第3誘導路裁判、更新意見陳述で市東さんへの攻撃を徹底弾劾
3月15日、千葉地裁民事第3部(阪本勝裁判長)で、第3誘導路裁判の弁論が開かれた。三里塚芝山連合空港反対同盟と顧問弁護団、支援の労働者・学生は、天神峰・市東孝雄さんに対する新たな攻撃に出てきた国・成田空港会社(NAA)に対して、激しい怒りで闘いぬいた。
3月に被告の国・NAAはそれぞれ、示し合わせて準備書面を提出してきた。そこに書かれている新たな主張内容は、これまでを倍する凶悪で恥知らずな市東さんに対する攻撃である。
「原告・市東は、自由意思で天神峰の家に戻り、住み続けているのだから、騒音被害を受忍すべきだ。市東の居宅は、土地収用法で収用されるはずの土地だったので、人の居住を予定していない。騒防法、騒特法が騒音被害からの保護を規定している対象は〈空港周辺〉であり、騒音の発生源である空港敷地に住む市東については、騒音を受けない利益を保護する法律はない。市東に原告適格はない。国・NAAに騒音防止義務はない」
合わせて数十ページに及ぶこの書面の一字一句を、怒りなしに読むことはできない!
農民の農地を暴力的に奪って建設・拡張を進めてきた空港が、市東さんに対して、「自分の意思で住んでいるのだから、騒音をがまんしろ。いやなら出て行け」とは、まさに強盗の居直りの論理だ。あるいは古今東西の侵略者、略奪者が使ってきた論法だ。
午前10時30分に開廷すると、裁判長交代に伴う更新意見陳述として顧問弁護団は直ちに発言に立った。
成田空港はその事業の決定過程からして違憲・違法の存在だ。住民の反対の意思を暴力で打ち砕いて開港し、違法なB’滑走路の北延伸、第3誘導路の建設などを推し進め、大騒音で周辺住民の生活環境を破壊している。そして今度は、市東さんの受けている騒音被害は法律の埒外(らちがい)だ、騒音を耐え忍べと言い出した。本末転倒だ! 市東家は90年以上営農してきた。そこに空港が割り込んできた。事業認定の期限が切れて失効し、収用法による土地収用は不可能になった。国・NAAは「成田の公共性」を主張するが、農業を破壊して造られる成田空港の反公共性こそが指摘されなくてはならない。第3誘導路が造られたことで、市東さんは自宅と畑を空港施設に包囲され、日々巨大な騒音にさらされている最大の被害者だ。厚木爆音訴訟で出された飛行差し止めの画期的判決に続き、第3誘導路を違法と認めよ。
傍聴者の怒りが国・NAAの代理人弁護士に向けた弾劾となって廷内に響くと、阪本裁判長はいら立ちながら「発言するな」とたびたび繰り返した。だが「裁判長こそ陳述をよく聞け!」「市東さんの怒りを知れ!」という反撃に打ち返された。
次回期日を5月17日として閉廷したあと、千葉県弁護士会館において伊藤信晴さんの司会で報告集会が開かれた。
葉山岳夫弁護士を始め弁護団一人ひとりが発言し、今回被告側が出してきた準備書面が、市東さん個人に向けた攻撃の重大なエスカレートであることを確認し、大反撃を約束した。
また「原告の騒音調査はあてにならない。防音工事をやれば被害は大したことはない」「成田空港は地元経済界、地元住民から第3誘導路建設など空港機能拡張への期待が強い」などと国・NAAがぬけぬけと主張していることについても徹底的に批判した。
さらに、千葉地裁民事部にかかる三里塚裁判で裁判長の交代が相次いでいることについて、早期結審・拙速裁判を許さず、各裁判を一体のものとして闘うことを確認した。
動労千葉の滝口誠さんが連帯発言に立ち、動労千葉の3・17スト総決起集会への参加を呼びかけ、さらにCTSの就業規則改悪の4・1実施を無期限延期に追い込んだことを報告した。
成田市赤坂公園を会場とする3・27三里塚全国集会への全力決起を確認して集会を終えると、反対同盟と支援連はただちに千葉市繁華街に繰り出し、強風の悪条件をものともせず、農地取り上げに反対する緊急5万人署名を訴える情宣活動を行った。(TN)
※騒防法=航空機騒音防止法
※騒特法=特定空港周辺航空機騒音対策特別措置法
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