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三里塚請求異議裁判――権利濫用の強制執行を許さない

20170812a.jpg8月10日、千葉地裁民事第5部(高瀬順久裁判長)で、市東孝雄さんの農地の明け渡し強制執行を阻む「請求異議裁判」の第3回弁論が開かれた。三里塚芝山連合空港反対同盟と顧問弁護団、支援の労働者・学生・市民100人は、「農地死守」の気概に燃えて全力で闘いぬいた。
 開廷を前に午前9時、千葉市中央公園で決起集会が開かれた。最初に司会の太郎良陽一さんが、前日に反対同盟事務局長の北原鉱治さんが亡くなったことを伝え、全員で黙祷を捧げた。
 反対同盟事務局を代表して、東峰の萩原富夫さんが最初に発言に立ち、生涯を通じ闘いの先頭に立ち続けた北原さんを偲んだ。そして「私も祖父から3代目。先輩方の遺志を継ぎ、空港絶対反対の闘いを貫く。市東さんの農地を守り、住民の生活を踏みにじる空港機能強化と闘う」と決意を述べた。

次に動労千葉の田中康宏委員長が連帯発言に立ち、北原さんを「動労千葉の闘いの最高の理解者」として称えた。「動労ジェット闘争支援共闘会議」の世話人として労農連帯の発展に尽力し、動労本部カクマルに対する猛抗議の先頭に立った北原さんの思い出を語った。そして三里塚とともに安倍を打倒し、第3の国鉄分割・民営化攻撃を粉砕する決意を述べた。
 さらに関西実行委、市東さんの農地取り上げに反対する会、婦人民主クラブ全国協などの発言を受けて、意気高くシュプレヒコールを上げて反対同盟を先頭にデモ行進に出発した。
 宣伝カーからは婦人行動隊の宮本麻子さんが千葉市民に向け、農地を守って半世紀以上闘ってきた三里塚の意義を訴え、千葉地裁までのデモをやりぬいた。
20170812b.jpg 10時、強制執行阻止を求める署名の提出行動が行われ、市東さんはじめ反対同盟と葉山岳夫弁護士を地裁門前から拍手で送り出した。一行は4階の民事第4部書記官室を訪れ、第2次分2429筆(第1次分と合わせて8824筆)を提出し、萩原さんが「強制執行を許さない」との申入書を読み上げ、受け取らせた。

 10時30分、約70の傍聴席を埋めて開廷した。
 弁護団は準備書面3を陳述し、「強制執行権の行使は権利濫用であり許されない」と断言し、その内容を3点にわたって展開した。
 ①1993年の成田空港問題シンポジウムにおいて、最終所見で「平行滑走路のための用地取得のために、あらゆる意味で強制的手段が用いられてはならない」と確認された。ところがNAAは、農地法裁判の反動判決が確定するや、それまでの沈黙の態度を一変して強制執行をあからさまに求めてきた。これによって取り上げられる土地は天神峰・南台合わせて7284平方メートルで全耕作面積の41%。市東さんは農民としての死を強制されるに等しい。
 ②1971年の第2次強制代執行の違法無効性を争う裁判で、故大木よねさんの遺族である小泉英政夫妻(東峰在住)とNAAとの間で、2015年に最終的な和解が成立した。国、県、NAAはよねさんの生活を根こそぎ破壊した代執行について、「空港建設を急ぐあまり話し合いの努力が足りなかった」と謝罪した。
 その一方で、NAAは市東さんに対しては「話し合いの努力」など一切なく、土地の明け渡し訴訟を起こし、その判決を振りかざして強制執行を求めている。
 一審千葉地裁の多見谷裁判長は、このNAAの背信性をごまかすために、「話し合いが頓挫したときまで強制手段を放棄するという趣旨ではない」と、自分の見解を勝手に書き加えた。
 ③市東さんの南台耕作地は空港敷地内外にまたがっている。敷地外の部分については「GSE/ULD(貨物用機材・特殊車両)の置き場にする」とNAAは主張しているが、これは解約許可を県知事からかすめ取るために急遽でっちあげられた架空の転用計画だった。
 以上から、強制執行は権利濫用以外の何者でもない!
 1時間に及ぶ圧巻の陳述に、傍聴席から大きな拍手と歓声が起きた。
 さらに弁護団は、「空港機能強化」と称してB滑走路北延伸、第3滑走路建設という成田の大拡張計画についても、「口頭弁論終結後の事実」として請求異議の訴えに加えていくことを予告した。
 日程の調整がつかず、次回期日未定のまま閉廷。

20170812c.jpg 近くの会場で、伊藤信晴さんの司会で報告集会が開かれた。最初に市東さんがあいさつに立ち、「北原さんの生き方に学び、私もぶれずに信念をもって闘う。耕作権裁判とこの請求異議裁判に勝って、NAAに一泡吹かせよう」と力強く述べた。
 続いて葉山弁護士が北原さんへの追悼の言葉を述べ、「71年強制代執行の違法・違憲性を徹底的に弾劾し、市東さんへの強制執行を何としても止める」と決意を述べた。さらに弁護団一人ひとりが勝利への展望と意気込みを語った。
 連帯発言で動労水戸の木村郁夫書記長(市東さんの農地を守る会・茨城)が、北原さんの思い出を交えながら、三里塚勝利の決意を述べた。
 最後に萩原さんが今後の具体的方針として、より強力に裁判に取り組みながら、8・20周辺地域一斉行動、8・27天神峰カフェを行い、10・8全国総決起集会を市東さん宅南に位置する萩原さんの畑を会場に開くことを明らかにした。そして「51年闘ってきた三里塚の勝利を一層発展させよう」と訴えて、この日を締めくくった。(TN)

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