三里塚 成田第3誘導路裁判で騒音問題を追及
12月1日、千葉地裁民事第3部(廣谷章雄裁判長)で第3誘導路裁判の弁論が開かれた。この日は本年最後の三里塚裁判闘争。市東孝雄さんを天神峰から追い出すことだけを目的に巨費を投じて建設された第3誘導路への怒りも新たに、三里塚芝山連合空港反対同盟と顧問弁護団、支援の労働者・学生・市民は全力で闘った。
反対同盟側はこの間、暫定滑走路(B’)について国際民間航空条約(シカゴ条約)で定めた国際標準に違反していること、特に北側および南側の進入表面に立ち木が何本も突き出している現状のまま安全を無視して運航が続けられていることを追及してきた。被告の国は今回、釈明の準備書面を出してきた。「国際標準は国内法的には拘束力はなく、従う義務もない。国際標準に適合していなくても直ちに違法にはならない。北側には進入表面にかかる物件はない。南側の農家の屋敷林については安全が確認されている」――まさに居直りで塗り固められた言い草だ。成田はどこまでも、住民、乗客、労働者を危険にさらして恥じない欠陥空港であるということだ。
弁護団はこれに怒りを燃やし、さらに準備書面13を提出し、航空機騒音による周辺住民の健康影響評価について、WHOの「環境騒音のガイドライン」(99年)、WHO欧州事務局の「夜間騒音ガイドライン」(09年)という二つの基準を用いるべきであることを主張した。この基準は第4次厚木基地爆音訴訟(横浜地裁)で全面的に採用され、今年5月に出された判決は騒音による深刻な健康被害を認め、自衛隊機の夜間運航差し止めを命令するという画期的なものとなった。そしてこれに照らしたとき、成田空港周囲は厚木を上回る深刻な騒音被害を日々住民に強制していることが、明らかとなった。この現実を弾劾し、暫定滑走路と第3誘導路の供用差し止めを求めてさらに主張を展開することを、弁護団は通告した。
次回期日を2月24日として閉廷。
近くの会場で報告集会が開かれ、伊藤信晴さんが司会をつとめた。葉山岳夫弁護士は厚木訴訟弁護団と会い、「一審判決では自衛隊機は止めたが、夜間騒音の大半を占める米軍機の差し止めについては退けられた」と強い怒りを表していたことを報告した。さらに弁護団一人ひとりが発言し、「自衛隊機を止められて、民間機を止められないはずはない」との気概を表した。
動労千葉の滝口誠さんが連帯発言を行い、萩原進事務局次長の急逝をのりこえ、空港周辺住民の怒りと結びついて闘う反対同盟に賛辞を送り、来年も労農連帯を深めて闘うとの決意を述べた。前々日にシンポジウムを成功させた「市東さんの農地取り上げに反対する会」事務局は、この日午後に騒音問題で成田市に対する申し入れ行動を行うことを報告した。
報告集会を締めくくると、反対同盟と支援連は休む間もなく、午後の千葉市繁華街での「農地取り上げ反対3万人署名」情宣に打って出て、農地裁判控訴審勝利を熱烈に千葉市民に訴えた。(TN)
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