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三里塚耕作権裁判 弁護団と市東さんが更新意見でNAAを追及

20150617a-1.JPG 6月15日、千葉地裁民事第2部(岸日出夫裁判長)で市東孝雄さんの耕作権裁判の弁論が開かれた。「文書提出問題」で審理が中断して、約2年半ぶりの再開だ。
 12日に東京高裁が下した農地法裁判控訴棄却の反動判決に対する大反撃の気概に燃えて、三里塚芝山連合空港反対同盟と顧問弁護団、労農学市民100人が一丸となって闘った。

 午前9時、千葉市内の裁判所に程近い葭川(よしかわ)公園で、決起集会が開かれた。司会の伊藤信晴さんが第一声で、「控訴棄却の不当判20150617a-2.JPG決の背景には安倍政権のあせりがある。戦争へ向けた第3滑走路建設を絶対に許さない。今日の裁判に勝利しよう!」と訴えた。続いて関西実行委、市東さんの農地取り上げに反対する会、動労千葉が連帯発言を行った。動労千葉の滝口誠さんは、「第3滑走路誘致をもくろむ石毛博道らの策動を粉砕しよう。動労千葉は反対同盟とともに闘う」と決意を述べた。
 反対同盟事務局の萩原富夫さんがマイクを握った。「通知からわずか1週間後の判決期日指定、元の判決をなぞっただけの内容など、東京高裁は判決で“国策裁判はこうやれ。農民の土地を奪え”と千葉地裁に見本を示し、圧力をかけた。絶対に認めるわけにはいかない。空港公団=空港会社(NAA)の違法の数々、証拠偽造をはっきりさせて、耕作権裁判に勝利しよう。利権にすがる石毛を許さず、第3滑走路を粉砕しよう!」
 強い日差しを受けながら高らかにシュプレヒコールを上げ、市内デモに出発した。「空港会社の証拠偽造を許すな/裁判所は訴えを棄却しろ」と大書された横断幕に続き、市東さん、萩原さん、伊藤20150617a-3.JPGさんがデモの先頭に立ち、千葉地裁へ向けて行進した。反対同盟宣伝カーには、婦人行動隊・宮本麻子さんが乗り込み、繁華街に向け「農地死守」をアピールした。
 70ほどの傍聴席を満席にして、10時35分に開廷した。
 更新手続きとして弁護団が次々と立ち、スクリーンに地籍図を投射しながら陳述を行った。
 この耕作権裁判は、NAAが市東さんの南台耕作地の一部を「不法耕作地」と決めつけて明け渡し請求を行ったものだ。だが市東さんに向かって「不法耕作」とはなんという言い草だ! 数々の違法を働いてきたのはNAAであり、土地の位置特定について彼らは大変な間違いを犯した。市東家が一度も耕したことのない「南台41―9」を賃貸借契約をした土地だとしている。そしてその誤った位置特定の根拠であり、彼らが出してきた唯一の証拠である「境界確認書」「同意書」とそれに付けられた図面――これらは偽造されたものと判明した。そこに書かれた市東東市さん(孝雄さんの父、故人)の署名も、筆跡鑑定で偽造と明らかになった。こんなものに証拠価値はない。
 空港公団(NAAの前身)は耕作者である市東家に無断で秘密裏に元の地主である藤﨑から土地を買収したが、こんな売買は違法・無効だ。この過程で作成されたはずの交渉記録、報告書などをNAAに提出させるよう弁護団は求めてきた。それに応じて千葉地裁は文書提出命令を発した。ところがNAAは、「探したが見つからなかった。担当者は故人で、これ以上わからない」と提出を拒んだ。見えすいた大うそだ! この文書提出攻防は東京高裁にまでもつれ込み、「ないはずがない。提出せよ」との命令が高裁で確定した。それでもNAAは提出を拒否した。それは彼らが文書偽造を自認したに等しい。
 市東さんが耕作している土地すべてに、市東さんの耕作権がある。これが揺るぎない事実だ。この訴訟は無効だ。裁判所は直ちに棄却せよ!
 以上のような弁護団の主張が、具体的な事実を伴ってNAA代理人らに対し言い逃れを許さぬ鋭さで一つひとつ突き刺さった。
 そして市東孝雄さん本人が、陳述に立った。
 「私はこの裁判で提訴されたとき、新聞に“不法耕作の男”と書かれた。誠実に農業を続けてきた私に対するこの誹謗中傷に、夜も眠れないほど苦しめられた。私が耕している土地は祖父の代から守ってきたところだ。それがいつの間にかNAAが地主になっていて、明け渡せと訴えられた。だがその根拠となる〈同意書〉〈境界確認書〉が偽造と聞いてさらに驚いた。裁判所が真相を究明することを強く求める。農業は私の誇りであり、農地はかけがえのない私の命だ。裁判長! 私は不法耕作などしていない。NAAの訴えを棄却せよ。私はこの裁判に勝ち、農地法裁判の不当判決の誤りを正す」
 この誇り高く堂々とした陳述は全傍聴者の胸を打ち、大きな拍手が起こった。NAAの代理人弁護士は、恥辱を感じてうつむくばかりだ。
 岸裁判長はこの期に及んで、「原告(NAA)は“ないものはない”という主張で変わりないですね」などと、NAAのうそと居直りを承認するかのようなせりふを吐いた。また「今からでも見つかったということであれば、お出しいただいてもいい」などとNAAに促した。恥知らずなウソを平気でつくNAAに、そんな「助言」はまったく無意味だ。裁判所は民事訴訟法第224号にのっとり、「証拠は偽造」という市東さん側の主張をただちに認め、NAAの訴えを棄却せよ。
 次回期日を9月14日とし、この日は正午を過ぎて閉廷した。
 千葉県弁護士会館で報告集会が開かれた。最初に市東さんがあいさつに立ち、「この裁判で必ず勝って、12日の不当判決も最高裁でひっくり返す闘いをつくろう」と訴えた。
 続いて弁護団事務局長の葉山岳夫弁護士が裁判のポイントを解説し、「最高裁での闘いとともに、この耕作権裁判が決定的に重要になった。本日の圧倒的結集の態勢を継続して闘おう」と呼びかけた。
 熱心な質疑応答を交わし、最後に萩原富夫さんが「裁判闘争と結合して、現地でも第3滑走路建設阻止で住民とより強く結合して闘う」と決意を述べ、早朝からの一同の激闘をねぎらった。(TN)

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