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三里塚耕作権裁判闘争で千葉地裁へ向け市内をデモ

20160712a-1.JPG 7月11日、千葉地裁民事第2部(内田博久裁判長)で市東孝雄さんの耕作権裁判の弁論が開かれた。7・3三里塚50周年東京集会を大成功させた三里塚芝山連合空港反対同盟と顧問弁護団、支援の労働者・農民・学生・市民125人は、農地取り上げ攻撃への怒りも新たに、意気高くこの日の闘いに臨んだ。
 午前9時、開廷を前に千葉中央公園に結集し、太郎良陽一さんの司会で集会が始まった。最初に東峰の萩原富夫さんがマイクを握り、「昨日の参院選で自民・公明の与党が3分の2勢力を形成したが、これと対決し三里塚から社会を変えていこう」と呼びかけた。

20160712a-2.JPG 続いて動労千葉の田中康宏委員長が発言し、「昨日の選挙の結果をみて、闘う労働組合をよみがえらせねばという決意を新たにした。反対同盟と動労千葉が築いてきた労農連帯の力を発揮し、今こそ労働法制改悪と戦争の攻撃に対し立ち向かう時だ」と訴えた。
 さらに関西実行委、市東さんの農地取り上げに反対する会、顧問弁護団の発言を受け、意気高くシュプレヒコールを上げて、炎天下の千葉市内へデモが出発した。先頭で市東さん、萩原さん、伊藤信晴さんが「耕す者に権利あり」と大書した横断幕を持ち、立ち上る熱気を切り裂いて行進した。宣伝カーからは婦人行動隊・宮本麻子さんの「千葉地裁は空港会社の訴えを棄却せよ!」とのコールが、千葉市繁華街のすみずみまで轟きわたった。地裁前を通過する時は、内田裁判長に届けとばかりにデモ参加者の怒りの声が高まった。
 午前10時30分、約70の傍聴席が満席になる中で開廷した。耕作権裁判が重要局面を迎える中で、危機感に駆られた国家権力中枢が送り込んできたのが内田裁判長だ。今回は裁判官交代に伴う更新手続きとして、顧問弁護団の総決起で成田空港会社(NAA)の違法不当を全面的に暴き出す意見陳述が行われた。
 NAAは天神峰の市東孝雄さんが耕す南台農地の一部を、「不法耕作」と決めつけて明け渡しを求めて06年に提訴した。約100年にわたって祖父の代から耕してきた農地を受け継いだ市東さんを、「空港の土地を無断で耕作している男」としてマスコミに宣伝させた。こんなひどい侮辱はない!
 NAAは市東さんが耕す南台の土地のうち41―8、41―9を「賃借地」とし、それ以外の耕作地を「不法」と決めつけるのだが、この位置特定がまったくデタラメだ。41―9は反対同盟副委員長・石橋家の屋敷林として占有していた場所であり、市東家が耕したことは一度もない。
 NAAは、市東東市さん(孝雄さんの父・故人)と旧地主が交わしたとされる「同意書」「境界確認書」とその添付図面を位置特定の唯一の証拠として出しているわけだが、この文書は偽造されたものだ。そこに書かれた東市さんの署名は筆跡鑑定の結果、明白な偽造と判明した。証拠価値はゼロだ。
 東市さんが反対同盟の一員として「空港絶対反対・農地死守」を貫いている一方で、旧地主は小作者の耕作状況をまったく把握しないまま秘密で買収交渉に応じ、公団の主導でずさんな書面・図面がデッチあげられたということだ。
 また、南台の市東さんの耕作地には、元々の賃借地のほかに、石橋家の申し出により交換した土地、さらに元の耕作者が移転し放棄した土地が含まれている。いずれも東市さんは71年に旧地主と協議し承諾を得て、そこを耕作し、毎年賃借料を支払い続け、何の問題も起きていない。20年が経過した91年に、東市さんは賃借権を時効取得している(民法第162条)。
 市東さんが耕す土地すべてに揺るぎない耕作権がある。NAAには地主の顔をして、「土地を明け渡せ」などと言う資格があるのか。いや、公団=NAAによる土地取得自体が違法・無効だ。NAAは転用目的の農地取得だと主張するが、その時具体的な転用計画・見通しなど存在せず、結局17年も市東家が農地として耕し続けることを黙認してきたのだ。明らかに農地法第5条違反だ。
 仮に農地を農地のまま買収したというなら、耕作者に無断で第3者に売り飛ばすことは、農地法第3条違反であり無効だ。
 自らの違法・脱法の一切が白日のもとにさらされることを恐れて、買収交渉に関連する報告書などの文書をNAAは隠し続けている。裁判所による「文書提出命令」が出され確定した今も、「見つからない」「担当者が亡くなってわからない」などとと見えすいたウソを言い張り、提出を拒んでいる。裁判所はNAAの訴訟を直ちに棄却すべきである。
 1時間半にわたる弁護団の確信に満ちた主張が法廷を完全に圧倒した。NAAの代理人弁護士は打撃感をあらわにしている。さらに、原告NAAがこの間「予備的主張」として、「仮に41―9が実際に市東の占有地でなかったとしても(!)、88年4月に同意書、境界確認書で新たな合意ができた」と、言い出したことについて、弁護団は強く弾劾した。自らの誤りを開き直るとんでもない主張だ。
20160712a-3.JPG 次回期日を10月17日として閉廷した後、近くの会場で報告集会が伊藤信晴さんの司会で開かれた。最初に市東さんがあいさつに立ち、「7・3は良い集会だった。これからも福島・沖縄と連帯して闘いを広げていきたい。今日の裁判長は、訴訟進行をやりやすくして、何か時期を窺っているという感じで許しがたい。今後も皆さんの傍聴をお願いします」と訴え、大きな拍手を浴びた。続いて葉山岳夫弁護士を始め弁護団一人ひとりがこの日の法廷の重要ポイントを解説し、さらにNAAと裁判所を追いつめ、最高裁の農地法裁判上告審とともに勝利する決意と展望を語った。
20160712a-4.JPG 支援団体からの連帯発言として、全学連の斎藤郁真委員長は、前日までの参議院選挙戦の結果を簡潔に報告し、「日本社会を変えるまでわれわれの挑戦は続く」と決意を述べた。
 最後に萩原富夫さんが、7・3三里塚50周年東京集会の成功の意義を述べ、9月7日の東京でのデモと農地強奪を許さない最高裁への第3次署名提出の行動方針を確認して集会を締めくくった。
 反対同盟と支援連は直ちに千葉市繁華街に繰り出し、署名を訴える情宣活動に立ち上がった。「市東さんの農地を守る会・茨城」の野澤英人さん(小竹運輸労組副委員長)、全学連の斎藤委員長も参加し、安倍の改憲攻撃を打ち破り農地を守ることを、労働者市民に訴えた。(TN)

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