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三里塚請求異議裁判、「強制執行を許さない」

20170305a-1.JPG 3月2日、天神峰・市東孝雄さんに対する農地強奪判決の強制執行を阻止するための「請求異議裁判」の弁論が、千葉地裁民事第5部(高瀬順久裁判長)で開かれた。三里塚芝山連合空港反対同盟と顧問弁護団、支援の労働者・農民・学生・市民は「農地死守」の決意も固く、全力で闘い抜いた。
 午前9時、反対同盟を先頭に110人が千葉市中央公園に結集し、太郎良陽一さんの司会で決起集会がかちとられた。
 最初に反対同盟事務局を代表して、萩原富夫さんが市東さんの農地を守る闘いに全力で立ち上がることを訴えた。これに応え、動労千葉の田中康宏委員長が3月ダイヤ改定に反対してストに立つ決意を述べた。さらに婦人民主クラブ全国協議会などの連帯発言を受け、意気高くシュプレヒコールを上げ、反対同盟旗を持つ市東さんを最先頭に千葉市内デモに出発した。宣伝カーには婦人行動隊・宮本麻子さんが乗り込み、「千葉地裁は強制執行するな」の訴えを繁華街に響かせた。
 飛び入り参加者を含め、デモ隊は寒気をものともせず千葉地裁に迫り、農地強奪攻撃への怒りをたたきつけた。

20170305a-2.JPG 10時30分、70の傍聴席を満席にして開廷。
 最初に顧問弁護団が訴状を陳述した。「成田空港会社(NAA)よ、あなた方はうそつきだ!」と、冒頭に激しく一喝した。被告NAA代理人の顔がゆがむ。
 NAAの前身である空港公団の総裁が1994年に「平行滑走路建設においてあらゆる意味で強制的手段を用いない」旨を約束しながら、今「確定判決の執行」という形で市東さんから強制的に土地を奪おうとしている。第一に、強制執行をやらないという意思を公的・社会的に明らかにしたにもかかわらず、NAAが強制執行の請求を行うのは違法だ。
 第二に、東京高裁・小林明彦裁判長は弁護団から裁判官忌避を申し立てられ、これについての判断が確定していないのに控訴審判決を言い渡した(2015年6月)。判決は無効だ。
 第三に、農地の賃貸借解約の許可条件として、「離作補償料の給付」が明記されているのに、今に至るもNAAは、支払いも供託もしていない。千葉県知事の出した許可は効力を失っている。
 以上の三点から強制執行は許されない!
 これに対し、被告NAAは、「話し合いが頓挫しても強制的手段を使わないとまで約束してない」「市東が金を受け取らないのは明らかなので未払いは当然」などとする居直りに満ちた答弁書を提出した。
 市東さんが立ち上がり陳述書を読み上げた。「今回、強制執行で取り上げようとしている面積は、約7反3畝、私の農地の半分近くになる。空港公団は父東市に知らせず小作地を買収した。そんな違法な手段をとったNAAが、私から小作地を取り上げることは許されない」
 そして畑の作付けの現状などを具体的に述べ、「NAAの不当な強制執行に対してはあくまで闘う覚悟だ。裁判官に強制執行を認めない判決を強く求める」と締めくくった。傍聴席からは熱い拍手が湧いた。
 裁判長が原告・被告双方に求釈明を行い、次回弁論までにそれに答えてそれぞれ主張を出すことを確認した。次回期日を5月25日として閉廷。
20170305a-3.JPG 千葉県弁護士会館で報告集会が開かれ、司会を伊藤信晴さんが務めた。
 最初に市東さんが「新たな裁判が今日始まり、先生方の気迫のある陳述でNAAを追い込んだ。これからも向こうの違法を暴き、天神峰で農業を続けるためにがんばります」とあいさつし、大きな拍手を浴びた。
 葉山岳夫弁護士をはじめ弁護団全員が発言し、法廷での応酬を解説した。すでに確定した判決に対し請求異議の訴えを起こす時、その理由は「口頭弁論終結後のこと」に限定され、実際に口頭弁論が開かれるのは非常にまれと言われる。その「狭き門」を開き、「1回で審理打ち切り」の暴挙も許さなかった力は、やはり三里塚51年の闘いの正義にある。
 また耕作権裁判や新やぐら裁判などを一体のものとして闘いぬくことが決定的に重要であることが、参加者の共通認識となった。
 質疑応答の後、「市東さんの農地取り上げに反対する会」、「市東さんの農地を守る会・茨城」の木村郁夫・動労水戸書記長、全国農民会議の小川浩共同代表が連帯発言を行った。
 婦人行動隊の木内敦子さんは現地決戦本部への来訪を熱く訴え、萩原富夫さんは「強制執行阻止署名」運動を近々発足させる意向を表した。
 最後に伊藤さんが3・26全国総決起集会(成田市赤坂公園)への大結集を呼びかけ、一同の奮起を促した。(TN)

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