星野同志奪還へ430人が9・8徳島刑務所包囲デモ
「Give Us Back HOSHINO」「無実の星野さんを返せ」の看板が掲げられた吉野川の支流・鮎喰川(あぐいがわ)の河川敷。川上を眺めると徳島刑務所の職員官舎が建っている。その先が星野文昭同志がいる徳島刑務所だ。9月8日昼、「星野さんは今、刑務所の中で耳を澄ましています! 星野さんを奪還する第2弾の包囲デモで徳島刑務所に迫っていきましょう」。杉並星野文昭さんを救う会の狩野満男さんの第一声で「階級的労働運動の力で星野さんを取り戻そう!9・8徳島刑務所デモ集会」(同実行委主催)が始まった。全国労組交流センター、星野さんをとり戻そう!全国再審連絡会議を始め、全国から430人が集まった。
最初に「愛する夫を返せ」と記されたたすきを身につけた星野暁子さんが発言に立った。大阪取り戻す会のNさんの9・2不当逮捕を弾劾し、さらに9・8参加を楽しみにしていた東京西部ユニオン・ダッシュ分会のKさんの急逝6月23日)を悼んだ後、暁子さんは「文昭は全身が耳になるぐらいみなさんの訪問を待ち望んでいます」と語り、6日の面会で受け取った文昭さんのメッセージを伝えた。「僕に対する権力側の弾圧は、今につながる労働者人民の団結で世の中を変えていく闘いをなんとしてもつぶそうとするものだ。それが無実を百も承知の無期攻撃だった。それに対してありとあらゆる困難をのりこえてつくり出してきた中身が今、新自由主義に対して闘う労働者の希望になっている。人間が人間らしく生きられる世の中をめざす生き方と、暁子との愛、そして仲間との団結があれば、どんな攻撃も粉砕して世の中を変えられる。そうした境地を今手にしている。団結してがんばろう!」
昨年2・5徳島刑務所包囲デモの「首謀者」として徳島刑務所が金山克巳さん、仙田哲也さん、増上昭典さんの3人に対して面会・手紙・ 差し入れなど一切を「禁止」する処分を行ったことに対し文昭さんは、先日、監査官への苦情申立をしたという。「それは、みなさんへの心からのエールだと言っています。そして『集団面会なんだ。みんなに会うのを楽しみにしているよ』と伝えてほしいということでした。みなさんとの団結の力で解放をかちとろうとしているのです」と暁子さん。
さらに、ついに刊行された『愛と革命』を紹介し、「文昭の獄中39年、ともに生きた29年。命をも奪う無期攻撃に対して文昭と私が愛と団結、対話を大切にしてよみがえり、すべての人間が人間らしく生きられなければ、自分も人間的に生きることはできないという思想を磨き、愛を貫いて希望にたどり着く様子が描かれています。私はこの本を新自由主義攻撃による困難と分断に怒るすべての労働者民衆に読んでほしいと思っています。絶望に見える攻撃の先に希望を見い出すことができるからです」。
連日34度の酷暑、暁子さんは過酷な獄中処遇について、「汗だくになっても、夜寝る前に水を使って体を拭くことすら認められず、徳島刑務所は『洗面器2杯分の水を全員に配布する予算はない』と言っています。千葉刑務所では62歳の女性が熱中症で亡くなったばかりです。人が死ぬような状況に対して徳島刑務所が何も対策を取らないことは許されることではありません。きょうの徳島刑務所包囲デモは、文昭と全受刑者の命を守り、星野闘争勝利のための切実な闘いです」と訴えた。
さらに暁子さんは「革命の時代に勝利する階級的労働運動は、国鉄と反原発と星野を掛け合わせた闘いだと私は確信しています。秋、全証拠開示運動をしっかりと闘っていきましょう。福島の怒り、沖縄の怒りと一体に動労千葉、動労水戸の闘いに続き、新しい時代に新しい団結を求めて、9・15国鉄集会、9・25判決闘争、11月労働者集会に決起して行きましょう」と呼びかけた。
