中国 核燃工場はいらない 数千人がデモ、計画撤回に
核武装国・中国で政府と国有企業・中国核工業集団がフランスの原子力企業アレバと提携して、国内に核燃料サイクルシステム工場を建設しようとしている。その六つの候補地のうち江蘇省の連雲港市で、労働者民衆による反対の大規模デモが8月に入ってから連続して爆発した(写真)。武装警察と激しく衝突しながら闘い、ついに計画の撤回を市政府に表明させた。
頂点となったのは8月6日〜7日にかけてだった。市の中心にある蘇寧広場に労働者民衆数千人が集まり、核廃棄物処理工場の建設に抗議した。7日の晩、武装警官と衝突し、多くの市民が重い傷害を負う事態となった。政府はマスコミ報道を全面的に規制し、徹底した弾圧を加えた。
しかし、その後も闘いは続き、ついに10日の午前1時36分、連雲港市政府は核燃料サイクルシステムプログラムへの参加を暫定的に見合わせると発表。その後、候補地名簿から名前を削除した。
連雲港市には、すでに田湾に原子力発電所があり、さらに第2原発が計画されている。今回の計画は、それと一体で核燃料サイクルシステム工場を建設するものであり、1千億元(約1兆5千億円)が投資される大規模プロジェクトだ。
●「フクシマを繰り返すな」と決起
連雲港は中国10大貿易港の一つで、中国に14ある沿海の経済技術開発区の一つでもある。ここで原発産業を中心にした技術開発、産業開発が進められようとしていた。一度事故が起きれば周囲800㌔が汚染される。汚染地域は、北京、上海、さらに北朝鮮の一部から韓国のソウルまで含まれる。
この原発政策、産業政策に対して、連雲港市民は「危険な核燃料サイクルシステム工場はいらない!」「こんなやり方でのGDPの発展はいらない」「チェルノブイリ、フクシマを繰り返すのか!」と声をあげ、政府を追いつめた。そして計画を撤回させた。
だが、撤回は「暫定」だ。さらに今、市政府は企業に文書を回して、解雇を振りかざして労働者に反核集会などに参加しない旨の念書を取るなどの動きに出ている。まだまだ闘いは続いている。
●中国スタの狙いは核武装の推進
中国政府は現在、原子力発電所33基を稼働させ、22基を建設中で、さらに300基まで原発を建設しようとしている。米帝と軍事対立を激化させている南中国海に20基の浮体式原発を建設することも発表している。
中国は急速に世界最大の原発大国になろうとしている。そこで生み出される膨大な核廃棄物を、今回問題となった核燃料サイクルシステムによって処理して再利用するというのだ。その過程で取り出されるプルトニウムは原爆の原料だ。この計画には、中国が対米対抗的に核兵器開発を強力に進める狙いがある。
帝国主義とスターリン主義の核政策に全世界で労働者人民の闘いが爆発し、ついに中国でも大規模な反核運動が爆発した。米日帝の朝鮮侵略戦争、核戦争を阻止し、労働者の社会をつくるため11月国際共同行動を成功させよう。(河原善之)
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