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三里塚農地裁判で市東さんと弁護団が更新意見陳述。NAAらを追い詰める

20141009g-1.JPG 10月8日、東京高裁第19民事部で、市東孝雄さんの農地裁判控訴審第3回弁論が開かれた。市東さんを先頭に三里塚芝山連合空港反対同盟と顧問弁護団、傍聴・支援に駆けつけた労働者・農民・学生・市民、総勢195人は一体となって闘い抜き、農地強奪攻撃の根幹を打ち砕く勝利をかちとった。
 早朝からのビラまき・情宣活動に続いて、10時30分から裁判所前でリレートークが始まった。全学連の斎藤郁真委員長、現地行動隊などがマイクを握り、「農地強奪阻止、安倍政権の戦争政治粉砕」を熱烈に訴えた。動労総連合強制出向無効確認訴訟の弁論に参加する動労千葉、動労水戸などの労働者からもエールが送られた。

20141009g-2.JPG 正午、日比谷公園霞門から「耕す者に権利あり/小林裁判長は農地を奪うな」と大書された横断幕を広げ、市東さんを始め反対同盟と全国農民会議を先頭にデモに出発。闘志あふれる“農民のデモ”が昼休みの霞が関を席巻し、注目を浴びた。
 午後2時、反対同盟と弁護団は、門前を埋めた人びとの拍手で送られ、農地取り上げ反対署名4237筆を携えて東京高裁提出へ向けて出発した。第1次、第2次提出分と合計して、既提出分は1万7391筆となった。
 午後3時、100人もの傍聴者で満席となった102号法廷で開廷した。貝阿彌裁判長から小林昭彦裁判長へと交代したことにともない、更新手続きとして市東さんと弁護団の意見陳述が行われた。まず市東さんが立ち、スクリーンにスライド写真を投射しながら、自らの営農と生活状況の説明から述べ始めた。
20141009g-3.JPG 自宅は空港の誘導路にはさまれて夜の11時近くまで騒音にさらされ、南台の畑への直通道路だった団結街道を封鎖されるという厳しい環境で、農地を守り耕している。しょうが、ねぎ、里芋、かぼちゃなどの作物を豊かに育む畑、出荷作業にいそしむ「産直の会」、福島の子どもたちが訪れた芋ほり大会などのようすが映し出された。そして市東さんはひときわ誇り高く、「私はこの農地で、死ぬまで人に役立つ農業を続けていこうと決意しています」と宣言し、怒りを込めて「一審判決はこの私の決意を全面的に否定するものでした」「そもそもNAA(空港会社)がどうして〈地主〉になれるのか? 耕作している父・東市の同意もなく農地を売買できるのか? 農業者でもないのに、なぜ農地を所有し賃貸できるのか?」とこの裁判の核心点を鋭く指摘した。そして、「裁判所はNAAの請求を棄却すべきです!」と結論づけ、近隣農家、騒音下の住民、福島、沖縄を始め全国の運動、労働組合と連帯して闘う決意を述べ、20分を超す陳述を締めくくった。最後に容器に入れた自らの畑の土を手渡し、裁判長に手で触れさせた。
 続いて弁護団が次々と立って陳述した。この訴訟は裁判を使って「公用収用」を狙う悪質で違法極まりないものだ。しかも、農地法の基本精神を踏みにじり、耕作者の同意なく土地を地主から買収し、それを15年も隠し続けた。対象地の特定は誤りで、NAAは偽造された文書を証拠として地主になりすまし、知事の許可を取り付け、明け渡し訴訟に訴えた。すべて違法・無効だ! 一審の千葉地裁・多見谷判決は、このデタラメをすべて認め補強して出された反動判決である。高裁はこれを追認するのか!
 これらの研ぎ澄まされた批判に、傍聴席は拍手と歓声に沸いた。
 法廷はさらに重大な攻防に突入した。
 前回の法廷で市東さん側が出した求釈明書に対し、被控訴人のNAA・千葉県は「何も対応しない」という態度を明らかにした。弁護団が心血注いで書き上げた187ページに及ぶ控訴理由書に対し、反論せず、釈明要求に応じず、「一審判決の通り」と繰り返して審議を避け、あとは裁判所に控訴棄却判決を出してもらうことをひたすら期待するという、卑怯卑劣な手口なのだ。法律家としても最低の恥知らずな手口であり、民事訴訟法規則にも違反する。高裁は釈明を命じろ!
 この弁護団の弾劾・要求と一体で傍聴席からの怒りの声がいやましに高まった。
 NAA・県の代理人弁護士はこの苦難を「無言の行」でのりきろうと顔面蒼白で堪えていたが、裁判官合議の末に小林裁判長は、「事実に関するところで認否・反論を行え」と彼らに申し渡し、12月1日までの期限で書面の提出を命じた。当然だ! しかし重大な勝利。NAAらの違法・脱法をとことん追及するぞ。
 次回期日を3月4日として閉廷したあと、報告集会が虎ノ門ビジネスセンターで伊藤信晴さんの司会で開かれた。
 冒頭に北原鉱治事務局長があいさつし、10・12三里塚全国集会への大結集を訴えた。続いて市東孝雄さんが立ち、「向こうの代理人は言い分もデタラメ、今日も終始うつむいて暗い顔だった。あれを見て“必ず勝利する!”という気持ちを新たにしました」と気迫を表した。
 さらに勝利の実感を湛(たた)えながら葉山岳夫弁護団事務局長を始め弁護団一人ひとりが、論点の解説と、必ず一審判決を覆すという決意を語った。
 動労千葉、関西実行委、市東さんの農地取り上げに反対する会、群馬・市東さんの農地を守る会が、それぞれ連帯発言を行った。動労千葉の長田敏之書記長は、この日の強制出向無効確認訴訟の報告を交え、労農連帯の発展と11・2労働者集会の成功を訴えた。
 最後に萩原富夫さんがマイクを握り、「今日の大勝利を10・12全国集会の大結集に結びつけ、さらに次回弁論の3月に向けて闘おう」と訴え、参加者の一日の激闘をねぎらった。(TN)

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