました」「子供の甲状腺に、二人とも3ミリののう胞が見つかって、でも子供を目の前にして泣くこともできなかった」「医者は、甲状腺がんが見つかっても切ればいい、と言います。でも子供の身体にメスを入れられる親の気持ちになってみてください」「ふくしま共同診療所こそわたしたちの希望です。それを中核派だなんだと非難する人がいる。そういう人たちに言いたい、ならばあなたたちが福島にお医者さんを連れてきてください、病院をつくってください。何もしないでそんなことばかりする人たちは許せない。何々が怖いといって、原発ほど怖いものはない。どうか、みなさん、診療所を守ってください」の訴えに、会場の全員が拍手で応えました。
NAZENぐんま結成を進めてきた若いお母さんから、群馬で原発に反対しながら農業に取り組むアグリレディースのお母さんが丹精を込めて栽培した「母の日」のバラの花束を贈呈して、NAZENぐんまは福島と気持ちをひとつに進んでいくことをお誓いしました。
布施幸彦先生のお話は、ふくしま共同診療所がどれだけ福島と日本の状況を変える上で決定的な意味を持っているのかを納得させてくれました。「福島の医者の世界はほかの地域とも違って独特のものがあります。福島の医師の8割は福島県立医大出身(開業医は9割)で、〈ミスター100ミリシーベルト〉の山下の言うことを聞かないとやっていけないという状況がある。群馬も群馬大学医学部の影響が大きいところだけどそれでも4割。福島のある良心的なお医者さんが福島県民の気持ちに寄り添う診療をしたら、医者の集まりの満座の中で、『お前は何を勝手なことをやっているんだ!』と罵倒されたこともありました」「ふくしま共同診療所の取り組みに、福島のほかのお医者さんからも、『ぜひ共同診療所がこの福島の状況に風穴を開けてください』、と言われていますので、わたしもがんばります」今の職を辞めて群馬の地から福島に赴任する並々ならない決断を、肩の力を抜いて明るく語る布施先生とともにNAZENぐんまは進んでいきます。
原発事故以来、群馬で数百人から2千人以上のデモを繰り返し実現して来た、「原発とめよう群馬」を代表して加賀谷富士子さんが3人のこどもを持つ親としての思い、『参議院選で原発再稼働と改憲の自民党を負かせたい』という熱い思いを語ってくれました。
NAZENの織田陽介さんの話も「何故NAZENなのか?」から始まって、明るく皆を励ましてくれました。とりわけ、被曝労働とたたかう動労水戸の取り組みの中に原発を廃炉にしていく展望がすでに始まっていることを、「労働」「労働組合」のもっている決定的な意義と可能性を熱く語ってくれました。また、日本の反原発の闘いは世界中から注目されており、来月は世界でもっとも強力に反原発闘争を闘っているドイツから来てほしいという要請に応えて訪独することが報告され、今日の群馬を皮切りに全国にNAZENを作ることが話されました。
3人からの提起を受けて、NAZENぐんま準備会事務局の清水彰二さん(群馬合同労組書記長)からNAZENぐんまの結成が宣言されました。それはこの集会に集まった人たち、参加したいけど参加できなかった人も含めて、人間としての熱い思いにあふれる、魂のこもった結成宣言でした。
集会で配布・披露された動労水戸からの結成集会への心温まるメッセージは「こう闘えば被曝は防げる」「この闘いを広げれば原発労働者は決起する」という確信に満ちたもので、参加者に深い感銘を与えてくれました。
この日の結成に向かっての1ヶ月間、「すでに原発反対の運動はあるのに、なぜNAZENなのか?」と、いくつかの話し合いと勉強会を重ねてきました。2年3ヶ月間の運動の蓄積があるからこそ、多くの人々がすでにかなり深いところまで考えていることが浮き彫りになりました。それは、「本当にどうやったら原発はなくすことができるのか?」「仮に原発を止めるところまで運動が進められたとして、その後の廃炉の過程はどうできるのか?」「それは日本の原発だけなくなっても意味がない。世界の原発をなくすためにはどうすればいいのか?」「エネルギー問題の解決を含めて、原発を必要としない社会はいかにしてできるか?それは誰がやるのか?できるのか?その人間像とはどういうものか?」という根源的なものでした。
その中で、多くの人から「わたしは、口先でいろいろ言う人よりも、実際に闘っている人を信じる」といわれました。それは、NAZENの、①一昨年の夏に広島の地で「戦後の原水禁運動を引き継ぎその限界を超え発展させる」と誓った結成の原点。②福島の子供たちを守る取り組みをわずか1年で「ふくしま共同診療所」として具現化した恐るべき行動力。③被災地の茨城と福島に職場を持ち、被曝労働拒否の闘いを実践している動労水戸と国労郡山工場支部の存在。④今年の「3・11福島現地闘争」に全世界から550の連帯メッセージがきている、国際連帯闘争のぶ厚さ。⑤そのような取り組みを、労働組合、農民、市民、学生運動の実体とトータリティをもってすすめている。ことに集約されています。
NAZEN結成は今の運動と矛盾するどころか、NAZENの理念と闘いが広がることが、現在の反原発闘争にも新たな生命力を吹き込んで、安倍政権の原発再稼働攻撃を打ち砕く道、と討論されました。
NAZENぐんまは今日を第一歩に、福島と、そして全国の仲間と力を結んでともに闘います。がんばろう!(群馬・T)
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