国労組合員権訴訟 国労本部打倒を法廷で宣言
国労組合員資格確認訴訟の第11回口頭弁論が2月26日、東京地裁民事第11部(団藤丈士裁判長)で開かれ、石﨑義徳原告と小玉忠憲原告の本人尋問、元国労闘争団員の証言が行われた。
この日の裁判は、国労本部の転向を徹底的に暴き、労働組合の本来のあり方を突きつけて、本部打倒を原告側が高らかに宣言する場になった。
原告の石﨑さんは、2010年の4・9政治和解を拒否した理由を聞かれ、「不当労働行為の責任追及を放棄することはできない。労働者の3分の1が非正規職。政府・JRの責任追及をやめたら労働者の悲惨な状況に拍車をかけてしまう」ときっぱりと述べた。
これに対して国労本部代理人の福田護弁護士は、和解を拒否して石﨑さんが継続した鉄建公団訴訟が最高裁で終結していることを取り上げて、「それでも国労は闘争を継続すべきと言うが、どういう闘いをしろというのか」と質問してきた。「解雇撤回闘争をJRの現場組合員が闘うべきだ」という石﨑さんの答えに対し、福田弁護士は「JR組合員の闘いと解雇撤回闘争は別」と口走った。石﨑さんは、「JR組合員が職場の問題で闘うことは当然だ。同時に、解雇撤回闘争も闘うべきだ」と切り返した。
小玉原告は、4・9和解を拒否した理由を問われ、「『不当労働行為は一切なかった』と解雇された者が認め、『雇用は二度と争わない』と国土交通大臣に文書を出せば、お金をやるというのが政治和解だ。ふざけるな! 何のために二十数年も闘ってきたのか!」と怒りで体を震わせた。
また、前回裁判で国労本部の濱中保彦前書記長が「政治和解以降、国労として解雇は不当とは認識していない」と証言したことについて、「和解しようが不当なことは不当だ。労組の書記長がこんなことを言うのか!」と激しく弾劾した。
さらに小玉さんは4・9政治和解の過程で鉄建公団訴訟主任代理人の加藤晋介弁護士から「解雇撤回は建前だ。それをそのままやるアホ(ママ)がいるか」と言われ、和解への屈服をしつこく迫られた事実を暴いた。法廷には衝撃が走った。
本部側の福田弁護士は、小玉さんが2回の停職処分を理由にJR不採用となったことを、ことさらに言い立てた。JRや鉄道運輸機構の代理人とまったく同じその口ぶりに、法廷から激しい怒りの声が上がった。福田弁護士は、小玉さんが原告の鉄道運輸機構訴訟が全面的な反動判決として確定していることを取り上げて、「それでも国労は闘い続けろというのか」と質問した。小玉さんはすかさず、最高裁反動判決を打ち破り、34年の闘いで解雇撤回を実現した全金本山労組の闘争に言及して、「運動の力で勝利できる。だから私は人生をかけて闘う」と宣言した。
福田弁護士は「国労が組織として闘争終結の判断をしてはいけないのか」としつこく聞いてきた。小玉さんは「今の執行部を一掃し、私と同じ志を持つ人たちが執行部になれば、そんな判断は覆る」と言いきった。
原告側代理人が動労千葉鉄建公団訴訟の判決に触れて、「国鉄当局が作った不採用基準で小玉さんたちは採用候補者名簿から削除された」と補充質問を始めると、本部代理人の宮里邦雄弁護士は「それは代理人の意見。削除はされていない」と言い立てた。原告側は「意見ではなく事実」と真っ向から反論した。国労本部と国労弁護団は、完全に鉄道運輸機構やJRの側に立ったのだ。
この日の裁判では、闘争団員を特別組合員とすることが決定された2010年7月の国労大会に代議員として参加した元国労闘争団員が証言した。当時、国労本部は4・9政治和解を受け入れた上で、「雇用問題は残された課題」という建前をとっていた。その状態で闘争団員を選挙権も被選挙権もない特別組合員としたことについて、証人は「雇用問題が解決していない中では時期尚早と思った」「最後まで国労組合員でいたいという複雑な思い、一抹のさみしさがあった」「だから採決には手を挙げられなかった」と当時の心境を語った。
裁判は次回5月23日の最終弁論・最終意見陳述で結審する予定だ。さらに国労本部を追い詰め、打倒して、国労大改革に突き進もう。(東京 K)
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