安全崩壊も偽装請負も容認 動労総連合出向無効訴訟 東京地裁が反動判決
動労総連合強制出向無効確認訴訟の判決が10月10日、東京地裁民事第11部(佐々木宗啓裁判長)で出された。判決は、出向を解除されJR本体に戻った原告や、60歳定年後、エルダー社員になっている原告については訴えを却下し、出向が継続されている原告についてはすべての請求を棄却した。
裁判長は主文だけを読み上げ、判決理由も述べずに立ち去った。逃げる裁判長の背中に、激しい怒りの声がたたきつけられた。
弁護士会館で開かれた総括集会は、反動判決への怒りをばねに、第3の分割・民営化攻撃粉砕、衆院選―11・5労働者集会勝利へ総決起を誓う場になった。
判決文を入手し直ちにその分析にとりかかった原告代理人の各弁護士が、判決内容の概要を報告した。判決は、原告が定年まで出向を強制され続けても「その不利益は看過できないほど重大ではない」と言い張り、外注化による偽装請負を「違法行為があったとしても、出向命令が直ちに権利乱用とはならない」と容認し、外注化による安全破壊も「事故は出向命令が原因ではない」と居直っている。被告JRの主張を丸写しにした超反動判決だ。
動労水戸、動労連帯高崎、動労千葉の代表が「決着は職場の闘いでつける。組織を拡大し力関係を転換する」と決意を述べた。
動労総連合は反動判決に控訴するとともに、職場闘争と裁判闘争を結合させて外注化・分社化攻撃粉砕へ闘いぬく方針だ。
■外注化の大破綻に危機感
JR東日本は2012年10月に車両の検査・修繕部門の外注化を強行し、業務を受諾したCTS(千葉鉄道サービス)などの子会社への出向を動労総連合の組合員に強いた。これに対し、外注化と出向命令の取り消しを求め、12年12月にこの裁判は起こされた。以来、約5年の裁判闘争は、外注化の一層の拡大を狙うJRに縛りをかけてきた。JRも、この裁判を「第一級の課題」と位置づけ、毎回の裁判に大量の本社・支社の幹部を動員した。
この裁判は、国策として全産別で行われてきた外注化・非正規職化攻撃の根幹を撃った。だから東京地裁は、全面的な反動判決を出すほかになかったのだ。
JRは業務の全面的な分社化と労働者への転籍強要を柱とする第3の分割・民営化攻撃に踏み出した。だが、それは岩盤にぶちあたっている。10月14日のダイヤ改定で、JRは水戸支社を焦点に常磐線特急の車掌1人乗務化、本線運転士が行っている車両基地への列車の出入区作業の外注化、水郡線のワンマン運転の拡大をたくらんだ。しかし、東労組の現場組合員からも怒りが沸騰し、JRはこの施策の撤回に追い込まれた。動労千葉と動労水戸の闘いが、東労組の現場からの反乱を生み出したのだ。
東労組本部は、JRの施策撤回を組合員に対しては「勝利」と言い、資本に対しては〝合理化自体には反対しない。施策は東労組と合意の上で進めてくれ〟と泣きついている。このペテンは、東労組の重大な組織的危機を示している。外注化・分社化は動労千葉・動労水戸―動労総連合をつぶさない限りできないのだ。
今回の判決は、思うままに外注化・分社化を進められなくなったJRを救済するために出された。第3の分割・民営化攻撃は粉砕できることを、判決は敵の側から示したのだ。
反動判決への怒りをばねに、衆院選と11・5労働者集会の勝利へ進もう。
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