動労総連合出向無効訴訟 出向延長を徹底弾劾 ”転籍強要”に怒り
動労総連合強制出向無効確認訴訟の第13回口頭弁論が12月9日、東京地裁民事第11部(佐々木宗啓裁判長)で開かれた。これは、検修・構内業務の外注化により外注先への出向を強いられた動労千葉、動労水戸、動労連帯高崎の組合員が、JR東日本に対し出向命令の取り消しを求めて闘われている裁判だ。
法廷で原告側代理人は、この日の裁判に向けて提出した書面の要旨を陳述した。10月1日、JRは出向者の大半に出向延長を発令した。この裁判でもJRは「出向期限は原則3年」と言ってきた。だが、実際には59人の原告のうち56人が出向延長になったのだ。原告代理人は「原則3年ではなく原則延長であることが明らかになった」と声を強めた。
延長された出向期間も、千葉と高崎支社は1年で水戸支社は3年だ。その違いの理由を団交で問いただしても、JRは回答を拒んでいる。その事実を指摘して、原告代理人は「被告による出向命令の恣意(しい)的運用が行われている」と弾劾した。
出向解除された組合員は、JRに戻されても仕事はなく、余剰人員扱いされている。原告側はこれについても追及し、「出向の目的は労働者を下請け会社に転籍させ、やがては非正規職にすることにある。第2の分割・民営化攻撃そのものだ。被告は『原告らが戻る職場がJRにないわけではない』と言うが、その言い方自体、戻る職場がないことを認めている。これは実質的な転籍だ」と突きつけた。
原告側はさらに、動労千葉や動労水戸が外注先でストライキを行おうとすると、スト当日に限ってJRが外注先への業務発注を行わず、JRが自ら業務を行うという形でスト破りがなされていることを徹底的に弾劾した。スト突入前に資本が労働者を職場から排除することは「攻撃的ロックアウト」として明確に禁止されている。それを可能にする外注化は違法行為のかたまりだ。それを被告のJRは、この裁判でも「営業の自由」と言って居直ってきた。
原告側は、労働基本権を否定し、偽装請負という違法行為を必ず生み出す出向命令は、それ自体が無効だと結論づけた。
迫力ある原告側の主張に追い詰められ、JR側は出向延長の問題について書面を出すと言わざるを得なくなった。次回期日は2月24日午前11時30分から。裁判は証人尋問に向けての攻防に入る。
裁判に先立ち、動労総連合と支援は東京地裁に向けて「JRは外注化をやめろ。仕事と出向者をJRに戻せ」とシュプレヒコールを上げた(写真)。裁判後には、法廷前の廊下に入り込んでいた公安刑事どもの姿を見つけ、怒りの徹底弾劾をたたきつけた。
この記事へのコメントはありません。