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第3誘導路裁判―「訴えの変更」を申し立て機能強化攻撃と対決

第3誘導路裁判閉廷後、千葉県弁護士会館で報告集会。「訴えの変更」を申し立て、成田空港機能強化に対して攻勢的に闘うことを確認した(7月8日)

7月8日、千葉地裁民事第3部(内野俊夫裁判長)で第3誘導路裁判が開かれた。三里塚芝山連合空港反対同盟と顧問弁護団、支援の労働者・学生・市民は、天神峰・市東孝雄さんの農地を守り抜き、成田空港を廃港へ追い込む気概に燃えてともに闘った。
弁護団は準備書面44、同45を陳述し、成田の基本計画からの違反と騒音被害について、被告の国とNAA(成田空港会社)を厳しく追及した。
基本計画とは事業において厳密に守るべきものであり、成田で言えば1966年に設定された基本計画では、滑走路の長さや位置、施設・建造物の場所などについて定められており、NAAにはそれを遵守しなければならず、国はそれに則ってNAAを指導する責任がある。ところが、B滑走路計画(2500メートル)はその南側予定地に位置する東峰地区住民の強い反対によって、当初予定から北側に1100メートル移動させ、しかも長さも320メートル短い「B’(Bダッシュ)暫定滑走路」として02年に供用開始した。そして基本計画に反して北側に滑走路を320メートル延長して2500メートルにする「変更許可処分」を06年に行い、09年に供用開始した。
このように、短縮、移動、逆方向延伸とB’の建設過程は、野放図で場当たり的な拡張の繰り返しであり、そのたびに地元住民・農民の生活を脅かし踏みにじるものだった。被告のNAAと国はそのことを「基本計画に違反していない」と居直ってきた。
ところが昨今「首都圏空港機能強化」が叫ばれるようになり、国は2019年に基本計画そのものを変更し、3500メートルのC新滑走路を建設し、B’もさらに北に1000メートル延伸し3500メートルにすると、住民の意思を無視し勝手に決めた。こんなやりたい放題をこれ以上続けさせることはできない。
そして、現状において成田の航空機の離着陸と走行の騒音は、市東さんら原告をはじめ周辺住民の生命・健康を睡眠妨害などで著しく脅かしている。機能強化によって飛行時間は早朝5時から深夜0時30分までに延長され、静穏時間はわずか4時間半。今住民はNAAを相手取り、夜間飛行差し止めと損害賠償を求める訴訟を起こす準備を進めている。

成田空港機能強化の地図。B’滑走路を北に1000メートル延伸し3500メートル化、C新滑走路(3500メートル)建設で、空港敷地を2倍化。予定地内住民を大量に追い出し、田畑・山林・水系を破壊し、一帯を騒音地獄に叩き込むとてつもない計画だ

以上のような追及の上に弁護団はNAAと国に対し、具体的項目を指定しながら騒音測定データの資料の提出を要求した。
さらに弁護団は追い打ちをかけるように、「訴え変更」の申し立てを行った。その内容は、従来の請求【B’滑走路延長(06年)、第3誘導路建設(10年)の二つの施設変更許可処分の無効確認、B’滑走路と誘導路の使用禁止】に加え、B’滑走路1000メートル再延長とC新滑走路建設の施設変更許可処分(20年)の無効確認、およびその工事の禁止を求めるものだ。
B’延長とC新設は、空港敷地を2600ヘクタールに拡大する地域破壊の大暴挙であり違憲・違法だ。
着陸帯の幅は滑走路中心線から150メートル(全幅で300メートル)以上必要と定められているが、実際のB’滑走路の着陸帯はその半分しかなく、国際民間航空条約(シカゴ条約)に違反している。
空港の設置にあたって「他人の利益を著しく害することとならないものであること」を規定する航空法第39条にも違反している。建設工事から実際の運用にいたるまで騒音、振動、排気ガスが農家の営農と生活を著しく阻害する。

内野俊夫裁判長(千葉地裁民事第3部)。この裁判でも終始うつむいたまま

環境評価書作成などの諸手続きを行っていない点では、環境影響評価法に違反する。
なにより成田は供用開始後に米軍が自由に使用し、自衛隊がPKO派兵で海外へと向かう基地となっている。アジアでの「有事」=戦争の際には、成田は米軍と自衛隊の一大兵站(へいたん)基地と化す。空港拡張は戦争準備体制の一環というべきであり、憲法第9条に違反する。直ちに機能強化工事を差し止めよ!
現に今進められている住民追い出しと生活破壊の機能強化工事に対し、この法廷で徹底的に争うことを弁護団は宣言した。だが10人以上居並ぶNAAと国の代理人弁護士たちは、不安げに視線を漂わせるばかりで、この変更申し立てに同意するかどうかもまともに答えることができない。
次回期日は10月21日、次々回は来年3月3日と確認し閉廷した。
千葉県弁護士会館で伊藤信晴さんの司会で報告集会が開かれた。
葉山岳夫弁護士をはじめ弁護団が発言し、空港廃港へ向けた攻勢的裁判闘争として「訴えの変更」を行った意義を解説した。

NAAの代理人弁護士たち。①長屋文裕(元東京地裁判事、原発訴訟で中部電力、中国電力の代理人)②森本哲也(元東京地検検事)③上野至(元千葉地裁判事。数々の三里塚裁判で反動判決を下したのちNAAの代理人に転身)④和田衛(元東京地検検事)

市東さんの農地取り上げに反対する会、動労千葉の滝口誠さんが連帯発言を行った。
決戦本部長の太郎良陽一さんは、気候変動問題を前面に掲げた「空港拡張白紙撤回」新署名運動の拡大を訴えた。そして、機能強化工事と対決し9月4日に三里塚現地闘争を行うことを告知した。
報告集会を閉じる直前に「安倍銃撃」のニュースが衝撃的にもたらされた。一同は気を引き締めて、改憲と戦争攻撃の激化と闘う決意をあらためてうち固めた。(TN)

スケジュール

◎天神峰カフェ 7月31日(日)午後5時 天神峰・市東さん宅中庭集合
星空上映会などを予定

◎耕作権裁判 8月22日(月)午前10時30分開廷 千葉地裁
開廷前に千葉市内デモを予定

◎新やぐら裁判控訴審・判決 9月2日(金)午前11時 東京高裁

◎成田空港機能強化粉砕!三里塚現地闘争
9月4日(日)
主催/三里塚芝山連合空港反対同盟

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