9・1日比谷 反原発講演会に2千人、小出助教「福島を忘れない」
9月1日、午後1時から東京・日比谷公会堂において「つながろうフクシマ!くりかえすな原発震災 9・1さようなら原発講演会」が、「さようなら原発」1千万署名市民の会の主催で2050人の参加で行われた。
開会のあいさつをルポライターで呼びかけ人の鎌田慧さんが行い、「9月1日からもう一度原発反対運動のうねりに向かう。力を合わせて頑張りましょう」と訴えた。作家で呼びかけ人の大江健三郎さんは講演で「この世界を、放射能によって次の世代が生き延びられないようにはしないことが最も大切」「この何年かのうちに原発をやめさせる」と気概を語った。
続いて、会場の割れんばかりの拍手に迎えられ、京都大学原子炉実験所助教の小出裕章さんが講演に立った。小出さんは冒頭、「今日、私は『フクシマを忘れない』ことを皆さんと共有したい。フクシマのことはすべてにつながっている」と強調。続けて「福島原発は、1、2、3号機は炉心が溶け落ち、どこにあるかも分からない、どうしたら良いかも分からない。その中で10次に及ぶ下請け、孫請けという労働者たちが今も放射能を相手に闘っている」「事故はまったく収束していない。ひたすら水を入れて冷やし続けるしかない。2011年3・11から汚染水はずーと流れ出ていた」と大量の汚染水流出を厳しく批判した。
さらに福島を始め関東や東北地方まで放射線管理区域と同等かそれ以上の高濃度の放射能に汚染されてしまったことを詳細に明らかにし、「国は犯罪者」「絶対にこの事故を起こした責任者たちを処罰しなければいけない」と声を高めた。
小出さんは次に「日本が原子力をやろうとした動機は核武装のため」として、「実際に4千発の原爆を製造できるだけの45㌧ものプルトニウムを蓄積している」と明らかにした。続けて「私は原子力は徹底的に危険だから反対していますが、それだけではありません。原子力は他者の犠牲の上にしか成り立たないということに反対しています」と被曝労働と、下請け、孫請け労働者への犠牲の集中を弾劾した。
最後に、小出さんは原発が膨大な放射性廃棄物を生みだすことを指摘し「これは未来犯罪とも呼ぶべきもの。私たちは未来の子どもたちから『福島原発事故後どう生きたか?』と問われる。その問いにきちんと答えられるように私は生きたい」と毅然(きぜん)として語り、講演を終えた。
閉会あいさつを作家で呼びかけ人の落合恵子さんが行い「ここにいない人にこそ声をかけ続けていきましょう。ますます原発反対に力を入れていきましょう」と訴えて集会を締めくくった。
●官邸前で日曜に抗議行動が
同日午後5時から首相官邸前での抗議行動が行われた。日比谷公会堂の集会を終えた人も結集。金曜行動には加われない人も参加し、大規模な官邸前行動となった。
「再稼働反対!」「原発やめろ!」首相官邸に向かって激しいコールが浴びせられた。スピーチでは集会を終えて駆けつけた小出裕章さんがマイクを握り「たくさんの人がこうやって今日も集まって下さっていることに大変感激しています。福島の人たちが今、苦難のどん底にいます。一方この事故を引き起こした政界・財界の人たちがだれ一人責任を取らない。責任者に責任を取らせる。そして苦しんでいる人たちが苦しまないようにすることが私たちの責任です」と心から訴えた。(H)
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