最後に「刑務所の門前で文昭の好きな『釜山港に帰れ』を歌います。文昭は『ベトナム戦争が激しかったころ、韓国からベトナムに行った兵士たちに帰ることを呼びかけた反戦歌。歌の苦手な僕が全部歌える数少ない歌なんだ。僕の気持ちをみんなに伝えてほしい』と言っていました。南北統一の願いも込めて、ぜひ文昭に声限りに届けましょう」。暁子さんの決意あふれる発言に全参加者の大きな拍手が応えた。
続いて徳島市内で全国運営委員会を開催し、この日のデモに臨んだ全国労組交流センターの辻川慎一代表(動労水戸副委員長)が発言に立ち、「新自由主義に怒るアメリカ労働者の前にオバマ大統領はシリア戦争を決断できない状況だ。何が東京オリンピックだ。日本帝国主義に2020年があるのか、ないでしょ! フクシマの怒りが噴き上がっている。日本の怒れる労働者、とことん闘いましょう」と、階級的労働運動の力で星野さんを奪還しようと訴えた。
徳島救う会から元木美起子さんと徳島医療福祉労組の青年労働者、星野再審弁護団の和久田修弁護士、動労西日本の山田和広書記長、動労千葉の田中康宏委員長が次々に発言した。和久田弁護士は「証拠開示運動を進め、たくさんの証拠を開示させる中で星野さんの無実は明らかになっている。もう一つの壁は、星野さんを絶対に出さないという国家権力の強い意志だ。この壁を打ち破るのが今日のデモだ。みなさんの怒り、みなさんの思いを届けていきましょう!」と力強く呼びかけた。
さらに連帯あいさつが、NAZEN愛媛の日野亮さん、全学連・斎藤郁真委員長、全国水平同盟・岡邨洋委員長から行われた。
徳島福祉医療労組の元木智之委員長が「ラブ・レボルーション『愛と革命』で星野さんを取り戻そう」とカンパアピールし、全国24の星野救援会を代表し、沖縄万人(うまんちゅ)の力で星野さんを取り戻す会の柿本博人さん、福島・取り戻す会の長沢宏さんが、きっぱりと決意を語った。
すべての発言を受け、全国再審連絡会議の戸村裕実共同代表が「徳島刑務所の非人道的な処遇に対し怒りの声を上げよう。1日も早く星野さんを取り戻すために団結してがんばりましょう」とまとめの提起を行った。広島救う会が「警察に一指も触れさせず、星野さんとの団結をかちとろう」と行動提起を行った後、「釜山港に帰れ」を合唱し、「星野さんを取り戻すぞ!」とシュプレヒコール!
心配された空模様は一変、夏の太陽が降り注ぐ中、一路、徳島刑務所に向かってデモに出発した。「星野さん! 会いに来ましたよ!」「無実の星野さんを取り戻すぞ!」「上窓を開けろ!」「水で体を拭かせろ!」
地元住民の温かい声援の中、長蛇のデモが労働組合旗や全学連旗などをたなびかせて進んだ。デモには午前中の徳島駅前街宣で出会ったばかりの青年の姿もあった。
刑務所前では、東京西部ユニオンの吉本伸幸委員長のリードで全参加者が「釜山港に帰れ」を熱唱した。この声が星野文昭さんに届いていることを確信し、デモを貫徹した。
デモ終了後、星野暁子さんが「文昭との集団面会本当にありがとうございました。文昭は聞いています。一人ひとりの顔と声に向き合って感謝した思いで過ごしています。私はみんなとともに刑務所の前に立って、文昭が歩いて出て来る風景を思い浮かべていました。私たちが迎えに行く。文昭は歩いて来ます。その日のために明日からの闘いも、この腐った社会を変える闘いとひとつに文昭の思いを自らの思いとして闘っていきましょう!」。辻川さんが「僕たちは必ず勝利します。9・25どんな反動判決が出ようともわれわれは負けない」と宣言した。
時代は動き出した。星野同志の闘いが、その時代の動きを加速させる。「3回目(のデモ)は星野さんを奪い返して迎えに行く時だ」(田中委員長)。全証拠開示運動を闘い、新しい時代の新しい団結で星野同志を取り戻そう!(M)
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